関数の極限
まずは言葉の確認
関数 $f(x)=2x^2$ において,$x$ が $1$ と異なる値をとりながら $1$ に近づくとき,$f(x)$ の値は $2$ に限りなく近づきます。
一般に,関数 $f(x)$ において,変数 $x$ が $a$ と異なる値をとりながら $a$ に限りなく近づくとき,それに応じて,$f(x)$ の値が一定の値 $\alpha$ に限りなく近づく場合,
$$\lim_{x\to a}f(x)=\alpha\quad\stext{または}\quad \stext{$x\to a$ のとき $f(x)\to\alpha$}$$とかきます。
この値 $\alpha$ を $x\to a$ のときの関数 $f(x)$ の極限値または極限といいます。また,このとき,$f(x)$ は $\alpha$ に収束するといいます。
上の関数 $f(x)=2x^2$ については,$x\to1$ のときの極限値は $2$ で,
$$\lim_{x\to1}2x^2=2\quad\stext{または}\quad\stext{「$x\to1$ のとき $2x^2\to2$」}$$と表記します。
非常によく使う表現なので慣れましょう!
微分係数
グラフを用いて
関数 $y=f(x)$ において,$x$ の値が $a$ から $a+h$ まで変化するとき,$y$ の変化量は $f(a+h)-f(a)$ です。
$x$ の変化に対する $y$ の変化の割合
$$\Bun{f(a+h)-f(a)}{(a+h)-a}=\bun{f(a+h)-f(a)}{h}$$を,$x$ が $a$ から $a+h$ まで変化するときの平均変化率といいます。
図の色付きの直線の傾きを表していますね!
また,$\displaystyle\lim_{h\to0}\Bun{f(a+h)-f(a)}{h}$ が存在するとき,これを $f(x)$ の $x=a$ における微分係数といい,$f'(a)$ で表します。
$\displaystyle f'(a)=\lim_{h\to0}\Bun{f(a+h)-f(a)}{h}$ は,関数 $y=f(x)$ のグラフの,$x=a$ における接線の傾きを表しています。
$h$ を小さくしていくと,やがて $x=a$ における接線になるよ,ということです。その接線の傾きが $f'(a)$!
導関数の定義
関数として
関数 $f(x)$ の $x=a$ における微分係数 $\displaystyle f'(a)=\lim_{h\to0}\Bun{f(a+h)-f(a)}{h}$ は,$a$ が様々な値をとると1つの関数となります。そこで,$a$ を $x$ で書き換えて,
$$f'(x)=\lim_{h\to0}\Bun{f(x+h)-f(x)}{h}$$と定義した関数 $f'(x)$ を,$f(x)$ の導関数といい,導関数を求めることを微分するといいます。
関数 $y=f(x)$ における,接線の傾きを表す関数が導関数です!
関数 $y=f(x)$ の導関数を表す記号としては,$y'$,$\bun{\dy}{\dx}$,$\bun{d}{\dx}y$,$\bun{d}{\dx}f(x)$ などが用いられます。
$\bun{d}{d\text{●}}\text{■}$ は,「■を●で微分する」という意味があります。たとえば,$s=f(t)$ のとき,$\Bun{d}{\dt}s$ は「$s$ を $t$ で微分する」という意味になります。
この「なにで微分しているか」は重要!物理ではよく時刻 $t$ で微分します。
また,関数 $f(x)$ の導関数が存在するとき,$f(x)$ は微分可能であるといいます。
微分可能性については,書籍数学のトリセツ数学Ⅲで詳しく扱っています!
微分法の公式
公式
導関数を,イチイチ定義を用いて計算するのはとても面倒くさいですよね。有名な関数は,導関数がどのような形になるのか公式化しておきましょう。
有名な導関数
関数 $f(x)=x^n$($n$ は自然数)の導関数は,一般的に,
$$f'(x)=nx^{n-1}$$
これを用いるとたとえば,
$$(x^4)'=4x^3,\ (x^3)'=3x^2,\ (x^2)'=2x,\ (x)'=1$$となります。また,$c$ が定数であるとき,
$$(c)'=0$$が成り立ちます。
この公式は寝てても使えるように!
導関数の性質
性質について
関数 $f(x)$,$g(x)$ が微分可能であるとき,以下が成り立ちます。
導関数の性質
$k,\,l$ を定数とするとき,以下が成り立つ。
$$\begin{aligned}&\{kf(x)\}'=kf'(x)\\&\{f(x)+g(x)\}'=f'(x)+g'(x)\end{aligned}$$
また,これらより,
$$\{kf(x)+lg(x)\}'=kf'(x)+lg'(x)$$