回路素子としてのコンデンサー
前のセクションでは,コンデンサーの基本性質について学習しました。このコンデンサーが回路素子として回路に組み込まれて出題されることがよくあります。そうした問題を解くために,回路素子としてのコンデンサーの性質について確認していきます。
コンデンサーの電圧
電圧の三角形
回路の問題を解くためには,キルヒホッフの法則を利用します。

その際,回路図中に電圧を表す三角形がかき込んであると立式がスムーズでしたよね。
コンデンサーの場合,正の電荷が蓄えている極板側が高電位なので,次図のような三角形になります。
つまり,「どちらの極板が で,どちらの極板が か」がわかれば,三角形をかき込むことができるわけです。
ということで,電荷がわからないコンデンサーがあれば,文字を使って自分で電荷を設定する必要があります。
どちらが かがわからない場合は,ひとまず自分で決めて設定してしまって符号付きで考えればokです。間違っていた場合には,計算して求まる の値が負になります。
必ずセットで!
また,コンデンサーの向かい合う極板の電荷は必ずセットで「 と 」になることに注意してください。

絶対値は同じです。別の文字を使って「 と 」のようには設定しないように!
回路の解析
例を用いて
以下の問題を考えてみましょう。
簡単な例
電気容量がそれぞれ , の平行平板コンデンサーを直列に接続し,起電力が の電池をつないだ。それぞれのコンデンサーに充電される電気量を求めよ。
キルヒホッフの第二法則を立式するために,回路図に三角形をかき込んでいきます。
コンデンサーの三角形をかき込むためには,溜まっている電荷がわかればokでした。
電荷の設定
そこで,左のコンデンサーの充電量を ,右のコンデンサーの充電量を としましょう。
いずれも左側の極板が正に帯電しているとすれば,次図の通りの回路図が完成します。
立式
コンデンサーの電圧は, の式から, で表されるので,左のコンデンサーの電圧は ,右のコンデンサーの電圧は です。

これらを用いてキルヒホッフの第二法則を立式しましょう。
回路の右側から左側へ,上のルートと下のルートでそれぞれ上っていくと考えるとわかりやすいでしょう。
上のルートだと,2つのコンデンサーの電圧 を上ることになります。一方,下のルートだと,電池の起電力 を上ります。この「上る高さ」が等しくなるので,
が成立します。
電荷保存則
成立する重要な式
「コンデンサーの極板間の部分は真空であり,電荷が移動できない」という話を思い出してください。
コンデンサー回路で,電池を繋いだりスイッチを切り替えたりすると電流として電荷が移動しますが,これはあくまで「導線部分を伝って」です。

コンデンサーの極板間を電荷が飛び越えて移動することは絶対にありません。
電荷保存則
以上の話を踏まえて,回路の状況を確認してみましょう。
図に示した点線の部分,左右とも真空になっていて独立していますね!
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内部に含まれている2枚の極板同士で電荷のやり取りは行われますが,外部から電荷が流入したり,逆に外部に電荷が流出したりすることはありません。
この部分の内側では電荷の総量が保存されることになります。これを電荷保存則と呼びます。
今回の例の場合
もともといずれの極板にも電荷が存在していなかったため,独立している部分の内部の電荷の総量は です。
充電された後は, と の電荷が内部に存在していますが,合計は のままですので,電荷保存則として,
と立式することができます。
慣れてきたら
最初からこの電荷保存則を意識することができれば, と の2つの文字ではなく,1つの文字 を使って状況を整理することができます。
「独立している部分の合計は のはずだから,片方が ならもう片方は のはず」と頭の中で考えてしまうわけですね。
慣れてきたら,頭の中で電荷保存則を意識しながら文字を設定できるようになるのが理想です。この場合,
というキルヒホッフの第二法則を立てるだけで解けますね。
注意事項!
また,今回はもともと充電されていなかったので,「」という形になりましたが,もともとコンデンサーが充電されていた場合にはその限りではありませんので注意してください!
「」の形で立式すると思い込んでいる人が大量発生するので,例題でも確認しておきます。
例題
コンデンサー回路の一部を図に示す。もともと,各極板には左図の通りの電荷が帯電していた。回路の状態が変化すると,右図の状態になった。このとき,成立する電荷保存則を立式せよ。
図の点線で囲んだ部分は周囲から独立している。
よって,この部分に電荷保存則を適用して,