三角関数の定義
単位円を用いて
$x$ 軸の正の部分を始線とし,半径 $1$ の円(単位円)を考えます。円周上に点 $\rmP$ をとり,角 $\theta$ の動径 $\rmO\rmP$ を考えましょう。
三角関数の定義は,単位円周上に $x$軸となす角が $\theta$ となるよう動径 $\rmO\rmP$ をとったとき,次のようになります。
三角関数の定義
単位円において,
$$\begin{aligned} &\sin\theta=\stext{$\rmP$ の $y$ 座標}\\ &\cos\theta=\stext{$\rmP$ の $x$ 座標}\\ &\tan\theta=\stext{$\rmO\rmP$ の傾き} \end{aligned}$$
関数として考える
$\rmP$ の位置によって $\theta$ は変化しますから,$\theta$ の値によって $\sin\theta$,$\cos\theta$,$\tan\theta$ の値も変化します。つまり,$\sin\theta$,$\cos\theta$,$\tan\theta$ は $\theta$ の関数になることがわかります。
このように考えたものを三角関数といい,三角比と同じような意味合いで用いられます。
関数として考えていきましょうね!というだけで,考え方はこれまでの三角比と同じです!
三角関数の相互関係
各種公式
三角比と同様に,次の公式が成り立ちます。
三角関数の基本公式
以下の関係式が成り立つ。
$$\begin{aligned}&\stext{①\ $\sin^2\theta+\cos^2\theta=1$}\\&\stext{②\ $\tan\theta=\bun{\sin\theta}{\cos\theta}$}\\&\stext{③\ $\tan^2\theta+1=\bun{1}{\cos^2\theta}$}\end{aligned}$$
特に ① と ② は速やかに使いこなせるようにしておきましょう。
三角関数の性質
三角関数の表現方法
三角関数を効率的に扱うため,三角関数の性質を理解しておきましょう。たとえば,次のような関係を考えてみましょう。
$$\cos(\pi-\theta)=-\cos\theta\text{\quad…\ ①}$$
この式の左辺は $\cos(\pi-\theta)$ となっていますが,実はこの式は $-\cos\theta$ と変形することができます。どちらの方が簡単ですか?
後者のほうがわかりやすいです!
さて,なぜこのようになるのでしょうか。
単位円で考える
単位円周上に適当に角 $\theta$ の動径をとって考えてみましょう。
動径 $\rmO\rmP$ を図のようにとるとき,角 $(\pi-\theta)$ の動径 $\rmO\rmQ$ も図のように表すことができますね。
さて,
$$\cos(\pi-\theta)=\stext{(点 $\rmQ$の $x$ 座標)}$$であるわけですが,点 $\rmQ$ は $y$ 軸を対称の軸として点 $\rmP$ と対称な点です。
ということは,
$$\cos(\pi-\theta)=\stext{(点 $\rmQ$の $x$ 座標)}=-\stext{(点 $\rmP$の $x$ 座標)}$$です。
単位円がないとこのあたりは考えづらいですね。
ここで,
$$\stext{(点 $\rmP$の $x$ 座標)}=\cos\theta$$なので,
$$\begin{aligned}\cos(\pi-\theta)&=\stext{(点 $\rmQ$の $x$ 座標)}\\&=-\text{(点 $\rmP$の $x$ 座標)}\\&=-\cos\theta\end{aligned}$$となり,① の式の成立が確認できますね。
その他の関係式
以下に,代表的な性質をまとめました。各関係式は丸暗記するのではなく,上のように単位円を用いた考え方を理解し,すぐに導けるようになっておきましょう。
覚えないでください!!その場で単位円をかいて,10秒くらいで導けるようにしておきましょう。
いろいろな関係式
① $\theta+2n\pi$ について
$$\begin{aligned}\sin(\theta+2n\pi)&=\sin\theta\\ \cos(\theta+2n\pi)&=\cos\theta\\ \tan(\theta+2n\pi)&=\tan\theta\end{aligned}$$
② $-\theta$ について
$$\begin{aligned}\sin(-\theta)&=-\sin\theta\\ \cos(-\theta)&=\cos\theta\\ \tan(-\theta)&=-\tan\theta\end{aligned}$$
③ $\theta+\pi$ について
$$\begin{aligned}\sin(\theta+\pi)&=-\sin\theta\\ \cos(\theta+\pi)&=-\cos\theta\\ \tan(\theta+\pi)&=\tan\theta\end{aligned}$$
④ $\pi-\theta$ について
$$\begin{aligned}\sin(\pi-\theta)&=\sin\theta\\ \cos(\pi-\theta)&=-\cos\theta\\ \tan(\pi-\theta)&=-\tan\theta\end{aligned}$$
⑤ $\theta+\bun{\pi}{2}$ について
$$\begin{aligned}\sin\left(\theta+\bun{\pi}{2}\right)&=\cos\theta\\ \cos\left(\theta+\bun{\pi}{2}\right)&=-\sin\theta\\ \tan\left(\theta+\bun{\pi}{2}\right)&=-\bun{1}{\tan\theta}\end{aligned}$$
⑥ $\bun{\pi}{2}-\theta$ について
$$\begin{aligned}\sin\left(\bun{\pi}{2}-\theta\right)&=\cos\theta\\ \cos\left(\bun{\pi}{2}-\theta\right)&=\sin\theta\\ \tan\left(\bun{\pi}{2}-\theta\right)&=\bun{1}{\tan\theta}\end{aligned}$$
繰り返しになりますが,覚えないで!!単位円をかいてすぐに導けるように練習してください!