斜めドップラー効果
斜めの状況
これまでのドップラー効果は,音源と観測者が一直線上に並んでいて,その直線上で近づいたり遠ざかったりする状況のみを考えていました。
しかし,音源も観測者も平面上で運動する場合には,音源と観測者を結ぶ直線に対して斜めの方向に音源や観測者が動くことがあります。
このような状況ではどのように考えればよいでしょうか…?
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少し難しく感じるかもしれませんが,全くそんなことはありません!以下の手順に従って考えればokです!
斜めドップラー効果
音源と観測者が斜め方向に運動する場合,以下の手順で考える。
① 観測者と音源を直線で結ぶ。(この直線が波の伝播の向き)
② 波の伝播方向の速度成分を取り出す。
③ ドップラー効果の公式を立てる。
たとえば,次図のような状況を考えてみましょう。
観測者も音源も,ばらばらの方向に動いています。

上に述べた手順に沿って,順番に考えていきましょう。
Step 1 観測者と音源を直線で結ぶ
これはそのままですね。観測者と音源を直線で結びます。
Step 2 波の伝播方向の速度成分を取り出す
Step.1で結んだ直線が波の伝播方向です。この方向の速度成分を取り出します。
図のように角度を設定すると,音源が観測者に近づく速さが $v\cos\theta$,観測者が音源に近づく速さが $u\cos\varphi$ として得られます。
Step 3 ドップラー効果の公式を立てる
Step.2の結果を踏まえて直線上で状況を整理すると,次図の通りになります。
この図を元に,ドップラー効果の公式を立式することで,
$$\fp =\mskip 4mu\bun{c+u\cos\varphi}{c-v\cos\theta}\mskip 5muf_0$$
であることがわかります。
まとめ
どうですか!手順さえわかってしまえば,結局は通常のドップラー効果と同様に公式を立てることができます!
しかし,斜めドップラー効果を利用した問題は様々な種類があり,中には非常に込み入ったものもあります。

例題や演習問題を通じて,考え方に慣れていきましょう。
例題
半径 $R$ の円周上を速さ $v$ で等速円運動しながら,振動数が $f$ の音を出す音源がある。円の中心 $\rmO$ と,円周上の $\rmA$ 点を結ぶ直線上で,$\rmA$ 点から $R$ だけ離れた $\rmB$ 点において,観測者が音を観測している。音速を $V$ として,以下の問いに答えよ。
観測者が観測する最も高い音の振動数 $f_1$ を求めよ。また,その音を音源が出す位置を図示せよ。
観測者が観測する最も低い音の振動数 $f_2$ を求めよ。また,その音を音源が出す位置を図示せよ。
斜めドップラー効果の問題ですので,音源と観測者($\rmB$ 点)を直線で結んで考えます。
(1) の解き方
音源の速度の「観測者に向かう方向成分」が最も大きくなる位置で発せられた音が,最も高い振動数の音として観測者に届きます。
この条件が満たされるのは,図の $\rmC$ 点です。
音源と観測者($\rmB$ 点)を結ぶ直線が円の接線となるため,音源の速さ $v$ がそのまま観測者に近づく方向の速度成分となります。
よって,ドップラー効果の公式より,
$$f_1=\mskip 4mu\bun{c}{c-v}\mskip 5muf$$
であることがわかります。
なお,「点 $\rmC$ で音が発せられる時刻」と「その音を観測者が受け取る時刻」は同時刻ではないので気をつけてください。
$\rmC$ 点と観測者の間の距離は $\sqrt{3}R$ ですので,音が観測者に届くまでに $\Bun{\sqrt{3}R}{V}$ だけ時間がかかります。
(2) の解き方
音源の速度の「観測者に向かう方向成分」が最も小さくなる位置を考えればokですね。
この条件が満たされるのは,図の位置です。
音源の速さ $v$ がそのまま観測者から遠ざかる方向の速度成分となっていることが図からわかると思います。
ドップラー効果の公式より,
$$f_2=\mskip 4mu\bun{c}{c+v}\mskip 5muf$$
であることがわかります。
その他の特殊な音
例題では問われていませんが,図の $\rmD$ 点あるいは $\rmA$ 点で発せられた音が観測者に届くとき,観測される音の振動数はわかりますか?
$\rmA$ 点について考えてみましょう。音源と観測者を結ぶ直線は直線 $\rmA\rmB$ となりますが,音源の速度はこの直線 $\rmA\rmB$ に直交しています。
つまり,直線 $\rmA\rmB$ 方向の速度成分は $0$ ですのでドップラー効果は発生せず,観測者に届く音の振動数は $f$ です。
$\rmD$ 点についても同様です。ドップラー効果は発生せず,観測者には振動数が $f$ の音が届きます。