接線と法線
接線
関数 $f(x)$ の微分係数 $f'(a)$ は,曲線 $y=f(x)$ 上の点 $(a,\,f(a))$ における接線の傾きを表していました。よって,曲線 $y=f(x)$ の $x=a$ における接線の方程式は次のようになります。
接線の方程式
曲線 $y=f(x)$ 上の点 $(a,\,f(a))$ における接線の方程式は,
$$y=f^\prime(a)(x-a)+f(a)$$
法線
曲線上の点 $(a,\,f(a))$ を通り,この点におけるその曲線の接線と垂直である直線を法線といいます。
接線の傾きは $f'(a)$ なので,法線の傾きは $f'(a)\neq0$ のとき,$-\Bun{1}{f'(a)}$ と表せます。よって,法線の方程式は,
$$y=-\bun{1}{f^\prime(a)}(x-a)+f(a)$$と表すことができます。
関数の増減
増加関数と減少関数
関数 $f(x)$ において,ある区間で $x$ が増加すると $f(x)$ も増加するとき,$f(x)$ は単調増加であるといいます。
逆に,$x$ が増加すると $f(x)$ は減少するとき,$f(x)$ は単調減少であるといいます。

関数の増減は,$f'(x)$ の符号で確認することができます。
$f'(x)$ と関数の増減
ある区間で,常に,
$$\begin{aligned}&\stext{$f'(x)>0$ ならば,$f(x)$ はその区間で単調増加する。}\\&\stext{$f'(x)<0$ ならば,$f(x)$ はその区間で単調減少する。}\\&\stext{$f'(x)=0$ ならば,$f(x)$ はその区間で定数である。}\end{aligned}$$
具体的な関数で
これを用いて,$f(x)=x^3+3x^2-2$ の増減を調べ,$y=f(x)$ のグラフを考えてみましょう。まず,$f'(x)$ を求めると,
$$f'(x)=3x^2+6x=3x(x+2)$$ですね。
$f'(x)=0$ となる $x$ は,$x=-2$,$0$ であり,$f'(x)$ の符号は次の表のようになります。
この表のことを,増減表といい,$\nearrow$ や $\searrow$ はグラフが単調増加か単調減少かを表しています。
なお,$f'(x)$ の符号がわかりにくい場合は図のように $y=f'(x)$ のグラフを考えてみるとよいでしょう。
放物線の $x$ 切片が $x=-2,\,0$ であることを踏まえると,$x<-2,\,x>0$ で $f'(x)>0$,$f'(x)>0$,$-2<x<0$ で $f'(x)<0$ であることがわかります。
以上を利用して $f(x)$ のグラフをかくと次のようになります。
関数の極大と極小
極大・極小
$y=x^3+3x^2-2$ において,$x=-2$ を含む十分小さい区間では,$y$ は $x=-2$ で最大になっています。同様に,$x=0$ を含む十分小さい区間では,$y$ は $x=0$ で最小になっています。
このとき,$x=-2$ で $f(x)$ は極大になるといい,$f(-2)$ のことを極大値,$x=0$ で $f(x)$ は極小になるといい,$f(0)$ のことを極小値といいます。
また,極大値と極小値をまとめて,極値といいます。
極大・極小
$f(x)$ が微分可能な関数であるとき,$x=a$ において,
$$\begin{aligned}&\stext{$f'(x)$ の符号が正から負に変化するとき,$f(x)$ は $x=a$ で極大値をとる。}\\&\stext{$f'(x)$ の符号が負から正に変化するとき,$f(x)$ は $x=a$ で極小値をとる。}\end{aligned}$$