心構え

力学の山場といわれることが多い「単振動」について勉強していきましょう。
初学の段階では難しく感じる人が多いはずです。一方で,一度理解してしまえば難しい問題もスムーズに解けるようになることが多いのが特徴です。
物理が苦手な人に「力学で一番むずかしい単元は?」と聞くと,「単振動」と答える人が多いです。
しかし不思議なことに,物理が得意な人に「力学で一番簡単な単元は?」と聞くと,「単振動」と答える人が多いのです。
問題の解き方が理解できてしまえば,同じ流れでさくさく解き進めていけるはず!「単振動って簡単!」と思えれば,周囲に大きく差を付けられますので頑張りましょう!
単振動とは
結論!
先に結論をいいます!単振動とは,等速円運動の「影」です!
等速円運動している物体に光を当てると,壁に物体の影が現れ,往復運動を行います。この往復運動が単振動です。
このことを踏まえて,単振動する物体の位置 を時刻 の関数として表してみましょう。
半径が ,角速度が であるような等速円運動を行う物体の影について考えます。
図のように,等速円運動している物体の位置ベクトルの影を考えることで,単振動する物体の位置がわかりますね。
時刻 において, となります。
横軸に時刻 ,縦軸に位置 を取ったグラフは, をそのままグラフにしたものになるので,上図のようになりますね。
と同じ形をしていますので,このグラフの形を「型」と呼ぶことにします。
時刻 では ですが,時刻が進むことで「」→「」→「」→「」→「」といった往復運動を行うことが確認できます。
の位置は振動中心, の位置は振動の端点と呼ばれます。また,振動中心から端点までの距離(つまり )を振幅と呼びます。
スタートの位置から考えるパターン
一方で, から単振動がスタートする状況も考えられます。この場合,元の円運動も上の位置からスタートします。
位置ベクトルの影は長さが となりますので,単振動する物体の位置 は, ですね。
グラフの形は と同じになりますので,これを「型」と呼ぶことにします。
ここまでくると予想が付きませんか…?「型」と「型」もありそうですよね。
「型」は, の位置から下に向かって円運動を始める場合,「型」は,下の位置から円運動がスタートする場合に対応します。
単振動として考えたときの位置はそれぞれ,, ですので,グラフの概形はそれぞれ次の通りです。

基本的にはこの4パターンが考えられるようになればokです!
一般的な単振動
上の4つのどれでもない中途半端な場所(三角関数の中身,つまり位相が の位置)から単振動がスタートする場合は, とかくことができます。
また,ここまでは が振動の中心であることを前提としましたが,そうではない場合もあります。
が振動の中心となる場合,物体の位置は とかくことができます。この形が最も一般的な形になります。
単振動
等速円運動の影が行う運動を単振動と呼ぶ。振動中心が ,振幅が ,角振動数が ,初期位相( での位相)が である単振動の,時刻 における位置 は,
の形で表される。問題を解く際には,4つの「型」を元に考える。
等速円運動との比較
同じ点と異なる点を明確に
単振動は等速円運動の影ですので,1往復するのにかかる時間は円運動の周期と同じはずです。よって,単振動の周期 は, で計算できます。
ところで,円運動の角速度 を利用して考えてきましたが,単振動ではこの を角振動数と呼びます。
表しているものは円運動の角速度と同じで,「単位時間あたりに位相がどれだけ進むか」です。単位も角速度と同じで です。
円運動では「単位時間に何周するか」という回転数を考えましたね。単振動では,「単位時間に何往復するか」という値に対応します。
この値を振動数と呼びます。単位はです。波動と同じですね。周期 と振動数 の間には, の関係が成り立ちます。
単振動の周期と振動数
単振動の周期 は,角振動数 を用いて, で表される。
振動数 との間には, の関係が成り立つ。