物理 電磁気学

直流回路のまとめ

羽白 いむ

東京大学医学部医学科卒 現役医師
東大指導専門塾鉄緑会 物理・数学科元講師
物理基礎のトリセツ著者
数学のトリセツ共著者

直流回路のまとめ

まとめ!

回路について様々な内容を扱ってきました!

コンデンサーや抵抗が含まれる回路の問題へのアプローチ方法を以下にまとめます!

回路の問題の解き方

① 各導線を流れる電流を向き付きで設定する。

② コンデンサーの各極板上の電気量を設定する。

③ 閉ループごとにキルヒホッフの第二法則を立式する。

④ 必要に応じて電荷保存則,連続方程式を立式する。

② でコンデンサーの電気量を設定する際には,向かい合う極板はセットで $+Q,\,-Q$ と設定し,どちらが正の電気量かも含めて設定するようにしましょう。

また,問題によってはコンデンサーの放電過程が問われることがありますが,こちらも考え方の原則は同様です。

問題での確認

さて,それではいよいよ回路のまとめとなる例題になります。これまでの内容をよくよく復習しながら確認して下さい!

例題

起電力が $E$ の電池 $\rmE$,抵抗値がそれぞれ $R_1,\,R_2$ の抵抗 $\rmR_1,\,\rmR_2$,電気容量が $C$ のコンデンサー $\rmC$ およびスイッチ $\rmS$ を図の通りに接続した。はじめ,スイッチは開いており,コンデンサーに蓄えられている電気量は $0$ とする。

物理923

スイッチを閉じた直後,抵抗 $\rmR_1,\,\rmR_2$ に流れる電流 $I_1,\,I_2$ を求めよ。ただし,いずれの電流も図の右向きを正とする。

スイッチを閉じてから十分に時間が経過した後,コンデンサーに蓄えられる電気量 $Q$ を求めよ。

(2) の後,スイッチ $\rmS$ を再び開く。スイッチを開いた直後に抵抗 $\rmR_1$ に流れる電流 $I_3$ を求めよ。ただし,図の右向きを正とする。

(3) の後,十分に時間が経過するまでに抵抗で消費される電力を求めよ。

スイッチを閉じた直後なので,コンデンサーに蓄えられている電気量は $0$ のままである。よって,コンデンサーの電圧は $0$ である。

以上から,回路の様子は次の通り。

物理924

キルヒホッフの第二法則より,
$$R_1I_1=E,\ R_2I_2=E$$が成立するので,これを整理して,
$$I_1=I_2=\mskip 4mu\bun{E}{R}\mskip 5mu$$

十分に時間が経過すると,コンデンサーに流れ込む電流は $0$ となる。よって,抵抗 $\rmR_2$ を流れる電流は $0$ である。

コンデンサーの左側の極板上の電気量を $+Q$,右側の極板の電気量を $-Q$ とする。

抵抗 $\rmR_1$ を流れる電流を右向きに $I_1\prime $ とすると,回路の様子は次の通り。

物理925

キルヒホッフの第二法則より,
$$R_1I_1\prime =E,\ \bun{Q}{C}\mskip 5mu=E$$が成立するので,これを整理して,
$$I_1\prime =\mskip 4mu\bun{E}{R}\mskip 5mu,\ Q=CE$$

スイッチを開いたことで,電池は回路から切り離されたものと考えられるため,必要部分のみ取り出した回路図で考える。

スイッチを開いた直後,コンデンサーに蓄えられている電気量は直前と等しく,$Q=CE$ である。

抵抗 $\rmR_1$ を右向きに流れる電流は,そのまま抵抗 $\rmR_2$ を左向きに流れることに注意する。

このとき,回路の様子は次の通り。

物理926

キルヒホッフの第二法則より,
$$\bun{Q}{C}\mskip 5mu+R_1I_3+R_2I_3=0$$が成立する。これを整理して,
$$I_3=-\mskip 6mu\bun{E}{R_1+R_2}\mskip 5mu$$

スイッチを開いてから十分時間が経過すると,コンデンサーに流れ込む電流が $0$ となる。よって,いずれの抵抗にも電流は流れず,電圧も $0$ となる。

キルヒホッフの第二法則が成立するためには,コンデンサーの電圧も $0$ でなければならないため,コンデンサーに蓄えられる電気量は $0$ であることがわかる。

物理927

回路のエネルギー保存則より,抵抗で消費された電力はコンデンサーに蓄えられていた静電エネルギーの変化に等しいため,
$$\bun{Q^2}{2C}\mskip 5mu=\mskip 4mu\bun12CE^2$$

差がつく理由

例題からもわかる通り,一見複雑にみえても回路の状況さえつかめれば簡単な計算ですぐに答えが求まります。

つまり,理解している人は短時間で確実に正解できるのです。一方で,理解が不十分で回路の様子が把握できないとどんなに時間をかけても答えが求まりません。

羽白

過渡現象の問題はこうした性質があるため,とっても差が付きやすいです。

得意になれば自信を持って答えられるようになりますので,しっかりと状況整理の方法を身に付けておきましょう!

-物理, 電磁気学