波動 物理

水面波の干渉

羽白 いむ

東京大学医学部医学科卒 現役医師
東大指導専門塾鉄緑会 物理・数学科元講師
物理基礎のトリセツ著者
数学のトリセツ共著者

水面波の干渉

平面上での議論

これまで学習してきた干渉条件の考え方を用いて,平面上で起こる干渉について考えていきます。

水面上のある1点を振動させると,その点を中心とする円形の波が発生します。別のもう1点を同時に振動させると,2つの円形の波が発生し,これらが互いに干渉し合います。

2つの波源を等しい振幅で,常に同位相となるように振動させたとき,平面上にどのような波が観測されるかを考えてみましょう。

腹線と節線

現象の整理

2つの点波源を $\rmS_1$,$\rmS_2$ とし,$\overline{\rmS_1\rmS_2}=2\lambda$ であるものとします。ある瞬間の波面の山を実線で,谷を点線で表すと,次のような図が完成します。

物理682

この図を利用して,波が強め合う点,弱め合う点を探していきましょう。以下では,水面上のある点 $\rmP$ における,波源からの距離の差 $\overline{\rmS_1\rmP}-\overline{\rmS_2\rmP}$ を経路差 $\varDelta L$ とします。

山と谷の重なり

図中で,実線と実線が交わっている点は,同時に山が届く点であり,強め合いの条件が満たされる点です。同様に,点線と点線が交わる点は同時に谷が届く点であり,こちらも強め合いの条件が満たされる点です。

これらの点を図中に色塗りの丸で示します。

一方,実線と点線が交わる点は,山と谷が同時に届く点です。重ね合わせの原理にしたがって重ね合わせると,打ち消しあって変位が $0$ となります。よって,このような点は弱め合いの条件が満たされる点であることがわかりますね。

これらの点を図中に白丸で示します。

物理683

図を見ると,強め合いの位置や弱め合いの位置が「点」として存在しているように見えますが,そうではありません!

たとえば,$\rmS_1\rmS_2$ の垂直二等分線上の点(いずれも強め合いの点)に注目してみましょう。

物理684

これらの点は,$\rmS_1$ と $\rmS_2$ からの距離が等しい位置に存在していますよね。つまり,$\varDelta L=0\cdot\lambda$($m=0$ の強め合いの条件!)を満たす点です。

$\rmS_1\rmS_2$ の垂直二等分線上の点であれば,$\varDelta L=0$ を必ず満たしますので,この垂直二等分線そのものが「$\varDelta L=0$ を満たす強め合いの点の集合」になっているのです!

腹線と節線

このような,強め合いの条件を満たす点の集合を腹線と呼びます。「垂直二等分線なんだから波源からの距離が等しいのだし,常に同じ位相の波が届くのは当然!」と考えて理解してください。

他の位置についても同様に考えましょう。強め合い・弱め合いの条件を満たす位置は,「点」ではなく「線」で存在しているはずですね。

先ほど図示した強め合いの点,弱め合いの点同士をなめらかにつなぐと,次のような図が完成します。弱め合いの点を結んだ曲線は点線で示しましたが,この曲線は節線と呼びます。

物理685

干渉条件との関連

対応関係

羽白

続いて,強め合い・弱め合いの条件との対応関係を考えましょう。

中心の垂直二等分線は $\varDelta L=0$ に対応する腹線でした。

では,①の腹線はどうでしょう。

生徒

この腹線は $\rmS_1$ よりも $\rmS_2$ に近く,

$$\varDelta L=\overline{\rmS_1\rmP}-\overline{\rmS_2\rmP}>0$$を満たしています。

$m=0$ の隣の腹線であり,$m=1$ に対応していると考えられるため,$\varDelta L=1\cdot\lambda$ を満たす腹線であることがわかりますね。

②の曲線は①の曲線と対称的な位置にあり,$\varDelta L<0$ ですので $m=-1$ に対応する節線であることがわかります。

節線の場合

では,節線はどうでしょうか。④ の節線は,$m=0$ の腹線($\varDelta L=0$)と $m=1$ の腹線($\varDelta L=\lambda$)に挟まれた位置にあります。

よって,$0<\varDelta L<\lambda$ であり,かつ弱め合いの条件を満たす点の集合であることがわかりますね。

弱め合いの条件は $\varDelta L=\left(\bun12+m\right)\lambda$ ですので,$\varDelta L=\mskip 4mu\bun12\lambda$ に対応する節線であることがわかります。

法則性

羽白

ここまでくれば規則性が見えてくるのではないでしょうか。

④ が $\varDelta L=\mskip 4mu\bun12\lambda$ の節線,① が $\varDelta L=\lambda$ の腹線でした。

となると,その隣の節線である ⑥ は $\varDelta L=\mskip 4mu\bun32\lambda$ を満たすわけですね。

対称性を考えると,③ の節線は $\varDelta L=-\mskip 6mu\bun12\lambda$,①の節線は $\varDelta L=-\mskip 6mu\bun32\lambda$ に対応することが速やかにわかります。

直線$\rmS_1\rmS_2$上の干渉

考え方は同じ

直線 $\rmS_1\rmS_2$ 上でどのような現象が起こるのかを確認していきましょう。

直線 $\rmS_1\rmS_2$ 上で,$\rmS_2$ より右側に位置する点 $\rmP$ について考えてみます。

物理686

点 $\rmP$ について,

$$\varDelta L=\overline{\rmS_1\rmP}-\overline{\rmS_2\rmP}=\overline{\rmS_1\rmS_2}=2\lambda$$が成り立ちます。

これは,$m=2$ に対応する強め合いの条件式となっていますので,点 $\rmP$ で波は強め合うことがわかります。

そして,$\rmS_2$ と $\rmP$ の距離によらずこのことは成り立つので,直線 $\rmS_1\rmS_2$ 上の $\rmS_2$ より右側の全ての部分は $\varDelta L=2\lambda$ に対応する強め合いの位置,すなわち腹線であることがわかります!

波形を見ながら確認

実際に,$\rmP$ に届く波について考えてみましょう。$\rmS_2$ より右側の領域には,「$\rmS_1$ から発せられて右側に進む波」と「$\rmS_2$ から発せられて右側に進む波」が同時に届きます。

物理687

$\rmS_1$ と $\rmS_2$ の距離がちょうど $2\lambda$ であるがゆえに,この2つの波がぴったり同位相で重なっていることが図から確認できますね。

対称性から,直線 $\rmS_1\rmS_2$ 上の $\rmS_1$ より左側の領域は $\varDelta L=-2\lambda$ に対応する腹線であることがわかります。

ここまでのまとめ

以上をまとめて,水面上の全ての腹線・節線をかき込むと次図の通りに整理することができます。

羽白

各腹線・節線には,対応する $\varDelta L$ の値を付記しました。

物理688

なお,腹線(節線)は「$\rmS_1$,$\rmS_2$ からの距離の差が波長 $\lambda$ の整数倍(半整数倍)となっている点の集合」です。

「2点からの距離の差が等しい点の集合」は,双曲線となりますので,直線を除く腹線・節線はいずれも双曲線です。

線分$\rmS_1\rmS_2$上の議論

最後の仕上げ

最後に,線分 $\rmS_1\rmS_2$ 上で何が起こるかを考えていきます。「もういいよ疲れた!これ以上新しい話は無理!」という皆さんも安心してください。この話,実はただの復習です!

点 $\rmP$ が線分 $\rmS_1\rmS_2$ 上に位置する状況については,これまでにすでに学習しているのです。

羽白

何の話だかわかりますか…?

定在波ですね!

生徒

左右から同じ形の正弦波が同時に届いて重なり合う状況では,定在波ができるのでしたね!

ということで,線分 $\rmS_1\rmS_2$ 上には定在波が生成されます。

完成図の確認

先ほど確認した腹線・節線の完成図を再確認してみましょう。

物理688

線分 $\rmS_1\rmS_2$ の部分は腹線と節線が交互に通過していますよね。そして腹線と節線の間隔が $\Bun14\lambda$ になっていることも確認できるかと思います。

これは,腹-節間隔が $\Bun14\lambda$ になるという定在波の性質そのものを表しています。「干渉の一般論」のページのはじめに「定在波も干渉の一種」と述べましたが,そのことが実感できたのではないでしょうか!

特徴のまとめ

水面波の特徴について,以下にまとめておきます。

水面波の干渉のまとめ

水面において,2つの点波源 $\rmS_1$,$\rmS_2$ が同位相で振動しているとき,水面上には腹線と節線が交互に生成される。$\overline{\rmS_1\rmS_2}=2\lambda$ のときの水面の様子を図に示す。また,特徴的な性質を以下にまとめる。

物理688
  • 腹線は強め合いの条件
    $$\varDelta L=m\lambda$$を満たす点の集合,節線は弱め合いの条件
    $$\varDelta L=\left(\bun12+m\right)\lambda$$を満たす点の集合。
  • 線分 $\rmS_1\rmS_2$ 上には定在波ができる。これに対応して,腹線・節線は $\Bun14\lambda$ の間隔で線分 $\rmS_1\rmS_2$ 上を通過する。

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