資料
※ 上記は民間教育サービス(東進ハイスクール)が提供する過去問閲覧ページへのリンクです。概観
難易度
例年と大きな変わりはありません。分量はやや少なくなったといえるでしょう。
特徴
教科書に載っているような一般的な設定の設問が増えました。全体としては,長い文章を読み,その場で状況を理解して解くような「応用力」の要求度は下がったように思われます。
第1問
所感
小問集合です。問1〜問3は教科書の基本的な内容理解をそのまま問う内容なのに対し,問4は「ウェーブ」の現象と波動の考え方を結びつける内容となっています(「物理基礎のトリセツ」では,波動をウェーブで説明しています!!)。
問1
浮力の公式「$\rho Vg$」の意味がわかっているかが全てです。

ただの呪文として「ろーぶいじー」を覚えている人にとっては厳しい。
対応関係は以下の通りです。
浮力の公式
浮力「$\rho Vg$」の文字の対応関係は,
$$\begin{aligned}\rho& \stext{:液体の密度}\\ V&\stext{:液体に沈んでいる部分の物体の体積}\\[-5px]\end{aligned}$$
完全に沈んでいない物体の場合は「液体の中に沈んでいる部分の体積」で考えればokということです。
今回は,「全体の体積が $V$」「海面上に出ている部分の体積が $\alpha V$」なので,沈んでいる部分の体積は $(1-\alpha)V$ です。海水の密度が $\rho$ ですので,求める浮力は
$$\rho(1-\alpha)Vg$$
です。
$\alpha\to1$ がとすると,「沈んでいる部分がない」ことになるので,浮力は $0$ に近づき,$\alpha\to0$ とすると「全部沈んでいる」ことになるので,おなじみの形「$\rho Vg$」になることも要チェックです。
このことがわかっているだけでかなり答えが絞れます。
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問2
抵抗率を用いた抵抗値の公式
$$R=\rho\bun{l}{S}$$
を覚えていれば一瞬です。覚えていなくとも以下のことがわかっていればある程度答えが絞れます。
抵抗値の意味
抵抗値は電流の流れ「にくさ」を表す。

長いほうが流れにくくて,断面積が広いほうが流れやすい,というイメージが大切。
長さ $l$ が大きいほど抵抗値は大きくなるので $R$ は $l$ に比例,断面積 $S$ が大きいほど抵抗値は小さくなるので $R$ は $S$ に反比例だということがわかります。
単位については「その場で導く」のが正解。覚えていなくても大丈夫です。単位を含めて公式をかくと,
$$R\punit{\Omega}=\rho\bun{l\m}{S\punit{m^2}}$$
です。両辺で単位も辻褄が合うことから,$\rho$ の単位は $\punit{\Omega\cdot m}$ だとわかります。
問3
放射線の単位の問題。放射線絡みの内容で覚えておくことは,こちらのページにかかれたものだけで充分です!
「放射線の強さ」を「1秒間に(エ)する(オ)の個数」として考える際に,「放射線は原子核が崩壊するときに放出されるもの」ということを知っていれば一発です。
「電子が崩壊」という組み合わせは違和感だらけですね。
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シーベルトの単位については知識ですが,放射線でよくニュースになるのは「人体への影響」ですよね。人体への悪影響があるから,その程度を表す単位を作ろう,ということでできたものになります。
問4
正弦進行波を元に,ウェーブについて考えよう!という問題です。

トリセツでは,波動についての説明で「ウェーブ」を使っています!
知っている波の公式である,
$$v=f\lambda,\ f=\bun{1}{T}$$
に対応するものを考えていけばokです。
波長が $\lambda=4.0\m$ であることは図から読み取れますね。文章から,$0.25\s$ の間に波が $0.50\m$ だけ進んだことがわかりますので,波の速さは,
$$v=\bun{0.5}{0.25}=2.0\ms$$
です。
あとは公式を使いましょう。$v=f\lambda$ の公式に当てはめると,
$$2.0=f\cdot4.0$$
となりますので,$f=0.50\punit{Hz}$ であることがわかります。周期は,
$$T=\bun{1}{f}=\bun{1}{0.50}=2.0\s$$
でok。
第2問
文章から現象を読み取る問題。
① 磁場の強さがピークとなるところで磁石の横を通り過ぎていることと,② 台車の速さが大きくなると磁場の強さのグラフの幅が狭くなることがポイントです。
①については問題ないかと思いますが,②はちょっとイメージしにくいかもしれません。グラフの幅を「磁場の影響範囲」と捉えると,「早さが早いほうが素早く通過する(つまり磁場の影響を受けている時間が短くなる)」とわかりやすいのではないでしょうか。

設定は少しややこしいですが,噛み砕いてポイントが理解できてしまえばスムーズです。
問1
(ア)についてはグラフを読み取るだけでok。
(イ)は「磁石の位置にスマートフォンが到達した時刻」を比較しましょう。(a)では $2.68\s$ で到達しているのに対し,(b) では $1.37\s$ で到達しています。より早い時刻にスマートフォンが到達している (b) のほうが早さが大きいことがわかりますね。
問2
台車が等速度運動をする,というのが全てです。等間隔に並んだ磁石の横を通り過ぎる時刻も等間隔になり,(速度が一緒なので!ポイント ② を元に考えると)各ピークの幅も変わらないことがわかります。
問3
台車が糸に引っ張られることにより,速度が大きくなっていきます。① と ② のポイントから,それぞれグラフがどのようになるか考えます。
速度が大きくなっていくと,次の磁石に到達するのにかかる時間も短くなっていきます。よって,ピークの間隔は狭くなっていきます。
② のポイントの通り,早さが大きくなるとグラフの幅は狭くなっていきます。
以上の2点を踏まえた「②」のグラフが正解です。
問4
「$v-t$ グラフから加速度を求めてね!」というだけの問題です!

これまでの設問がトンチンカンでも絶対取りたい問題!!
$v-t$ グラフの傾きが加速度を表すことが何よりのポイントです。これさえわかっていれば,この設問単発ですぐに答えが出せるはず。
答えの数値は割とばらつきがあるので,大まかな計算でokでしょう。時刻が $t=1.5\s$ のときの速度を $v=0.40\ms$,$t=3.5\s$ のときの速度を $v=0.95\ms$ として計算すると,
$$a=\bun{0.95-0.40}{3.5-1.5}\fallingdotseq 0.27\punit{m/s^2}$$
が得られます。
グラフの計算
選択肢から最も近い数値を選べればよいので,細かい数値まで読み取らずに計算してok!
第3問 A
熱力学のオーソドックスな内容の問題です。

物理基礎の範囲では頻出の内容!
「比熱」や「熱容量」については公式を覚えるだけではなく,それぞれの言葉が「何を意味しているか」を理解することが重要です。
比熱
ある物質 $1\punit{g}$ を $1\K$ だけ温めるのに必要な熱量を,その物質の比熱といい,$c$ などの文字を用いて表す。その物質 $m\punit{g}$ を $\varDelta T\punit{K}$ だけ温めるのに必要な熱量 $Q\J$ は,
$$Q=mc\varDelta T\J$$で与えられる。
熱容量
ある物体を $1\K$ だけ温めるのに必要な熱量を,その物体の熱容量といい,$C$ などの文字を用いて表す。その物体全体を $\varDelta T\punit{K}$ だけ温めるのに必要な熱量 $Q\J$ は,
$$Q=C\varDelta T\J$$で与えられる。
問1
「比熱」の言葉の理解を問われています。比熱は「ある物質 $1\punit{g}$ を $1\K$ だけ温めるのに必要な熱量」ですので,大きければ大きいほど「温めるのに熱量が多く必要」ということになります。
つまり,「その物体の温まりにくさ」を表しているわけです。
(イ)については多少の知識が必要です。水が沸騰し始めると,加えた熱はすべて残っている水を蒸発させるために使われます。つまり,残っている水の温度は $100\DegC$ のまま変わりません。
熱を加えているのに温度が下がるのは怪奇現象だし,$100\DegC$ 以上の水なんて存在しないし,消去法でも選べます。
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問2
超頻出問題です!!
熱量の保存から「銅が放出した熱量」と「水が吸収した熱量」が等しくなるという式を立てていきます。
水は $10\punit{g}$,比熱が $4\punit{J/(g\cdot K)}$ で上昇温度が $80\DegC$ です。よって,吸収した熱量は $mc\varDelta T$ の形から,$10\cdot 4\cdot 80\J$ と表せます。
一方,銅は $1000\punit{g}$,比熱が $0.4\punit{J/(g\cdot K)}$ です。温度低下を $\varDelta T$ とすると,放出した熱量は $1000\cdot 0.4\cdot \varDelta T\J$ と表せます。
以上から,
$$10\cdot 4\cdot 80=1000\cdot 0.4\cdot \varDelta T$$
と立式して計算すればokです。

先に数値を計算するのではなく,式を一旦立てるようにすると計算が楽になることが多いです。上の式の形からなら暗算で答えが出せそうじゃないですか?
蒸発についても同様に考えましょう。
「蒸発熱」という単語そのものは覚えていないかもしれませんが,単位が $\punit{J/g}$ であることから,「$1\g$ の水を蒸発させるのに必要な熱量 $\J$ を表している」ことが読み取れます。
これより,水全体の蒸発に必要な熱量が,
$$10\cdot 2000=20000\J$$
だとわかります。銅の温度低下を $\varDelta T\mskip 1mu\prime $ とすると,
$$20000=1000\cdot 0.4\cdot \varDelta T\mskip 1mu\prime $$
と立式できますね。
第3問 B
熱力学を回路に絡めた内容です。
「回路①」の記事ではキルヒホッフの法則を使って解説をしています。物理基礎のトリセツでは,キルヒホッフの法則を導入して一部の解説を行っていますが,必須知識ではありません!興味のある方は以下の記事から!
問3
電圧計は回路に影響を及ぼさないため,抵抗器が2つ繋がれた直流回路と考えることができます。つまりは電流が共通ということですので,電圧の比は抵抗値の比に等しくなります。つまり,$R_0:R\SUB{A}$ ということですね。
2つの抵抗器にかかる電圧の和が $V_0$ ですので,$V_0$ を $R_0:R\SUB{A}$ に分配すると考えればokです。抵抗器 $\rmB$ にかかる電圧は,$\bun{R_0}{R\SUB{A}+R_0}V_0$ とかけますね。
答えの吟味
$R_0\to0$ とした場合,抵抗器 $\rmB$ は実質導線とみなせるということです。よって電圧はかかりませんので,$\bun{R_0}{R\SUB{A}+R_0}V_0\to0$ になります。
一方,$R\SUB{A}\to0$ とした場合,抵抗器 $\rmA$ が導線になりますので,電池の電圧 $V_0$ がそのまま抵抗器 $\rmB$ にすべてかかります。つまり,$\bun{R_0}{R\SUB{A}+R_0}V_0\to V_0$ になります。
この2点がわかっているだけで,正解の選択肢を選ぶことができます。
次元チェック
求めるのは「電圧」ですので,単位は $\V$ です。そもそもこの条件を満たしている選択肢は ①〜③ の3つだけです。
問4
ジュール熱の意味がわかっていれば問題ないでしょう。
ヒーターは抵抗値が $R$ で,$V$ の電圧がかかった状態です。$1\s$ あたりに発生する熱量が $\bun{V^2}{R}$ と表せますので,これに経過時間をかけた $\bun{V^2}{R}t$ が答えですね。
次元チェック
「$1\s$ あたりに発生する熱量」$\times$「経過時間 $t$」の形で計算するので,答えに $t$ が入っていないといけません。この時点で答えは ② と ⑤ に絞られています。$t\to0$ にしたときに,発生する熱量が $0$ になる形,というのも確認しておきたいですね。
さらに,② はそもそも次元が異なるため,問題を解かなくとも答えが ⑤ であることがわかります。
問5
実際にそれぞれの熱量を計算しましょう。
予備測定においては,熱容量 $C$ の試料台の温度が $\varDelta T$ だけ上昇したので,加えた熱量は,
$$Q=C\varDelta T$$
と表せます。
一方,本測定では試料台に加えて,質量 $m$,比熱 $h$ の試料の温度も $\varDelta T$ だけ上昇しているので,加えた熱量は,
$$Q\mskip 1mu\prime =C\varDelta T+mh\varDelta T$$
と表せます。以上から,
$$\bun{Q\mskip 1mu\prime }{Q}=\bun{C\varDelta T+mh\varDelta T}{C\varDelta T}=\bun{C+mh}{C}$$
と計算できます。
次元チェック
求めるものが $\bun{Q\mskip 1mu\prime }{Q}$ ですので,当然「単位がない値」を選びます。この時点で ⑤ か ⑥ のみしか選びようがありません。
さらに「資料の量 $m$ が増えれば加える熱量 $Q\mskip 1mu\prime $ も増える」ことは容易にわかるので,⑤ が妥当であることが速やかにわかります。
補足
問題全体の流れについても確認しておきましょう。予備測定において得られた式
$$Q=C\varDelta T$$
のうち,$\varDelta T$ は計測できます。また,$Q=\bun{V^2}{R}t$ でしたが,$V$ と $R$ はあらかじめわかっている値で,$t$ は計測できる値ですので,2式を組み合わせることで,$C$ を求めることができます。
問題文の「予備測定から求まる試料台の熱容量」というのはこのことですね。
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続いて本測定においても同様に考えます。
$$C\varDelta T+mh\varDelta T$$
の式の内,$C$ は既に求めた値であり,$m$ はあらかじめわかっている値です。加えた熱量は,$Q\mskip 1mu\prime =\bun{V^2}{R}t\mskip 1mu\prime $ とも表すことができ,$t\mskip 1mu\prime $ は計測値ですので,2式を組み合わせることで $c$ を求めることができるわけです。

全体としては「試料の比熱を測定する実験」になっているわけです。