光波
光の性質
本セクションでは,光に注目しながら波の反射や屈折について考えていきます。

「光」というのは,日常生活で目にするような,いわゆる「可視光」だと考えてください。
まずは光の性質についてです。光の速さは光速度と呼ばれ,宇宙で最も大きな速さであることが知られています。
この世の中に,光より速く進める物質は存在しないのです!
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真空中におけるその大きさは $c=3.0\times10^8\ms$ であり,1秒間に地球を7周半することができます。
屈折率
屈折率とは
「光速度の大きさは真空中では $c=3.0\times10^8$」と述べましたが,わざわざ「真空中では」というくらいですから,他の物質中を進むときの速さは実は異なります。
真空中以外の物質中を進む際は,真空中の速さよりも遅くなることが知られています。
ある物質中を光が進む速さが,真空中の $\Bun{1}{n}\mskip 5mu$ 倍のとき,$n$ をその物質の屈折率(より丁寧には絶対屈折率)と呼びます。
波動の基本公式と屈折率
この屈折率について,光についての「波動の基本公式 $v=f\lambda$」を考えてみましょう。
図のように,屈折率 $n$ の物質に真空から光を入射したとします。
真空中での光の波長を $\lambda$,物質中での光の波長を $\lambda\prime $ としたとき,$\lambda\prime $ はどのように表されるでしょうか。

まず,光の振動数に注目してみましょう。
真空中における光の振動数 $f$ は,真空中から単位時間の間に物質に送り込まれる波の数ですね。「1秒の間に図中の☆の部分に入ってくる波の数」と考えてokです。
一方,物質中での光の振動数 $\fp $ は,単位時間の間に物質の入り口から物質中に送り出されていく波の数です。こちらは「1秒の間に図中の☆の部分から物質中に出ていく波の数」と考えられますね。
波は自然に発生したり,消滅したりすることはないので,これらの数は一致します!つまり,$f=\fp $ が成り立つのです。
「単位時間に $f$ 個の波を送れば,物質中を $f$ 個の波が伝わっていき,$f$ 個の波が出てくる!」ということです。
物質中での波動の基本公式
以上を踏まえて,真空中と物質中のそれぞれで波動の基本公式を立ててみましょう。
$$\stext{真空中:$c=f\lambda$} \qquad \stext{物質中:$\bun{c}{n}\mskip 5mu=f\lambda\prime $}$$
となりますので,2式を比較すると $\lambda\prime =\mskip 4mu\bun{\lambda}{n}\mskip 5mu$ であることがわかります。
物質中における光波
真空中および屈折率が $n$ の物質中における光の性質は以下の通りに対応する。
反射と屈折
斜め方向の入射について
真空中から,屈折率が $n$ の物質にまっすぐ光を入射したときに何が起こるかを確認しました。
では,屈折率が異なる物質へと光を斜めに入射するとどうなるでしょうか。
図のように,屈折率が $n_1$ の物質と $n_2$ の物質が接している境界面に,光を斜めから入射したとしましょう。
このとき,境界面の法線から測った入射方向の角度を入射角と呼びます。図中の $\theta_1$ ですね。
反射光と屈折光
境界面で光は反射光と屈折光に分かれます。そのまま反射される光が反射光で,角度が変わって屈折率が $n_2$ の物質中へと進んでいく光が屈折光です。
それぞれの光の向きを表す反射角と屈折角はいずれも境界面の法線方向から測った角度で与えられ,図中の $\theta_1\prime ,\,\theta_2$ に対応します。
反射の法則
このとき,入射角と反射角が必ず等しくなる $(\theta_1=\theta_1\prime )$ という反射の法則が成立します。
「当たり前じゃない…?」と思うかもしれませんが,証明しようと思うと意外と難しいです!

必ずしも知っている必要はありませんが,後ほど紹介します。
屈折の法則
屈折の法則とは
屈折光の進む方向を表す屈折角は、屈折の法則によって決まります。
図のように、光が媒質1から媒質2へと進む際の屈折において、
$$n_1\sin\theta_1=n_2\sin\theta_2$$
が成立する、というのが屈折の法則です!
他の形での表現
各媒質中での光の速さを $c_1,\,c_2$,真空中の光の速さを $c$ とすると、
$$n_1=\mskip 4mu\bun{c}{c_1}\mskip 5mu,\ n_2=\mskip 4mu\bun{c}{c_2}\mskip 5mu$$
が成り立つので,屈折の法則を,
$$\Bun{\sin\theta_1}{\sin\theta_2}\mskip 5mu=\mskip 4mu\bun{n_2}{n_1}\mskip 5mu=\mskip 4mu\bun{c_1}{c_2}\mskip 5mu$$
の形に変形することができます。
同様に、各媒質中での光の波長を $\lambda_1,\,\lambda_2$,真空中の光の波長を $\lambda$ とすると、$n_1=\mskip 4mu\bun{\lambda}{\lambda_1}\mskip 5mu,\ n_2=\mskip 4mu\bun{\lambda}{\lambda_2}\mskip 5mu$ とかけるので、
$$\Bun{\sin\theta_1}{\sin\theta_2}\mskip 5mu=\mskip 4mu\bun{n_2}{n_1}\mskip 5mu=\mskip 4mu\bun{\lambda_1}{\lambda_2}\mskip 5mu$$
が得られますね。
相対屈折率
なお,式中に出てきた $\Bun{n_2}{n_1}\mskip 5mu$ という値は,媒質1に対する媒質2の相対屈折率と呼ばれています。$n_{12}$ のように表されることが多いです。
媒質2の(絶対)屈折率は媒質1の(絶対)屈折率の何倍か,を表す値ですね。
屈折の法則
図のような屈折において、
$$n_1\sin\theta_1=n_2\sin\theta_2$$
が成立する。
例題
媒質中を伝わる平面波がある。この平面波が媒質1から媒質2へと伝わるとき,図の向きに屈折した。以下の問いに答えよ。
媒質1に対する,媒質2の相対屈折率を求めよ。
媒質1中での波の速さを $v_1$ としたとき,媒質2中での波の速さ $v_2$ を求めよ。
(1) の解き方
屈折の法則の説明の際には光波の屈折を考えましたが,本問のように平面波に関しても同様の屈折の法則が成り立ちます。

式の立て方は同じですが,入射角,屈折角がどこかをしっかりと考えてください!
そのために,本問のように「波面」が与えられた場合には,「波の進む向きを表す直線」をかく必要があります。この直線は,波面に垂直な向きになります。
そして,「入射角や屈折角は,境界面の法線方向から測った角度」であることを強く意識してください!図の $\alpha$ が入射角,$\beta$ が屈折角になりますね。
今回は $\alpha=45\Deg$,$\beta=60\Deg$ なので,媒質1,2の屈折率を $n_1,\,n_2$ とすると,屈折の法則より,
$$n_1\sin45\Deg=n_2\sin60\Deg$$
が得られます。相対屈折率は,$n_{12}=\mskip 4mu\bun{n_2}{n_1}\mskip 5mu$ なので,
$$n_{12}=\mskip 4mu\bun{n_2}{n_1}\mskip 5mu=\mskip 4mu\bun{\sin45\Deg}{\sin60\Deg}\mskip 5mu=\mskip 4mu\bun{\sqrt6}{3}\mskip 5mu$$
として (1) の答えが得られます。
(2) の解き方
$n_{12}=\mskip 4mu\bun{v_1}{v_2}\mskip 5mu$ を覚えていれば直ちに答えが得られますが,この式は覚える必要はありません!
水面波なので,「真空中での速さ」というものは実際には存在しませんが,仮にこれを $v$ とした場合,
$$v_1=\mskip 4mu\bun{v}{n_1}\mskip 5mu,\ v_2=\mskip 4mu\bun{v}{n_2}\mskip 5mu$$
が成り立ちます。これを整理すれば,$\bun{n_2}{n_1}\mskip 5mu=\mskip 4mu\bun{v_1}{v_2}\mskip 5mu$ を得ることができます。
屈折の法則については,$n_1\sin\theta_1=n_2\sin\theta_2$ の形をしっかりと覚えておき,その他の形については適宜その場で導くのがよいでしょう。