物理 電磁気学

振動回路①

羽白 いむ

東京大学医学部医学科卒 現役医師
東大指導専門塾鉄緑会 物理・数学科元講師
物理基礎のトリセツ著者
数学のトリセツ共著者

$\rmL\rmC$振動回路の概要

コイルとコンデンサーの回路で

次図のような回路を考えてみましょう。

物理1003

コンデンサーにはあらかじめ $Q_0$ の電荷が充電されているものとします。

羽白

スイッチを入れると,回路ではどのような変化が起こるでしょうか…?

順を追って説明していきます!最後に掲載した図をみながら確認していきましょう。

フル充電の後

まずはコンデンサーの放電が始まります。

回路に電流が流れるわけですが,コイルは電流の変化を嫌うため,徐々に電流は増加していきます(図の「放電 (i)」)。

蓄えられた電荷を全て放出してコンデンサーの充電量が $0$ になりますが,このときには回路に勢いよく電流が流れています(図の「②」)。

羽白

このとき,電流の大きさは最大となっています。

電流の大きさが最大の後

ここで放電が終了すればよいのですが,そうはいきません!

なぜなら,コイルが電流の変化を嫌うからです!

生徒

コイルは電流を流し続けようとするため,回路には電流が流れ続け,コンデンサーに再び電荷が蓄えられていきます(図の「充電 (i)」)。

このときの充電では,右側の極板に正の電荷が蓄えられていきますね。やがて充電は終了し,再びフル充電の状態になります。

回路全体でエネルギーが保存されるため,充電量は $Q_0$ です。① のときとは異なり右側の極板に正の電荷が蓄えられていることに注意しましょう(図の「③」)。

(逆の)フル充電の後

ここでストップ!

羽白

とはなりません…!

① を左右逆にした状態になっていますので,逆向きの放電が始まります。

回路には反時計回りの電流が流れ始めるわけですね(図の「放電 (ii)」)。

電荷が $0$ になるタイミングで,回路の電流の大きさは最大となりますが,先ほどの ② のときとは逆向きに電流が流れています(図の「③」)。

(逆の)電流の大きさが最大の後

やはりコイルが電流を流し続けるので,逆向きの充電が進んでいきます(図の「充電 (ii)」)。

この充電が終わると再び① の状態に戻ります!

生徒

① の状態になるとまた放電が始まり,同じ変化が繰り返されます。

①→②→③→④ が延々と繰り返されるわけですね。この変化をまとめたものが次図です。

物理1004

このような現象を電気振動と呼びます。

この一連の流れがどうして繰り返されるのかを,上の図を使いながら自分の言葉で説明できるように整理しておきましょう…!

電気振動

充電されたコンデンサーにコイルを接続すると,蓄えられる電荷の向きが交互になりながら放電と充電を繰り返す。この現象を電気振動と呼ぶ。

数式を使った解釈

数式で

ここまで,コイルとコンデンサーの性質に注目してどのような現象が起こるかを考えましたが,数式でも確認してみましょう!

羽白

微分が出てくるのでやや難しいですが,考え方は単振動と一緒!

物理1005

上図のように,コンデンサーが蓄える電気量 $Q$ は左側の極板が正,コイルを流れる電流 $I$ は左向きを正とします。

時刻 $t=0$ において $Q=Q_0$,$I=0$ としたとき,時刻 $t$ における $Q,\,I$ はそれぞれどのように表されるでしょうか。

立式

まずはキルヒホッフの第二法則を立式しましょう。
$$\bun{Q}{C}\mskip 5mu+L\mskip 6mu\bun{\dI}{\dt}\mskip 5mu=0$$ですね。

さらに連続方程式 $I=\mskip 4mu\bun{\dQ}{\dt}\mskip 5mu$ も成立します。

$I$ は $Q$ を1階微分したもの,ということですので,$\bun{\dI}{\dt}\mskip 5mu$ は $Q$ を2階微分したものになります。

よって,キルヒホッフの第二法則は,
$$\bun{Q}{C}\mskip 5mu+L\mskip 6mu\bun{\d^2Q}{\dt^2}\mskip 5mu=0$$と書き換えられます。これを整理すると,
$$\bun{\d^2Q}{\dt^2}\mskip 5mu=-\mskip 6mu\bun{1}{LC}\mskip 5muQ\stext{\quad……\ ①}$$が得られます。

羽白

「こんな複雑な微分方程式解けないよ!」と思ったあなた!実はもう解き方を知っているはずですよ…!

単振動を思い出して!

思い出してほしいのは「単振動」です。

運動方程式は,
$$a=-\stext{▢}(x-\stext{◯})$$の形に変形することができ,角振動数は $\omega=\sqrt{\stext{□}}$,振動中心は $x_0=\stext{◯}$ として求めることができたのでしたね。

$a$ は加速度を表していて,$a=\mskip 4mu\bun{\d^2x}{\dt^2}\mskip 5mu$ ですので,
$$\bun{\d^2x}{\dt^2}\mskip 5mu=-\stext{▢}(x-\stext{◯})$$の形の方程式であれば同様の方法で解けるはずです。

比較しながら

そこで ① の方程式を見てみると,まさにこの形になっていますね!
$$\stext{▢}=\mskip 4mu\bun{1}{LC}\mskip 5mu,\ \stext{◯}=0$$という対応関係になっているため,$Q$ は $\omega=\sqrt{\bun{1}{LC}\mskip 5mu}$,振動中心 $Q=0$ の“単振動”を行うことがわかります!

初期条件について

初期条件についても単振動の場合と同様に考えましょう。$t=0$ で $Q=Q_0$ ですので,グラフは $+\cos$ 型ですね。

物理1006

これより,
$$Q=Q_0\cos\mskip 6mu\bun{1}{\sqrt{LC}\mskip 5mu}t$$が得られます。

電流について

電流については,$I=\mskip 4mu\bun{\dQ}{\dt}\mskip 5mu$ を利用しましょう。

求めた $Q$ の式を $t$ で微分すればよいので,
$$I=-\mskip 6mu\bun{Q_0}{\sqrt{LC}\mskip 5mu}\sin\mskip 6mu\bun{1}{\sqrt{LC}\mskip 5mu}t$$であることがわかりますね!

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