状態変化のまとめ
4つの代表的な状態変化
さて,ここまで見てきた4つの状態変化は入試でも出題頻度が非常に高く,とってもとっても重要です!
特に $Q\in,\,\varDelta U,\,W\out$ についてはそれぞれ一瞬で求められるようにしておき,$P-V$グラフの概形も瞬時にかけるようにしておくのが理想です。
以下の表にまとめましたので,どれも瞬時に埋められるようにしておきましょう!
この表,とっても大事です!すらすらと自分でかけるようにしておきましょう!!
問題へのアプローチ
どの状態変化化を考える
特に難しい入試問題になると「その状態変化が何変化なのかがわからない」という状況が多々あります。
「自分の知らない変化なのかな…」と難しく考えてしまう人が多いのですが,表にまとめた4つの状態変化うちのどれかであることが大半です。
まずは「どうせ4つのうちのどれかだろう!」と疑う習慣を付けておきましょう。
定圧変化について
特に定圧変化はなかなか気付きにくいことが多いですが,ピストンとの相性が抜群です。ピストンを見たらまずは定圧変化を疑いましょう。
さて,この定圧変化について補足をしておきます。定圧変化では,以下が成立するのでした。
$$Q\in=n\CP\varDelta T,\ \varDelta U=n\CV\varDelta T,\ W\out=nR\varDelta T$$
それぞれを個別に求めてもよいのですが,もっともっと楽な方法があります。
$Q\in,\,\varDelta U,\,W\out$ に,$n,\,\varDelta T$ が共通していることに注目すると,
$$Q\in:\varDelta U:W\out=\CP:\CV:R$$
が成立することがわかります。
これより例えば,$W\out$ を求めることができた場合,比を利用して,
$$Q\in=\bun{\CP}{R}W\out,\ \varDelta U=\bun{\CV}{R}W\out$$のように計算することができます。
つまり,$Q\in,\,\varDelta U,\,W\out$ のうちどれか1つがわかれば,残りの2つは比を用いてすぐに計算できるということです。
特に単原子分子理想気体の場合は,
$$Q\in:\varDelta U:W\out=\bun52R:\bun32R:R=5:3:2$$という非常にシンプルな比の関係が成り立ちます。
この性質を利用することで,瞬時に解ける問題が増えますので必ず習得しましょう!
定圧変化の問題で比を利用する方法,使いこなせるととっても便利です。
定圧変化の扱い
定圧変化において,常に
$$Q\in:\varDelta U:W\out=\CP:\CV:R$$の関係が成り立つ。特に,単原子分子理想気体の場合には,
$$Q\in:\varDelta U:W\out=5:3:2$$が成り立つ。
例題
単原子分子理想気体に,定圧条件下で $10\J$ の熱量を加えた。この際,気体が外界にする仕事 $W\out$ および内部エネルギーの変化 $\varDelta U$ を求めよ。
単原子分子理想気体なので,$Q\in:\varDelta U:W\out=5:3:2$ が成立する。よって,
$$\varDelta U=10\cdot\bun35=6.0\J,\ W\out=10\cdot\bun25=4.0\J$$