充電について
充電
スマートフォンやパソコンなどの電子機器の充電をした経験は誰しもあるでしょう。

そんな充電について少し考えてみます。
スマートフォンの充電がなくなったら,充電器をつないで充電しますよね。充電器をつなぐと電流が流れて,徐々に充電されていきます。
近年のスマートフォンは充電のスピードが上がっていますが,そうは言ってもすぐには終わりませんよね…?
「寝るときに充電し忘れたから $3$%しか充電残ってないけど,$3$ 秒充電したらフル充電できるからいっか!」なんていう素敵な世の中ではありません。
コンデンサーも同じ
コンデンサーについても同様のことがいえます。
コンデンサーは,極板に電荷を蓄える役割を持っていました。電池につなげば充電される(電荷が蓄えられる)し,抵抗につなげば放電する(蓄えられていた電荷を電流として流す)のでした。
充電する際には電流が流れる必要があり,時間をかけて充電も行われます。つまり,「充電の過程」についても考えないといけません。
充電する間の時間経過で,回路の様子が変化する現象を過渡現象と呼びます。この過渡現象について,考えていきましょう。
コンデンサーの過渡現象の大原則
連続的な変化
充電は時間をかけて徐々に進みます。充電が一瞬で終わることもなければ,途中で不連続に進むこともありません。常に充電量は連続的に変化します。
これと同じで,コンデンサーの充電の過程において,蓄えられている電荷 $Q$ は必ず連続的に変化します。

これ,当たり前のことなのですがとっても重要です!しっかりと頭に入れてここから先の内容を読み進めて下さい。
過渡現象について
具体的な回路で

では実際に充電の過程について考えてみましょう。
次図のように,起電力 $E$ の電池 $\rmE$,抵抗値 $R$ の抵抗 $\rmR$,電気容量 $C$ のコンデンサー $\rmC$ およびスイッチを接続します。
コンデンサーの左側の極板が蓄える電気量を $Q$,抵抗を右向きに流れる電流を $I$ とします。
コンデンサーにはもともと電荷が蓄えられていないものとし,スイッチを $\mathrm{b}$ から $\mathrm{a}$ に切り替えた時刻を $t=0$ とします。
スイッチを切り替えた直後
わかる情報から回路図にかき込んでいきましょう!
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今回真っ先に注目すべきポイントは,「$Q$ は連続的に変化する」です!
充電がなくなったスマートフォンに充電器を繋いだ直後,電池の残量はまだゼロのままですよね…?不連続に一気に充電が進むことはありません!!
ということで,$Q$ が直前と同じ,つまり $0$ であることが直ちにわかります。
コンデンサーの電圧は $V=\mskip 4mu\bun{Q}{C}\mskip 5mu$ ですので,電圧も $0$ であることがわかりますね。
この時点で分かる情報をかき込んだ回路図は次の通りです。
これより,キルヒホッフの第二法則を成り立たせるためには,抵抗 $\rmR$ に電圧が必要なことがわかります。
そして,この電圧は電池の起電力と同じ $V$ であることがわかりますね。
電圧の向きに注意すると,電流は正の向きに流れるはずです。
オームの法則から,
$$V=RI\qquad\therefore \quad I=\mskip 4mu\bun{V}{R}\mskip 5mu$$が得られ,電流の値が求まります。
以上がスイッチを切り替えた直後の回路の様子について考える手順です!
スイッチ操作の直後
コンデンサーに蓄えられる電荷は連続的に変化するため,スイッチ操作の直前と等しい。特に,もともとコンデンサーに電荷が蓄えられていない場合には,スイッチ操作の直後も電荷は $0$ であり,$V=0$ であることがわかる。
以上を踏まえて,キルヒホッフの法則を用いて回路の解析を行う。
変化の過程
充電中の一般的な状況について考えてみましょう。回路の様子は次図の通りです。
キルヒホッフの第二法則から,
$$E=\mskip 4mu\bun{Q}{C}\mskip 5mu+RI$$が成立することがわかります。
しかし,式中に $Q$ と $I$ という2つの未知数を含んでいるため,こちらの式のみでは解析を行うことができません。他に成立する式はないでしょうか…?
連続方程式
電流の定義から
コンデンサーの電荷 $Q$ と,コンデンサーに流れ込む電流 $I$ について考えてみましょう。
電流は「単位時間あたりに通過する電気量」を表していました。コンデンサーに流れ込む電流が $I$ ということは,単位時間あたりに電荷 $Q$ が $I$ だけ増加するということです。
「単位時間あたりの電荷 $Q$ の増加量」はつまり「$Q$ の変化率」ですので,$\Bun{\dQ}{\dt}\mskip 5mu$ を表しています。ということは,
$$I=\mskip 4mu\bun{\dQ}{\dt}\mskip 5mu$$が成立するわけですね。

この式を連続方程式と呼びます。
連続方程式
コンデンサーにおいて,$+Q$ の電荷を蓄える極板側に流れ込む電流を $I$ とするとき,
$$I=\mskip 4mu\bun{\dQ}{\dt}\mskip 5mu$$
が成立する。
注意点
何でもかんでも $I=\mskip 4mu\bun{\dQ}{\dt}\mskip 5mu$ と立式すればよいわけではないので気をつけて下さい!
上図のように,$+Q$ の電荷が蓄えられている極板から出ていく向きに電流が設定されている場合,電流が流れた分だけ電荷 $Q$ は減少します。
つまり,電流 $I$ は「$Q$ の減少量」を表しているため,
$$I=-\mskip 6mu\bun{\dQ}{\dt}\mskip 5mu$$と立式するのが正解です。
必ず「電流の向きは $+Q$ の電荷が蓄えられている極板に流れ込む向きなのか,あるいは極板から流れ出る向きなのか」を確認して立式するようにしましょう。
再び過渡現象
連続方程式を踏まえて

さて,連続方程式の話を踏まえて過渡現象について再び考えてみましょう。
先ほど立式したキルヒホッフの第二法則の式である,
$$E=\mskip 4mu\bun{Q}{C}\mskip 5mu+RI$$に,$I=\mskip 4mu\bun{\dQ}{\dt}\mskip 5mu$ を代入すると,
$$E=\mskip 4mu\bun{Q}{C}\mskip 5mu+R\mskip 6mu\bun{\dQ}{\dt}\mskip 5mu$$が得られます。
これは $I$ についての方程式ですが,微分を含む形(微分方程式)となっているため,高校数学の範囲では解くことができません。
完全に解くことができなくても,なんとかして状況をイメージできないでしょうか。
空気抵抗ありでの落下運動
そこで,空気抵抗がある場合の落下運動について思い出してみて下さい。
重力場で自由落下する物体の力の作用図は図の通りでした。
鉛直下向きの運動方程式は,
$$ma=mg-kv$$とかくことができましたね。
$a=\mskip 4mu\bun{\dv}{\dt}\mskip 5mu$ ですので,式を整理すると,
$$mg=kv+m\mskip 6mu\bun{\dv}{\dt}\mskip 5mu \quad \stext{…… ①}$$が得られます。これと,
$$E=\mskip 4mu\bun{Q}{C}\mskip 5mu+R\mskip 6mu\bun{\dQ}{\dt}\mskip 5mu \quad \stext{…… ②}$$って同じ形をしているのがわかりますか…?
式の類似性と対応
$mg=A$,$k=B$,$m=C$ とすると ①式は,
$$A=Bv+C\mskip 6mu\bun{\dv}{\dt}\mskip 5mu \quad \stext{…… ①$\prime$}$$です。同様に,$E=A\prime $,$\Bun{1}{C}\mskip 5mu=B\prime $,$R=C$ とすると ②式は,
$$A\prime =B\prime Q+C\mskip 6mu\bun{\dQ}{\dt}\mskip 5mu \quad \stext{…… ②$\prime$}$$ですね。
①$\prime$ と ②$\prime$ が同じ形をしているのは形から明らかですね。
グラフの比較
①$\prime$ 式から得られる $v-t$ グラフは次図の通りでした。
よって,②$\prime$ 式から得られる $Q$ の時間変化を表すグラフも同様の形になるはずです。
$t=0$ のとき,$I=\mskip 4mu\bun{V}{R}\mskip 5mu$ であることはすでに求めました。$I=\mskip 4mu\bun{\dQ}{\dt}\mskip 5mu$ ですので,$t=0$ におけるグラフの傾きは $\Bun{V}{R}\mskip 5mu$ であることがわかりますね。
では,終端速度 $v_f$ に対応する $Q$ の値(図の?)はいくつになるでしょうか。これから紹介する手順で求めるのが最もシンプルですが,先ほど出てきた ①$\prime$ と ②$\prime$ の式から考えることもできます。
文字の対応関係から,
$$mg=E,\quad k=\mskip 4mu\bun{1}{C}\mskip 5mu,\quad m=R$$が成り立つものと考えることができます。
これより,$g=\mskip 4mu\bun{E}{R}\mskip 5mu$ であることもすぐにわかります。
よって,終端速度 $v_f=\mskip 4mu\bun{mg}{k}\mskip 5mu$ に対応する値は,
$$\Bun{mg}{k}\mskip 5mu=CE$$として求まりますね。
グラフの解釈
また,グラフから,常に $Q$ が連続的に変化していることが確認できます。また,充電の後半になればなるほど充電のスピードが落ちることもわかります。

スマートフォンの充電って,最初は早いけれど後半は時間がかかりますよね…?
そのイメージをしっかりと持っておきましょう。
十分に時間が経過した後
十分に時間が経過すると,コンデンサーの充電が終了します!
それ以上 $Q$ が変化しないため,$\Bun{\dQ}{\dt}\mskip 5mu=0$ が成り立ちます。つまり,コンデンサーに流れ込む電流が $0$ になります!
これより,抵抗にかかる電圧が $0$ であることがわかりますね。
回路図での確認
以上を整理して回路図をかくと,次の通りになります。
キルヒホッフの第二法則から,
$$E=\mskip 4mu\bun{Q}{C}\mskip 5mu\qquad\therefore \quad Q=CE$$が得られますね!
これは先ほど空気抵抗がある場合の落下運動との対応関係から求めた値に一致しています。
十分に時間が経過した後
コンデンサーが蓄える電気量が一定となるため,$\Bun{\dQ}{\dt}\mskip 5mu=0$ が成立する。すなわち,コンデンサーがある部分には電流が流れない。