学習

試験に向けた,暗記学習の計画の立て方

羽白 いむ

東京大学医学部医学科卒 現役医師
東大指導専門塾鉄緑会 物理・数学科元講師
物理基礎のトリセツ著者
数学のトリセツ共著者

そもそも何のための暗記?

一言で「暗記」と言っても,いろいろな「暗記」がありますよね。

暗記の具体例

  • 直後の確認テストに向けた暗記
  • 翌日のテストのための一夜漬けの暗記
  • 受験や資格取得に向けた,中・長期的な知識の暗記

具体的な暗記の目的によって,ポイントも異なってきます。

今回の記事では特に,「ある程度先の試験に向けた知識の暗記」に焦点を絞り,どうすれば効率よく覚えられるかを考えてみたいと思います。

受験勉強や定期テスト対策,資格取得の勉強の際に役立つはずです。

暗記を始める前に

学習の計画を立て始める前に,必ず認識しておかなければいけないことがあります。

それは「誰でも必ず1回覚えただけでは忘れる」ということです。

どんなに頭が良い人でも1度で全てを覚えきるなんて無理なんです。

羽白

「東大医学部なら一回見ただけで何でも覚えちゃうんでしょ」とよく言われますが,全くそんなことはありません。覚えたつもりの知識でも次から次へと忘れていきます。

本当に頭が良い人は,「1度覚えただけでは忘れる前提で,何度も復習できるような学習計画を立てられる人」なのです。

暗記をする際の前提

1度覚えても必ず忘れる。まずはこのことを自覚することが大切。

エビングハウスの忘却曲線

「エビングハウスの忘却曲線」というものをご存知でしょうか。

簡単に説明すると,「1度の記憶では定着率が低いが,復習を繰り返すことで定着率が上昇していく」というものです。

上のグラフのように,復習を繰り返すたびに知識を忘れる割合が減っていき,定着する知識が増えていきます。

考えてみれば当たり前の話です。復習しなければどんどん忘れていきます。

より多くの知識を定着させるには,「とにかく繰り返し復習すること」が大切なのです。

計画を立て始めるときに確認しておくべきこと

計画を立て始める際には,必ず以下の2つを確認しましょう。

確認事項

  • 試験までの時間はどのくらいか。暗記にどのくらいの日数を割けるか。
  • どのくらいの量を暗記する必要があるのか。

① 使える時間の確認

試験までの日数を単純に数えるだけではなく,「実際に暗記に使える時間」を具体的に把握します。

30日後の試験であっても,10日間は予定が入っていて,最後の1週間はアウトプット(暗記した知識を使って問題集を解くなど)の期間にしたい場合であれば,暗記に使えるのは13日間になりますね。

② 暗記量の確認

単語テストであれば覚える単語の数,資格試験であれば参考書のページ数になりますね。

羽白

ここまで確認できたら,いよいよ実際に計画を立てていきます!

具体的な学習計画の立て方

1回覚えただけでは当然忘れることを自覚して,繰り返し復習できる計画内容にしていきます。

こんな状況なら?

10日後に単語テストがります。出題範囲は300語です。どのように学習計画を立てますか?

時間をかけないと覚えられないから,という理由で以下のような計画を立ててしまうのはNG。

悪い学習計画の例

1日30語ずつ確実に覚えていく。試験までに1周。

これでは初日に覚えた単語はテストのときにはほとんど忘れてしまっているはずですし,1度きりの記憶になってしまうため定着率も低いことが予想されます。

よって例えば,以下のような計画を立てることで「エビングハウスの忘却曲線」をより考慮してみましょう。

正しい学習計画の例

最初の3日でまず1周,次の3日で2周目,さらに次の3日で3周目。1日は予備。

1日30語ずつの計画よりも遥かに成績も上がるでしょうし,テストが終わった後も長く記憶に残ることが予想されます。

さらに「回数を重ねれば復習にかかる時間も少なくなる」ということを意識して,以下のような計画を立てられれば完璧でしょう。

よりよい学習計画の例

最初の4日でまず1周,次の3日で2周目,さらに次の2日で3周目,最後の1日で全体の最終確認。

羽白

1回1回の学習では完璧にこだわらなくてokです。100%を1周よりも,70%を3周,といった意識で!

このように,「1回覚えただけではどうせ忘れるから何回も復習できるように最初から計画を立てておく」ということが大切です。

どんなに頭のよい人でも1度で全ての物事を覚えることはできません。羽白も「1周だけでは必ず忘れる」と自ら認識しているので,大切な勉強は必ず複数回繰り返して行うようにしています。

復習の方法

「何回も復習することが大切!」と頭でわかっていて,実際に複数回復習できるような計画を立てても,参考書をただただ読んでいるだけでは飽き飽きしてしまいます。

「復習」にもいろいろな方法があります。何度も書く,声に出して読んでみる,ひたすら読み込む,など方法は様々ですが,2周目以降はアウトプットを意識した復習方法がより大切であるように思います。

アウトプットを意識した復習の一例

  • 学んだ内容,覚えた内容を人に説明する。
  • 友人と問題を出し合ってテストをする。
  • マークシートなどを利用した穴埋めの問題形式で復習する。

特に「人に説明する」方法がおすすめ

単語などの単純な暗記であれば話は別ですが,資格取得の勉強などある程度の理解も必要な学習では非常に有用です。

例えばFPの資格取得の勉強をしているのであれば,「所得税って何?」というテーマで友人に説明をしてみます。

理解しきれている内容はスラスラ説明できるでしょうし,理解できていない内容・覚えていない内容は説明に詰まるでしょう。

覚えたつもりだったけれども実は理解が曖昧だった内容も浮き彫りになります。

理解している内容,ひとまず覚えている内容についても,声に出して説明することで,より頭の中が整理されて定着度が上がります。

まとめ

効率のよい暗記学習の計画の立て方についてまとめました。

大きなポイントは2つです。

この記事のポイント

  • 1度覚えただけでは忘れることを自覚する。
  • 繰り返し復習できるような計画を立てる。

これらを踏まえて学習を繰り返していれば,自分に合った計画の立て方が自然と身についていくことでしょう。

せっかく時間をかけて学習して覚えるわけですから,忘れないような学習方法で取り組みたいものですね。

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