誘電体
誘電体とは
電気は通さないものの,内部で電荷の偏りが生じる物質を 誘電体 といいます。
コンデンサーに挟むと

この誘電体を,コンデンサーの極板間に挟むとどうなるでしょうか?
コンデンサーの右側の正の電荷によって,誘電体の右側には負の電荷が誘導されます。逆に,誘電体の左側には正の電荷が誘導されます。
これらの電荷の偏りによって,誘電体内には新たな電場が生じますね。
図からもわかる通り,この電場はもともと極板間に生じていた電場と反対向きです。つまり,もともとあった電場を打ち消します。
コンデンサーに蓄えられている電荷 $Q$ は不変のまま,電場 $E$ だけが弱まるわけです。一様電場の式 $V=dE$ から,電場が弱まると電圧 $V$ も小さくなることがわかります。
$Q=CV$ の式

以上の変化をもとに,$Q=CV$ の式の変化を考えてみましょう。
$Q$ は不変,$V$ は小さくなるので,$C$ は大きくなっていないとおかしいですね。このように,極板間に誘電体を挟むと,コンデンサーの電気容量は大きくなります。
電気容量の式は,$C=\varepsilon_0\mskip 6mu\bun{S}{d}\mskip 5mu$ でした。$S$ も $d$ も変化していないので,$\varepsilon_0$ が変わったと考えるほかありません。

そもそも $\varepsilon_0$ は「真空の誘電率」でしたよね。
誘電体を挟むと,極板間はその物質で満たされるわけですから,誘電体の物質の誘電率 $\varepsilon$ を用いて $C\prime =\varepsilon\mskip 6mu\bun{S}{d}\mskip 5mu$ とするのが自然でしょう。
電気容量の変化
誘電体を挟んだことで,電気容量 $C$ が大きくなったことから,
$$\varepsilon\mskip 6mu\bun{S}{d}\mskip 5mu>\varepsilon_0\mskip 6mu\bun{S}{d}\mskip 5mu\qquad\therefore \quad \varepsilon>\varepsilon_0$$
であることがわかります。
また,真空の誘電率と誘電体の誘電率の比 $\varepsilon_r=\mskip 4mu\bun{\varepsilon}{\varepsilon_0}\mskip 5mu$ を比誘電率といいます。
これより,誘電体を挟んだコンデンサーの電気容量は,
$$C\prime =\varepsilon\mskip 6mu\bun{S}{d}\mskip 5mu=\varepsilon_r\varepsilon_0\mskip 6mu\bun{S}{d}\mskip 5mu$$
とかけることがわかります。
誘電体
コンデンサーの極板間に誘電率が $\varepsilon$,比誘電率が $\varepsilon_r$ の誘電体を入れると,電気容量は
$$C\prime =\varepsilon\mskip 6mu\bun{S}{d}\mskip 5mu=\varepsilon_r\varepsilon_0\mskip 6mu\bun{S}{d}\mskip 5mu=\varepsilon_rC\ (>C)$$
になる。
「誘電体を入れると電気容量が大きくなってコンデンサーの性能が上がる!」ということですね。
ここまでの話の流れは非常に重要ですので,結果を暗記するだけでなく「自分の言葉でスラスラと説明できる」状態を目指してください!
例題
電気容量が $C$ の平行平板コンデンサーに,起電力が $V$ の電池およびスイッチを接続した回路を考える。スイッチを閉じてから十分に時間が経過した後に,スイッチを閉じたまま,コンデンサーの極板間に比誘電率が $\varepsilon_r$ の誘電体を挿入した。誘電体を挿入した後に,コンデンサーに蓄えられている電荷 $Q\prime $ および静電エネルギー $U\prime $ を求めよ。
スイッチは閉じたままであるため,コンデンサーにかかる電圧は $V$ で変化しない。
誘電体を挟んだ後のコンデンサーの電気容量は,$C\prime =\varepsilon_rC$ になる。よって,
$$Q\prime =C\prime V=\varepsilon_rCV$$
また,静電エネルギー $U\prime $ は,
$$U\prime =\mskip 4mu\bun12C\prime V^2=\mskip 4mu\bun12\varepsilon_rCV^2$$
スイッチを開いた場合
スイッチを開いてから誘電体を入れた場合であれば,電荷が $Q=CV$ で固定されます。よって,静電エネルギー $U\prime \prime $ は,
$$U\prime \prime =\mskip 4mu\bun{Q^2}{2C\prime }\mskip 5mu=\mskip 4mu\bun{1}{2\varepsilon_r}\mskip 5muCV^2$$
となります。