三角比の方程式
方程式の解き方
三角比の扱いについて慣れてきましたか?次は三角比の「逆の計算」をやってみましょう。
これまでは,「角度が与えられていて,それに対応する三角比を求める」というやり方でした。今度はその逆で,「与えられた三角比から角度を求める」というものです。
いわば,「三角比の方程式を解く」方法です。
例として,$\sin\theta=\Bun12$ のときの $\theta$ の値を求めてみましょう。
$\sin$ は「単位円周上の $y$座標」でしたよね?つまり,「$\sin\theta=\Bun12$ のときの $\theta$ の値を求める」ことは,「(単位円周上の)$y$ 座標が $\Bun12$ になるような角度 $\theta$ を求める」ことになります。
上図のように,単位円周上で $y$ 座標が $\Bun12$ となる点は $\rmP$,$\rmQ$ の2箇所にあり,このときの $\angle\rmA\rmO\rmP$ と $\angle\rmA\rmO\rmQ$ が求める $\theta$ の値となります。
では,$\angle\rmA\rmO\rmP$ の値はいくつになるでしょうか?
図のように,点 $\rmP$ から $x$ 軸に下ろした垂線の足を $\rmH$ とします。$\triangle\rmP\rmO\rmH$ を見てみましょう。
$\rmO\rmP=1,\ \rmP\rmH=\bun12$ より,$\rmO\rmP:\rmP\rmH=2:1$ となります。
有名三角形ですね!
$1:2:\sqrt{3}$ の三角形ですから,$\angle\rmP\rmO\rmH$ は $30\Deg$ とわかります。
よって,$\angle\rmA\rmO\rmP=30\Deg,\ \angle\rmA\rmO\rmQ=150\Deg$ となりますので,求める答えは $\theta=30\Deg,\,150\Deg$ となります。
三角比の不等式
不等式の解き方
三角比における不等式の扱い方についても学習しましょう。
これも単位円を用いれば難しくはありません。
たとえば,$0\Deg<\theta<90\Deg$ のとき,$\sin\theta>\Bun12$ を満たす $\theta$ の範囲を求めてみましょう。
上の単位円を見てください。図のように,$\sin\theta$($y$ 座標!)の値が $\Bun12$ より大きくなるのは,$\theta$ が $30\Deg$ より大きいときです。
したがって,
$$\sin\theta>\bun12\Leftrightarrow 30\Deg<\theta<90\Deg$$となります。
別のパターン
では,$0\Deg<\theta<180\Deg$ のときはどうでしょうか?
上図を見るとわかる通り,
$$\sin\theta>\bun12\Leftrightarrow 30\Deg<\theta<150\Deg$$です。
このように,与えられている $\theta$ の範囲によって答えは異なりますが,考え方は全く同じであることがわかりますね。
不等式も,方程式と同様に単位円を用いて考えれば何も難しくはありません!