微分・積分 数学

微分係数と導関数

羽白 いむ

東京大学医学部医学科卒 現役医師
東大指導専門塾鉄緑会 物理・数学科元講師
物理基礎のトリセツ著者
数学のトリセツ共著者

関数の極限

まずは言葉の確認

関数 $f(x)=2x^2$ において,$x$ が $1$ と異なる値をとりながら $1$ に近づくとき,$f(x)$ の値は $2$ に限りなく近づきます。

一般に,関数 $f(x)$ において,変数 $x$ が $a$ と異なる値をとりながら $a$ に限りなく近づくとき,それに応じて,$f(x)$ の値が一定の値 $\alpha$ に限りなく近づく場合,

$$\lim_{x\to a}f(x)=\alpha\quad\stext{または}\quad \stext{$x\to a$ のとき $f(x)\to\alpha$}$$とかきます。

この値 $\alpha$ を $x\to a$ のときの関数 $f(x)$ の極限値または極限といいます。また,このとき,$f(x)$ は $\alpha$ に収束するといいます。

上の関数 $f(x)=2x^2$ については,$x\to1$ のときの極限値は $2$ で,

$$\lim_{x\to1}2x^2=2\quad\stext{または}\quad\stext{「$x\to1$ のとき $2x^2\to2$」}$$と表記します。

羽白

非常によく使う表現なので慣れましょう!

微分係数

グラフを用いて

関数 $y=f(x)$ において,$x$ の値が $a$ から $a+h$ まで変化するとき,$y$ の変化量は $f(a+h)-f(a)$ です。

$x$ の変化に対する $y$ の変化の割合

$$\Bun{f(a+h)-f(a)}{(a+h)-a}\mskip 5mu=\mskip 4mu\bun{f(a+h)-f(a)}{h}\mskip 5mu$$を,$x$ が $a$ から $a+h$ まで変化するときの平均変化率といいます。

羽白

図の色付きの直線の傾きを表していますね!

また,$\displaystyle\lim_{h\to0}\mskip 6mu\bun{f(a+h)-f(a)}{h}\mskip 5mu$ が存在するとき,これを $f(x)$ の $x=a$ における微分係数といい,$\fp (a)$ で表します。

$\displaystyle \fp (a)=\lim_{h\to0}\mskip 6mu\bun{f(a+h)-f(a)}{h}\mskip 5mu$ は,関数 $y=f(x)$ のグラフの,$x=a$ における接線の傾きを表しています。

羽白

$h$ を小さくしていくと,やがて $x=a$ における接線になるよ,ということです。その接線の傾きが $\fp (a)$!

導関数の定義

関数として

関数 $f(x)$ の $x=a$ における微分係数 $\displaystyle \fp (a)=\lim_{h\to0}\mskip 6mu\bun{f(a+h)-f(a)}{h}\mskip 5mu$ は,$a$ が様々な値をとると1つの関数となります。そこで,$a$ を $x$ で書き換えて,

$$\fp (x)=\lim_{h\to0}\mskip 6mu\bun{f(x+h)-f(x)}{h}\mskip 5mu\ \qquad\stext{…☆}$$と定義した関数 $\fp (x)$ を,$f(x)$ の導関数といい,導関数を求めることを微分するといいます。

羽白

関数 $y=f(x)$ における,接線の傾きを表す関数が導関数です!

$\varDelta$ を用いた表現

関数 $y=f(x)$ において,$x$ の増分(☆式の $h$)を $\varDelta x$ ,それに対する $y$ の増分(☆式の $f(x+h)-f(x)$)を $\varDelta y$ とすると,

$$\begin{aligned} \fp (x)&=\lim_{h\to0}\mskip 6mu\bun{f(x+h)-f(x)}{h}\mskip 5mu\\&=\lim_{\varDelta x\to0}\mskip 6mu\bun{\varDelta y}{\varDelta x}\mskip 5mu \end{aligned}$$と表すこともできます。

$\varDelta$(デルタ)を使った表記は簡略化できて便利なので,この表し方にも慣れておきましょう。

物理ではこちらの表記をよく使います。

生徒

表記について

関数 $y=f(x)$ の導関数を表す記号としては,$y\prime $,$\bun{\dy}{\dx}\mskip 5mu$,$\bun{d}{\dx}\mskip 5muy$,$\bun{d}{\dx}\mskip 5muf(x)$ などが用いられます。

$\bun{d}{d\stext{●}\mskip 5mu}\stext{■}$ は,「■を●で微分する」という意味があります。たとえば,$s=f(t)$ のとき,$\Bun{d}{\dt}\mskip 5mus$ は「$s$ を $t$ で微分する」という意味になります。

羽白

この「なにで微分しているか」は重要!物理ではよく時刻 $t$ で微分します。

また,関数 $f(x)$ の導関数が存在するとき,$f(x)$ は微分可能であるといいます。

羽白

微分可能性については,書籍数学のトリセツ数学Ⅲで詳しく扱っています!

微分法の公式

公式

導関数を,イチイチ定義を用いて計算するのはとても面倒くさいですよね。有名な関数は,導関数がどのような形になるのか公式化しておきましょう。

有名な導関数

関数 $f(x)=x^n$($n$ は自然数)の導関数は,一般的に,

$$\fp (x)=nx^{n-1}$$

これを用いるとたとえば,

$$(x^4)\prime =4x^3,\ (x^3)\prime =3x^2,\ (x^2)\prime =2x,\ (x)\prime =1$$となります。また,$c$ が定数であるとき,

$$(c)\prime =0$$が成り立ちます。

羽白

この公式は寝てても使えるように!

導関数の性質

性質について

関数 $f(x)$,$g(x)$ が微分可能であるとき,以下が成り立ちます。

導関数の性質

$k,\,l$ を定数とするとき,以下が成り立つ。

$$\begin{aligned}&\{kf(x)\}\prime =k\fp (x)\\&\{f(x)+g(x)\}\prime =\fp (x)+g\prime (x)\end{aligned}$$

また,これらより,

$$\{kf(x)+lg(x)\}\prime =k\fp (x)+lg\prime (x)$$

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