正弦定理
準備
ここまでのセクションでは,三角比の定義やその扱い方について学習してきました。最初にお伝えした通り,三角比の根底には「相似の概念」があります。
当然ですが,三角比は図形に応用することができます。これまで私たちがもっていた図形を扱うツールは「相似」や「三平方の定理」といった限られたものだけでしたが,三角比を用いることによって,よりシンプルに,より簡潔に図形を扱うことができるようになります。
今回のセクションでは,三角比を図形で応用する技法を学んでいきましょう。

まず,前提となる下記の約束事を知っておいてください。
名前の付け方
$\triangle\rmA\rmB\rmC$ において,頂点 $\rmA$,$\rmB$,$\rmC$ に向かい合う辺 $\rmB\rmC$,$\rmC\rmA$,$\rmA\rmB$ の長さを,それぞれ $a,\ b,\ c$ で表し,$\angle\rmA,\ \angle\rmB,\ \angle\rmC$ の大きさを,それぞれ $A,\ B,\ C$ で表す。
さて,これを踏まえた上で,三角比と図形の重要公式の1つ目を学習しましょう。
正弦定理
正弦定理
まずは $\sin$(正弦)に関する定理です。
正弦定理
$\triangle\rmA\rmB\rmC$ の外接円の半径を $R$ とすると,
$$\bun{a}{\sin A}\mskip 5mu=\mskip 4mu\bun{b}{\sin B}\mskip 5mu=\mskip 4mu\bun{c}{\sin C}\mskip 5mu=2R$$
外接円とは,三角形の3頂点すべてを通る円のことです。

物理で正弦定理を用いる機会は多くありません。物理の準備としては「ふーん,そういう定理があるのかぁ」くらいに流してもらって構いません。
余弦定理
余弦定理
三角比と図形の重要公式の2つ目です!

こちらの余弦定理は物理でもたびたび登場しますので,しっかり覚えましょう!
正弦定理 その①
$\triangle\rmA\rmB\rmC$ において,以下の式が成り立つ。
$$\begin{aligned} a^2&=b^2+c^2-2bc\cos A\\ b^2&=c^2+a^2-2ca\cos B\\ c^2&=a^2+b^2-2ab\cos C \end{aligned}$$
この余弦定理を用いることで,3辺の長さがわかっているとき,角度(正確には $\cos$ の値)を求めることができます。
別の表現
余弦定理を少し変形した,下記の公式も重要です。

この形で覚えておく必要はありません。変形すると確かにこうなるなぁ,と眺めておいてください。
余弦定理 その②
余弦定理は以下の形でも表現できる(式自体は「余弦定理 その①」と同値!)。
$$\begin{aligned}\cos A&=\mskip 4mu\bun{b^2+c^2-a^2}{2bc}\mskip 5mu\\ \cos B&=\mskip 4mu\bun{c^2+a^2-b^2}{2ca}\mskip 5mu\\ \cos C&=\mskip 4mu\bun{a^2+b^2-c^2}{2ab}\mskip 5mu\end{aligned}$$