資料
※ 上記は民間教育サービス(東進ハイスクール)が提供する過去問閲覧ページへのリンクです。概観
難易度
総じて難化したといえます。計算量が多いわけでも解くのに要する時間が足りないわけでもなく,理解度の差によって得点が大きく分かれるように思います。
「なんとなく」公式を理解しているだけ,という受験生にとっては得点が取りにくいセット。2次試験に向けてしっかりとした対策ができている受験生にとっては,差がつけやすいセットでした。

物理が得意な人にとっては「平均低いだろうなぁ,ラッキー。」くらいの内容でしょう。
特徴
共通テスト特有の難しさというよりも,一般的な「物理」の問題としての難易度が高かったように思います。公式や言葉の意味をしっかりと理解できているかが現れる内容であり,表面的な理解だけでは太刀打ちできない問題も複数ありました。
第1問
所感
例年通りの小問集合。計算量は少ないですが,文章量はやや多いです。
問2や問5は正答率がかなり低いことが予想されます。一方で,それ以外の問題に関してはしっかりと得点すべき内容です。
問1
ドップラー効果の基本問題です。救急車が発する音の振動数が2つありますが,それぞれについて公式を考えればよいので基本問題といえるでしょう。
(ア)については点 $\rmA$ と観測者の距離を音速で割るだけ。(イ)についてはドップラー効果の公式です。サイレンの音の振動数を $f_0$ としたとき,観測者が観測する音の振動数は,
$$f=\bun{340}{340-20}f_0=\bun{17}{16}f_0\Hz$$とかくことができます。
$f_0$ は $770\Hz$ と $960\Hz$ の2つを考えないといけませんが,上の式からも「観測者が受け取る音の振動数は大きくなる」ことがわかっています。
公式を立てるまでもなく!振動数が大きくなるか小さくなるかは瞬時に判断を!
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よって,与えられている $820\Hz$ の音は,$770\Hz$ に対応することがわかるため,$f_0=960\Hz$ を上の式に代入して $f$ を求めればokです。

公式が怪しい人は必ず復習を!!
問2
とっても差がつきます。わかっている人はすぐ解けるし,わかっていない人はどんなに時間をかけても解けない問題です。
まずは(2)。直流電源において,充分に時間が経過した後の状況を考えています。ランプがより明るくなる条件を考えているので,回路を電流が流れやすい状態にしたいわけですから,片方が導線であることはすぐに理解したいところ。

問題はもう一つです。
充分に時間が経過した後,回路に流れる電流は一定(つまり定常状態)になります。ここで思い出したいのがコイルの性質。
回路中のコイル
電流が流れる向きに $V=L\bun{\dI}{\dt}$ だけ電位が下がる。回路図においては,図の向きに電圧を表す三角形を書き込む。
電流が変化していなければ(つまり $\bun{\dI}{\dt}=0$),電圧(誘導起電力 $V=L\bun{\dI}{\dt}$)は $0$ です。
つまりただの導線と同じ!
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一方で,抵抗器には抵抗値がありますし,コンデンサーは充分に時間が経過すると電流を流しません(充電が終わる!)。
以上から,「抵抗とコイル」が答えだとわかります。
問題は(3)でしょう。

RLC直列共振回路のインピーダンス,ちゃんと覚えていますか?
RLC直列共振回路のインピーダンス
RLC直列共振回路のインピーダンスは,
$$Z=\sqrt{R^2+\left(\omega L-\bun{1}{\omega C}\right)^2}$$
今回,コイルとコンデンサーのリアクタンスが等しいことが条件で与えられているため,
$$\omega L=\bun{1}{\omega C}$$
です。つまり,抵抗をつながず($R=0$)に,コイルとコンデンサーのみを接続した場合,$Z=0$ となり,コイルとコンデンサーの合計の電圧が $0$ だということがわかります。
つまり,コイルとコンデンサーをあわせて考えると導線と同じ,ということです。
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以上のように,公式を覚えていれば暗算で頭の中で答えが出せます。「RLC直列共振回路のインピーダンスの式は暗記しておくべき」と教えているのは,こういった問題が出題されるためです。
公式を覚えていない場合には回路をかいてみるほかないでしょう。回路を流れる電流を $I(t)$,電源電圧を $V(t)=V_0\sin\omega t$ と置きます。
このとき,
$$\begin{aligned}V_{\rmR}&=\bun{V_0}{R}\sin\omega t\\[9px] V_{\rmL}&=\bun{V_0}{\omega L}\sin\left\{\omega t-\bun{\pi}{2}\right\}\\[9px] V_{\rmC}&=\bun{V_0}{\bun{1}{\omega C}}\sin\left\{\omega t+\bun{\pi}{2}\right\}\end{aligned}$$
であることが直ちにわかります。

直ちにわからない人は直ちに復習を!!
ここで,
$$\bun{V_0}{\omega L}=\bun{V_0}{\bun{1}{\omega C}}$$
が今回の条件ですので,$V_{\rmL}=-V_{\rmC}$ であることがわかりますね。これより,コイルとコンデンサーを接続すると $V_{\rmL}+V_{\rmC}=0$ が常に成り立ち,導線と実質同じになることがわかります。
公式を覚えていなくても,基本をしっかり理解していればその場でちゃんと解けます!
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問3
見かけの重力の問題です。まずは慣性力(今回は遠心力)の向きを考えましょう。
図から,カメラから見た右側が遠心力の向きであることがわかります。これと鉛直下向きの重力を合わせた「右下向き」が見かけの重力の向きです。

図のような「仮想的な地面」まで考えるとよりわかりやすいでしょう。
この仮想的な地面に向かうのが二酸化炭素入りの風船(空気より重いのでただの重りと同じ!),地面から遠ざかる向きに浮かぶのがヘリウム入りの風船です。
③ やら ④ やらの選択肢は怪奇現象。
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問4
コンプトン効果の問題です。コンプトン効果については問われる内容が限られているので,しっかりと押さえておきましょう。
問題文で与えられている運動量保存則の式に加えて,エネルギー保存則を表す
$$\bun{hc}{\lambda}=\bun{hc}{\lambda\mskip 1mu\prime }+\bun{1}{2}mv^2$$
は3秒で立式できないと大問題です。この式から直ちに $\lambda\mskip 1mu\prime >\lambda$ であることがわかります。

X線はエネルギーを失う(電子に与える)ことと,X線のエネルギーが波長に反比例することが理解できていれば式を立てるまでもないです。
後半は電子がはね飛ばされる向きを考える問題です。最も思いつきやすいのは「$\theta=90\Deg$,$\lambda=\lambda\mskip 1mu\prime $ を代入して計算する」という方法でしょう。
$$h=mv\cos\phi,\ h=mv\sin\phi$$
の2式から,$\tan\phi=1$ であることがわかるので,$\phi=45\Deg$ が得られます。

考えたいのは角度。運動量保存則を解いていくので,図で考えるのが最も賢い選択でしょう。
衝突前後のX線の運動量をそれぞれ $\vec{p},\ \vec{p\prime\mskip 7mu}$ とします。このとき,$\vec{p}$ と $\vec{p\prime\mskip 7mu}$ は大きさが同じで,$\vec{p}$ は $x$ 軸正の方向,$\vec{p\prime\mskip 7mu}$ は $y$ 軸正の方向と向きが一致します。
衝突後の電子の運動量を $\vec{P}$ とすれば,運動量保存則は,
$$\vec{p}=\vec{p\prime\mskip 7mu}+\vec{P}$$
と表現できます。これを図示すると次の通りです。
直角二等辺三角形ですね!
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図形で運動量保存則を考えられれば,暗算で答えが出せるわけです。
問5
気体分子運動論の問題です。しっかりと気体分子運動論の内容を「理解」できていて,覚えるべき公式を覚えている人にとっては問題ない内容なのですが,なんとなく雰囲気で覚えている人にとっては苦しい内容。
とっても差がつきます…!
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まずは気体分子運動論の中でも覚えておくべきであり,しかも一から説明できるようにしておくべき公式の確認から。
気体分子の平均運動エネルギー
気体分子1つの平均運動エネルギーは,
$$\bun12m\overline{v^2}=\bun32kT$$
であり,温度のみの関数である。

覚えておくのはもちろん,「1辺が $L$ の立方体の箱に〜」から説明できるようにしておくべき式です。
こちらに加えて,内部エネルギーについてもすらすらと説明できないといけません。
内部エネルギー
単原子分子理想気体の内部エネルギーは,
$$U=\bun32nRT$$で与えられる。
「内部エネルギーは温度のみの関数!」ということを強調していますが,これはあくまで注目しているのが1つの気体のときです。
今回は2つの気体の比較で,物質量 $n$ も変数として扱わなければいけません!
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さて,状況を確認していきます。2つの気体の比較を行っており,圧力と体積が等しくなっています。状態方程式 $PV=nRT$ の左辺が等しいということですから,$nRT$ も等しくなります。

(a) は状態方程式さえ思い浮かべられれば問題なく解けますね。温度 $T$ の値は異なるので,物質量 $n$ も気体間で異なります。
(b) では,まず問われているものを数式に置き換えます。$\bun12m\overline{v^2}$ ですね。
内部エネルギーを導く過程で出てくる値!
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単原子分子理想気体の内部エネルギーってそもそも何?という部分です。気体分子1つあたりの平均運動エネルギーの合計として考えるため,
$$\bun12m\overline{v^2}\cdot n\NA=\Bun32kT\cdot n\NA=\bun32nRT$$
と計算できたのでしたね。この式の内,$\bun12m\overline{v^2}\cdot n\NA=\bun32nRT$ の部分に注目しましょう。右辺は (a) で考えた通り,2つの気体で共通の値となります。一方,物質量 $n$ は気体間で異なっています。
では,$\bun12m\overline{v^2}$ は…?ここまでの考察から,2気体間で異なることがわかりますね。

ここまでが (b)。この時点でだいぶ正答率は下がるように思います。
最後は「分子の2乗平均速度」です。
式で表すと…?
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すぐに「$\sqrt{\overline{v^2}}$」という式の形を思い浮かべられれば正解。こればかりは覚えていないといくら考えても出てきません。
内部エネルギーの式 $\bun12m\overline{v^2}=\bun32kT$ を変形することで,
$$\sqrt{\overline{v^2}}=\sqrt{\bun{3R}{m\NA}T}$$であることがわかります。$m$ は気体分子1つあたりの質量ですが,今回は種類が同じ気体を考えているため,共通の値です。よって,右辺に含まれる変数は $T$ だけであることがわかります。
気体間で $T$ は異なる値を取ることは先ほど確認しました。よって,分子の2乗平均速度も異なる,というのが結論です。

気体分子運動論はいろんな式が出てきます。全ての式を自力で導出できるようにし,登場する物理量がそれぞれ何を表しているのかを明確に答えられるようにしておきましょう。
第2問
前半は基本問題。後半は「結局何が言いたいの?」ということが分かればなんてことない内容です。

重心に慣れている人はスムーズに状況が理解できると思いますが,与えられた文字を使いながら誘導通りに立式していくのが得策。
共通テストらしくない出題で,与えられた条件を使いながら典型的な立式をしながら解き進めていきます。
問1
「失った◯◯」と言われたら,「(前の値)$-$(後の値)」です。
わからなくなったら具体例!
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いくら失った?
$3000$ 円持っていたのに,気がついたらお財布の中身が $1000$ 円になっていました。いくら失いましたか?
上のように問われたら悩みませんよね?
$$3000-1000=2000\punit{円}$$
と計算するはず。元々持っていた金額(前の値)から,気がついたときの金額(後の値)を引いていますよね。

$2000$ 円もだけど,記憶力も失われてない?
今回も同様に,衝突後の運動エネルギーから衝突前の運動エネルギーを引きます。反発係数が $e$ ですので,衝突直後の速さが $ev_0$ であることは直ちにわかりますので,
$$\bun12m(ev_0)^2-\bun12mv_0^2$$
と立式すればok。
問2
衝突ですから,脊髄反射で「運動量保存則」は立式できるはず。
あとは「弾性衝突」であることから,「衝突前に近づく速さ」と「衝突後に遠ざかる速さ」が等しくなることを立式します。

弾性衝突でない場合は,代わりに反発係数の式を立てます。
運動量保存則は,
$$mv_0=mv+MV_1$$
弾性衝突の式は,衝突後に遠ざかる速さが $v-V_1$ なので($V_1>v$!!),
$$v_0=v-V_1$$
となります。あとは連立するだけ。
答えの吟味
$M$ が非常に大きければ,実質「壁」とみなせるため,問1と同じ状況です。つまり,$v\to-v_0$,$V_1\to0$ となるはず。$\bun{M}{m}\to\infty$ としてこのこともしっかりチェックしましょう。
問3
ここから,物体Bというものが登場します。物体Bは問題文にもある通り「B$_1$,ばね,B$_2$」を一体として考える「大きなまとまり」です。
状況に応じて,物体B$_1$だけ取り出して考えたり,物体Bとしてまとめて考えたり,といった場合分けが必要になります。

物体Bは要するに「物体B$_1$,B$_2$」の重心です。重心運動の扱いに慣れている人は「はいはい,重心系の話ね」と考えてok。
まずは問題文の内容の整理です。
「Aとの衝突後には,Bの運動方向には外部からはたらく力がないので,Bの運動量は保存する。」という部分。Bの質量は $2M$ のままなので,要するに「Bの速度は $V$ のまま」ということですね。
衝突前後の状況を図で整理すると次の通りです。
衝突前に近づく速さが $v_0$,衝突後に遠ざかる速さが $V-v$ であることがわかるので,反発係数は,
$$e=\bun{V-v}{v_0}$$
ですね。
$e$ と $1$ の大小関係については色々な考え方があります。AとB$_1$の衝突がそもそも弾性衝突でしたので,
$$v_0=V_1-v$$
が成り立っていますね。一方,衝突直後のBの運動量は,
$$MV_1+M\cdot0=MV_1$$
であり,これを $2M$ で割った値である $\bun{V_1}{2}$ というのが物体Bの速さ,すなわち $V$ です。$V$ は $V_1$ の半分,ということですから,$V-v$ は $v_0$ より小さな値です。
よって,$e=\bun{V-v}{v_0}$ が $1$ より小さいと結論付けられます。
一方で,具体的に計算することも可能です。$V_1=\bun{2m}{m+M}v_0$ と $v=\bun{m-M}{m+M}v_0$ を $e$ の式に代入することで,
$$e=\bun{M}{m+M}<1$$
が得られます。

物体Bを大きなかたまりとして見ると,物体B$_1$単体で考えたときよりも,物体Aから遠ざかる速さが小さくなる!ということが頭の中で整理できれば計算するまでもない問題です。
問4
衝突直後のBの力学的エネルギーは,物体B$_1$と物体B$_2$の運動エネルギー,ばねの弾性力の位置エネルギーに分けて考えることができます。このうち,物体B$_2$の運動エネルギーとばねの弾性力の位置エネルギーは衝突直後は $0$ ですので,物体B$_1$の運動エネルギー $K_1$ を考えればok。
物体B$_1$の速さは $V_1=2V$ ですので,
$$K_1=\bun12M(2V)^2$$
を考えればok。
続いて,ばねの伸びが最大になる瞬間について。問題文で「B$_1$とB$_2$の速度が等しくなる」と与えられています。

物理が得意な人は,速度が等しくなる理由も説明できてほしいところ。
この速度はつまり,全体をまとめて考えたときの物体Bの速度と同じになりますので,$V$ です。
計算で導くのであれば以下の通りです。
物体B$_1$と物体B$_2$の速度は等しいので,$V\mskip 1mu\prime $ と設定する。物体B$_1$と物体B$_2$の運動量の和は保存されるので,運動量保存則より,
$$MV_1+M\cdot0=MV\mskip 1mu\prime +MV\mskip 1mu\prime $$
が成り立つ。これより,$V\mskip 1mu\prime =\bun{V_1}{2}=V$ であることがわかる。
あとはばねの伸びを $x$ として力学的エネルギー保存則を立式すればok。
$$K_1=\bun12MV^2\cdot 2+\bun12kx^2$$
となります。
第3問 A
熱サイクルの問題。仕事量をマス目を使って近似的に求めている部分以外は基本的な内容です。仕事の計算も誘導を丁寧に読んで,マス目を数えるだけですので,どの設問も確実に正解したい内容です。

「熱機関ってそもそも何?」というところを自分の言葉で説明できるように復習を!
問1
まず,扱っている気体が「単原子分子理想気体」であることを確認します。問1で問われている「A→B」の過程は,圧力が一定ですので「定圧変化」ですね。
サイクルの問題では,他の変化と組み合わせて考えていくことが大半です。特に頻出の4つの状態変化についてはすらすらと図をかけるようにしておくことが何よりも必須。
そして,定圧変化においては上の記事内でも紹介している以下のポイントがとっても重要。
定圧変化の性質
定圧変化において,常に
$$Q\in:\varDelta U:W\out=\CP:\CV:R$$の関係が成り立つ。特に,単原子分子理想気体の場合には,
$$Q\in:\varDelta U:W\out=5:3:2$$が成り立つ。
導出を含めて,必ず習得しておきましょう。

人生が変わるといっても過言ではないくらい重要な内容。見える世界が変わります。
ということで,まずはグラフを見ながら「気体が外部にする仕事 $W_{\rmA\to\rmB}$」を求めます。
図の長方形の面積を計算すればよいので,
$$W_{\rmA\to\rmB}=10p_0\cdot(10V_0-V_0)=90p_0V_0$$
ですね。あとはこれを気体の吸熱量 $Q_{\rmA\to\rmB}$ に変換しましょう。単原子分子理想気体ですので,$Q_{\rmA\to\rmB}:W_{\rmA\to\rmB}=5:2$ です。よって,
$$Q=_{\rmA\to\rmB}\bun{5}{2}W_{\rmA\to\rmB}=225p_0V_0$$
と計算できます。
これなら暗算でも答えが出せますね!
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問2
「サイクルにおける気体の仕事が,$P-V$ グラフで囲まれた部分の面積に等しい」ことがわかっていれば,マス目を数えるだけの問題。

マス目の数,そこそこありますからね。数えるのも大変。
(a) のマス目の数が $58$,(b) のマス目の数が $73$ ですので,その平均を取った,
$$\bun{58+73}{2}=\bun{131}{2}$$
が答えです。
問3
熱機関の意味がわかっていればなんてことない問題です。
熱機関は,熱を与えることによって仕事を取り出すことができる装置です。与えた熱($Q\in$)を全て仕事($W\out$)に変換することができず,一部は熱($Q\out$)として無駄になってしまいます。
全体としてエネルギーが保存されているので,$Q\in=W\out+Q\out$ という式が成り立ちます。
実際の問題では,どの部分が熱を与えている過程で,どの部分が熱を放出している過程かをしっかり考える必要があります。今回の設問では,A→Bの過程で $Q$ の熱量が与えら得ていることが問1でわかっており,問3の問題文からB→C→Aの過程で熱が放出されることが与えられてますので,求める熱量を $Q\out$ とすると,
$$Q=W+Q\out$$
が成立します。よって,$Q\out=Q-W$ です。
熱効率についてはもはや考えるまでもないでしょう。熱効率そのものの定義から,$\bun{W}{Q}$ です。

間違えてしまった人は要反省!基本事項をしっかり復習してください!
第3問 B
一般的な波の干渉について考える問題。干渉については光波の分野で出題されることが多いですが,水面波でも考え方は一緒です。

とはいえ,類題を解いたことがないと少し難しく感じたかも…?
問4
円形波と平面波の波源が同じ位相で振動している,という情報を確実に読み取りましょう。そこから先は,干渉条件を考えていくことになります。
干渉条件は次の通りです。
干渉条件
位相で振動する2つの波源から観測点までの距離をそれぞれ $l_1,\,l_2$ とする。干渉条件は,経路差 $\varDelta L=|l_1-l_2|$ を用いて次の通りに表される。
$$\begin{aligned}\\\stext{強め合いの条件:}&\ \varDelta L=m\lambda\\\stext{弱め合いの条件:}&\ \varDelta L=\left(m+\bun12\right)\lambda\quad \stext{($m$ は $0$ 以上の整数)}\end{aligned}$$
ということで,点 $\rmP$ と原点の距離 $l_1$,点 $\rmP$ と $x=L$ の距離 $l_2$ をそれぞれ求めていきます。

これって数学だったらあまりにも簡単ですよね…?
点 $\rmP$ の座標は $(X,\,Y)$ ですので,
$$l_1=\sqrt{X^2+Y^2}$$
となります。$l_2$ については,$X<L$ であることに注意すると,
$$l_2=L-X$$
です。
以上と,$\varDelta L=|l_1-l_2|$ から,
$$| \sqrt{X^2+Y^2}-(L-X)|=m\lambda$$
求める条件です。今回は答えの形に合うように絶対値の中を入れ替えて,
$$|(L-X)-\sqrt{X^2+Y^2}|=m\lambda$$
としましょう。
問5
問4の結果を使って考える方法と,定在波として考えてしまう方法があります。

後者のほうが圧倒的に楽ですので,まずは後者で考えます。
今回の設問で考えるのは $x$ 軸上のみです。$x$ 軸上の点には,原点から右向きに伝わってくる波と,$x=L$ の位置から左向きに伝わってくる波が届き,これらが干渉します。

これって,定在波と同じですよね?
腹の数を数えていきたいので,まずは代表点に注目します。
原点が考えやすいですね。
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$L=11\lambda$ であることと,波源が同位相で振動していることから,原点が定在波の腹となっていることがわかります。
定在波の腹-腹間隔は $\bun{\lambda}{2}=0.5\lambda$ ですので,$x=0.5\lambda,\,\lambda,\,1.5\lambda,\,\ldots$ が腹の位置であることがわかります。このうち,$0.2\lambda<x<10.8\lambda$ に含まれるものの個数を答えればok。

植木算だ…。
一方で,問4の結果を使う方法もあります。点 $\rmP$ を $x$ 軸上の点として考えるので,$Y=0$,$X>0$ として,強め合いの条件式は,
$$|11\lambda-2X|=m\lambda$$
です。これを満たす $X$ は,$X=\bun12\lambda,\,\lambda,\,\ldots,\,10\lambda,\,\bun{21}{2}\lambda$ です。
$X>\bun{11}{2}\lambda$ のときは絶対値の中身が負となることに注意しましょう。
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問4が問5の誘導になっているものと考えて,数式で考えていくとちょっと複雑…。
問6
点 $\rmQ$ を作っている平面波の山(直線)と,円形波の山(円)がそれぞれどのように動くか考えます。
平面波の山は左に向かって進んでいきますので,点 $\rmQ$ を通っている直線の左隣の直線に移動します。この「山1つ分の移動」の間に,円形波も山1つ分だけ移動します。円形波の山は,外に広がるように進んでいきますので,点 $\rmQ$ を通る円の1つ外側の円に移動します。
これらの交点が求める点になりますので,「イ」が正解ですね。

説明を聞けば「なんてことない」って感じる人が多いのではないでしょうか。しかし実際の正答率は低いものと予想されます。
現象の理解を問う,共通テストらしい問題でした。
第4問
計算はやや大変な部分がありますが,全体としては標準的な荷電粒子の運動の内容です。
電場中での運動,磁場中での運動についてそれぞれの特徴はしっかり押さえられていますか?
問1
まずは電源電圧の大きさについてです。コンデンサーの極板間が一様電場となっていることから,充電は終了しており,回路に電流は流れていないことがわかります。
よって,電源電圧の大きさはコンデンサーの電圧に等しく,$Ed$ です。

電位についてはまず,荷電粒子の放物運動の向きに注目します。
問題文の図2の軌跡から,極板A→極板Bの向きに荷電粒子が力を受けていることがわかります。荷電粒子の電気量は負ですので,受ける静電気力と電場の向きは逆向きです。
よって,電場の向きは極板B→極板Aです。以上をまとめた図が次の通りです。
電場の向きから,極板Bが正に,極板Aが負に帯電していることがわかります。よって,極板B側が高電位と結論付けられます。
問2
見た瞬間に「$0$」です。

これは即答できてほしい。
問1で考えたように,静電気力は常に「極板B→極板A」の向きです。よって,この静電気力のした仕事は「極板B→極板A」の向きにどれだけ移動したかによって決まります。

移動していません!!移動距離は $0$ !!
放物運動に結びつけて考えるのであれば,「地面から斜め上方向に物体を投げたら,$L$ だけ離れた位置に落下しました。重力の仕事は?」と問われているのと同じです。
放物運動として考えれば「当たり前!」と思えるのでは…!?
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問3
静電気力による運動を考えていますので,軌跡は放物線。放物運動と同様に,2つの方向に分けて考えるのがポイントです。
一様電場中で運動していた時間を $t_1$ とします。初速度 $\bun{1}{\sqrt2}v_0$ で等速度運動を行い,距離 $L$ だけ進むので,
$$\bun{1}{\sqrt2}v_0t_1=L$$
が成り立ちます。
荷電粒子に作用する静電気力の大きさは $eE$ なので,加速度の大きさを $a$ として運動方程式より,
$$ma=eE$$
が成り立つ。一方,移動距離について,
$$\bun{1}{\sqrt2}v_0t_1-\bun12at_1^2=0$$
が成立する。2式から,
$$t_1=\bun{\sqrt2mv_0}{eE}$$

まぁこれでもよいのですが…。計算面倒じゃないですか…?
極板と垂直な方向の運動に注目することで求めたいのは $t_1$ です。わざわざ加速度を求める必要はありません。
荷電粒子の速度の変化がわかっている状況で求めたいものが「時間に関する情報」なので,何の式を使えば効率がよいでしょうか?

ぱっと答えられた人はよく頭の中が整理できている証拠です!
答えは「運動量変化と力積の関係式」です。$I=\varDelta p$ とよく表される式。
今回,荷電粒子が「極板B→極板A」の向きに受ける力は,$eE$ で一定です。よって,力積は $eEt_1$。運動量変化は,
$$\varDelta p=m\left(\bun{1}{\sqrt2}v_0\right)-m\left(-\bun{1}{\sqrt2}v_0\right)=\sqrt2mv_0$$
です。これらが等しいので,
$$eEt_1=\sqrt2mv_0$$
と立式できます。

こっちのほうが圧倒的に計算量少ないですよね。適切な解法が選択できれば計算ミスも減ります。
あとは2式を整理すればokです。$t_1$ の値を $\bun{1}{\sqrt2}v_0t_1=L$ の式に代入することで,
$$E=\bun{mv_0^2}{eL}$$
として答えが得られます。
問4
磁場領域内における荷電粒子の運動を考えています。ローレンツ力は常に荷電粒子の速度と直交し,軌跡は円運動になるというのがポイント。ローレンツ力が仕事をしないことも要チェック。
問題文に従って,点 $\rmQ$ でのローレンツ力について考えていきます。荷電粒子の運動が円運動であることから,ローレンツ力が向心力となっており,その向きは図の (d) の向きですね。
点 $\rmQ$ における荷電粒子の速度は (c) の向きですので,あとはフレミングの左手の法則を使うだけ。
荷電粒子の電気量が負であることに注意!
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左手で考えて逆向きにしてもよいし,最初から右手でやってもok。
問5
まずは素直に $\rmP\rmR$ 間の距離を計算していきましょう。円運動ですから立てる式は…?
運動方程式ですね!
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ローレンツ力の大きさは $ev_0B$ とかけるので,円運動の半径を $r$ とすれば,運動方程式は,
$$m\bun{v_0^2}{r}=ev_0B$$です。
$\rmP\rmR$ 間の距離 $l$ は $2r$ に等しく,
$$2r=\bun{2mv_0}{eB}$$
と表せます。

ここからは,条件を変えた後の変化を考えます。どの文字が定数で,どの文字が変数かをしっかり意識しましょう。
荷電粒子の質量を $m\mskip 1mu\prime $ にしたときの荷電粒子の速さを $v_0\mskip 1mu\prime $ とします。$2r$の式中で変数となるのは $m$ と $v_0$ のみです。
よって,$\rmP\rmR\mskip 1mu\prime $ 間の距離 $2r\mskip 1mu\prime $ については $m\to m\mskip 1mu\prime $,$v_0\to v_0\mskip 1mu\prime $ とすればすぐに求まります。

いちいち最初から計算しないこと!変わった部分のみを対応する文字に置き換えればok!
以上から,
$$\bun{r\mskip 1mu\prime }{r}=\bun{m\mskip 1mu\prime v_0\mskip 1mu\prime }{mv_0}$$
であることがわかります。あとは $v_0\mskip 1mu\prime $ を求めていきましょう。
$v_0\mskip 1mu\prime $ は放物運動の条件によって決まるので,再び電場中の運動を考えます。
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問3で求めた電場は変化していないため,$m\mskip 1mu\prime $ と $v_0\mskip 1mu\prime $ を用いても電場の大きさ $E$ は,
$$E=\bun{m\mskip 1mu\prime v_0\mskip 1mu\prime ^2}{eL}$$
の形で表されます。よって,$m\mskip 1mu\prime v_0\mskip 1mu\prime ^2=mv_0^2$ ですので,
$$\bun{v_0\mskip 1mu\prime }{v_0}=\sqrt{\bun{m}{m\mskip 1mu\prime }}$$
です。
以上から,
$$\bun{r\mskip 1mu\prime }{r}=\bun{m\mskip 1mu\prime v_0\mskip 1mu\prime }{mv_0}=\bun{m}{m\mskip 1mu\prime }\sqrt{\bun{m}{m\mskip 1mu\prime }}=\sqrt{\bun{m\mskip 1mu\prime }{m}}$$
として答えが得られます。

最後は計算も大変な問題でしたが,立てている式はどれも基本的なものばかり!