波動 物理

反射による水面波の干渉

羽白 いむ

東京大学医学部医学科卒 現役医師
東大指導専門塾鉄緑会 物理・数学科元講師
物理基礎のトリセツ著者
数学のトリセツ共著者

水面に壁が設置されている場合

具体例での確認

水面上に直線状の壁があり,その壁で水面波が反射されている場合にもこれまでと同様に考えることができます。具体的に例題で確認してみましょう。

例題

$xy$ 平面上の $x<0$ の領域に水面がある。$y$ 軸に一致して壁が設置されており,$\left(-\mskip 6mu\bun32\lambda,\,0\right)$ の位置に波源 $\rmS_1$ がある。$x<0$ の領域の点 $\rmP(x,\,y)$ では,波源 $\rmS_1$ から直接届く波と,壁に反射されてから届く波が重なり合い,干渉する。水面波の波長を $\lambda$ として以下の問いに答えよ。

物理689

波源 $\rmS_1$ を出て,壁に反射されてから点 $\rmP$ に届く波がたどる経路の長さ $l_2$ を,$x,\,y$ を用いて表わせ。

点 $\rmP$ に届く 2 つの波が強め合うための条件を求めよ。

波源 $\rmS_1$ と壁の間を通過する節線の本数を求めよ。

(1)の解き方

まず,壁に反射されてから点 $\rmP$ に届く波の経路について確認しましょう。

羽白

壁に対する反射ですから,壁に対して折り返して考えれば OK です。

物理690

すると,壁に対して波源 $\rmS_1$ と対称的な位置にある波源 $\rmS_2$ から直進してきたと考えてよいことがわかりますね。

点 $\rmP$ の座標は $(x,\,y)$,点 $\rmS_2$ の座標は $\left(\bun32\lambda,\,0\right)$ ですので,この 2 点間の距離が求める $l_2$ です。よって,

$$l_2=\sqrt{\left(\bun32\lambda-x\right)^2+y^2}$$が答えになります。

(2)の解き方

(1) で考えたように,壁に反射されてから $\rmP$ 点に届く波は,波源 $\rmS_2$ から発せられて直進してきたものと考えることができます。

よって,壁の反射のことは忘れて,「波源 $\rmS_1$,$\rmS_2$ から発せられた 2 つの波の干渉」として考えることができるわけですね!

この点に気付ければ,あとは通常の水面波の干渉と同様に考えていくことが出来るはずです。

物理691

$\rmP$ 点における強め合いの条件は,

$$\varDelta L=\overline{\rmS_2\rmP}-\overline{\rmS_1\rmP}=m\lambda$$です。$\overline{\rmS_2\rmP}=l_2$ は (1) で求めた通りですので,同様に $\overline{\rmS_1\rmP}=l_1$ についても 2 点間の距離を計算することで,

$$l_1=\sqrt{\left(\bun32\lambda+x\right)^2+y^2}$$であることがわかります。よって,

$$\sqrt{\left(\bun32\lambda-x\right)^2+y^2}-\sqrt{\left(\bun32\lambda+x\right)^2+y^2}=m\lambda\quad\stext{\hspace{-.5em}(ただし,$m$ は自然数)}$$

が強め合いの条件として求まります。

ここで,必ず $\overline{\rmS_2\rmP}>\overline{\rmS_1\rmP}$ となることに注意しましょう。これより,$\varDelta L>0$ であるため,$m$ は自然数であるものとして考えることができるのです。

一見すると $\sqrt{\left(\bun32\lambda+x\right)^2+y^2}>\sqrt{\left(\bun32\lambda-x\right)^2+y^2}$ だが,$x<0$ であることに注意する。

(3)の解き方

水面波の干渉と同様に考えることができるため,$\rmS_1$ と原点 $\rmO$ を結ぶ直線上には定在波が生成されていることがわかるかと思います。

羽白

この定在波について考えましょう。

$y$ 軸がちょうど $\rmS_1\rmS_2$ の垂直二等分線となっていますので,この腹線に対応する定在波の腹が原点に生成されます。

定在波の腹-節間隔は $\Bun{\lambda}{4}\mskip 5mu$ なので,原点に最も近い節の位置は $\left(-\mskip 6mu\bun{\lambda}{4}\mskip 5mu,\,0\right)$ です。

節-節間隔は $\Bun{\lambda}{2}\mskip 5mu$ ですので,$x$ 軸上を負の方向に $\Bun{\lambda}{2}\mskip 5mu$ だけ戻るごとに節が現れます。

よって,$\left(-\mskip 6mu\bun{3}{4}\mskip 5mu\lambda,\,0\right)$,$\left(-\mskip 6mu\bun{5}{4}\mskip 5mu\lambda,\,0\right)$ も定在波の腹であることがわかりますね。

物理692

以上から,$\rmS_1\rmO$ 間の節の数は 3 つであることがわかります。この節の位置 1 つに対応して,節線が 1 本存在するので,求める本数は 3 本です。

図示して考える方法

解説では,定在波を利用して (3) を解きましたが,水面波の様子を図示して考える方法でも OK です。

波源 $\rmS_1$,$\rmS_2$ によって生成される水面波と,腹線・節線の様子は次図の通りです。

物理693

各腹線・節線には,対応する $\varDelta L=\overline{\rmS_2\rmP}-\overline{\rmS_1\rmP}$ の値を付記しています。

また,$x\geqq0$ の領域は実際には存在しないため,薄く表示しています。

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