原子物理 物理

X線の干渉

羽白 いむ

東京大学医学部医学科卒 現役医師
東大指導専門塾鉄緑会 物理・数学科元講師
物理基礎のトリセツ著者
数学のトリセツ共著者

$\rmX$ 線の干渉

電磁波なので!

$\rmX$ 線は電磁波ですので,可視光と同じように干渉します。

羽白

この $\rmX$ 線の干渉について考えてみましょう。

$\rmX$ 線を用いてヤングの実験を行ったとしましょう。強め合いの条件は,

$$d\mskip 6mu\bun{x}{L}\mskip 5mu=m\lambda$$

でしたね。

$\rmX$ 線の波長は可視光の $10^{-3}$ 倍程度ですので,複スリットのスリット間隔 $d$ を $10^{-3}$ 倍にすれば同じ結果が得られます!

羽白

……と,言うのは簡単なのですが,実際にそれってできますか…?

そもそもヤングの実験のスリット間隔 $d$ が $0.1\punit{mm}$ 程度くらいです。

それの $10^{-3}$ 倍のスリットを作るなんてそんな簡単な話ではありません。

羽白

可視光のヤングの実験とはスケールが違いすぎて,同じように扱うことはできないのです。

結晶を使う

そこで注目したのが,原子が等間隔に並んだ「結晶」です。

$\rmX$ 線の波長は,一般的な結晶の原子同士の間隔(格子定数)とおおよそ等しいので,これを回折格子のように使うことで $\rmX$ 線を干渉させることができるのです!

実際の干渉

規則正しく原子が配列した,格子定数が $d$ である結晶に $\rmX$ 線を入射する状況について考えてみましょう。

図のように,原子面に対して $\theta$ の角度で電子線を入射したとき,2つの光の光路差 $\varDelta D$ は図の色を付した部分になります。

物理1545

直角三角形に注目することで,

$$\varDelta D=2d\sin\theta$$

であることがわかりますね。

これより,強め合いの条件は $m$ を自然数として,

$$2d\sin\theta=m\lambda$$

と表せることがわかります。この式をブラッグの条件と呼びます。

ブラッグの条件

格子定数が $d$ の結晶を用いて $\rmX$ 線を干渉させるとき,原子面に対する入射角を $\theta$ とすると,強め合いの条件式は自然数 $m$ を用いて,

$$2d\sin\theta=m\lambda$$

と表される。

格子定数を求めるときに有用!

波長 $\lambda$ がわかっている $\rmX$ 線を用いて実験を行い,強め合いが起こる $\theta$ について調べることで,結晶の格子定数 $d$ を求めることができます。

このように,$\rmX$ 線は目に見えないほど小さい物質の構造を調べる際に有用であり,DNAの立体構造の解明にも利用されました。

電子線の干渉

電子線の干渉

電子は物質波として「波動」の性質も持つという話をしました。ということは,$\rmX$ 線と同じように干渉するはずですね。

実際に,結晶に電子線を照射する実験を行うと,干渉が観測されます。

このことから,実験的に物質波の存在が確かめられたのです。

羽白

「電子が波として干渉する」って考えにくい!けど,実際に干渉するのです!

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