物理 電磁気学

電流と磁場

羽白 いむ

東京大学医学部医学科卒 現役医師
東大指導専門塾鉄緑会 物理・数学科元講師
物理基礎のトリセツ著者
数学のトリセツ共著者

電流と磁場

大きさの求め方

物理基礎で,3種類の電流のまわりの磁場について扱いました。

磁場の様子や向きについては求めることができるはずですが,大きさについては扱いませんでしたね。

羽白

それぞれのタイプについて,磁場の強さについて紹介します。

直線電流のまわりの磁場

電流の大きさを $I$,電流からの距離を $r$ としたとき,磁場の強さ $H$ は,
$$H=\mskip 4mu\bun{I}{2\pi r}\mskip 5mu$$で表されます。

$r$ に反比例するため,電流に近ければ近いほど強い磁場になることがわかりますね。

このことを踏まえると,より正確な磁場の様子は次図の通りです。

物理934

また,この磁場の式は分子に $I$,分母に $r$ を含んでいるため,単位は $\punit{A/m}$ とかくことができますね。

$\punit{N/Wb}$ と同様,$\punit{A/m}$ も磁場の単位になります。

羽白

上の公式をすぐに思い出せるようにしておけば,単位もすぐにわかるため無理に暗記する必要はないでしょう。

円形電流のまわりの磁場

電流の強さを $I$,円形の電流の半径を $r$ としたとき,円の中心部の磁場の強さ $H$ は,
$$H=\mskip 4mu\bun{I}{2r}\mskip 5mu$$で表されます。

物理935
羽白

これはあくまで円の中心の磁場の強さであることに気をつけて下さい。

直線電流周りの磁場の式と似てますね…!分母に $\pi$ が入るか入らないかの違いです。

直線電流周りでは磁場が円形,円形電流周りでは磁場が直線状です。

「前者は磁場が円形だから分母に $\pi$ が含まれる」ものとして覚えておくと忘れにくいのでオススメです。

ソレノイドの内部の磁場

ソレノイドを流れる電流の大きさを $I$,ソレノイドの単位長さあたりの巻き数($1\m$ の範囲で何回巻かれているか)を $n$ としたとき,ソレノイド内の磁場の強さ $H$ は,
$$H=nI$$で表されます。

円形電流の中心の磁場と異なり,内部の磁場の密度は均一ですので,中心部に限らず $H=nI$ が成立します。

よってたとえばソレノイドの断面積が $S$ であるとき,内部の磁束密度の大きさは $B=\mu H=\mu nI$ ですので,ソレノイド内の磁束 $\varPhi$ は,
$$\varPhi=\mu nIS$$と求めることができます。

例題

真空中におかれた半径 $r_0$ の円形の導線に,大きさが $I$ の電流が反時計回りに流れている。円の中心 $\rmO$ から $l$ だけ離れた位置に直線状の導線があり,この導線にも強さが $I$ の電流が流れている。このとき,以下の問いに答えよ。ただし,真空の透磁率を $\mu_0$ とする。

物理936

円形の導線に流れる電流が点 $\rmO$ に作る磁束密度の向きおよび大きさを求めよ。

点 $\rmO$ における磁束密度が $0$ となるとき,直線状の導線に流れる電流の向きおよび $r$ を求めよ。

(1) の解き方

羽白

公式を使えば ok です!

電流が作る磁場の公式はいずれも正確に覚えておきましょう。

今回問われているのは磁束密度ですので,
$$B=\mskip 4mu\bun{\mu_0I}{2r}\mskip 5mu$$が答えになります。また,右ねじの法則より,磁場の向きは紙面奥から手前向きです。

なお,「紙面手前から奥向き」と「紙面奥から手前向き」を表現する際には,次のような記号を使います。

物理937

いずれも電磁気学の範囲でよく使う記号ですので,しっかりと覚えておきましょう。

(2) の解き方

羽白

まずは向きについて考えましょう。

円形の電流が点 $\rmO$ に作る磁束密度が紙面手前向きですので,直線電流が点 $\rmO$ に作る磁場は紙面奥向きである必要があります。

右ねじの法則を踏まえると,直線電流は上向きに流れている必要があることがわかりますね。

物理938

直線電流が点 $\rmO$ に作る磁束密度の大きさ $B_1$ は,公式を用いることで,
$$B_1=\mskip 4mu\bun{\mu_0I}{2\pi l}\mskip 5mu$$として求まります。

2つの磁場が互いに打ち消し合うことから,大きさが等しいことがわかります。よって,
$$\Bun{\mu_0I}{2r}\mskip 5mu=\mskip 4mu\bun{\mu_0I}{2\pi l}\mskip 5mu\qquad\therefore \quad l=\mskip 4mu\bun{r}{\pi}\mskip 5mu$$として答えが得られます。

-物理, 電磁気学