物理基礎の復習
「力学的エネルギー」の復習はこちら!
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力学的エネルギー
目次1 エネルギーの変換2 力学的エネルギー保存則3 非保存力が仕事をする場合のエネルギー収支関係4 エネルギー保存則の意義 エネルギーの変換 運動エネルギーと位置エネルギー 位置エネルギーは「仕事を ...
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エネルギー収支関係の確認
仕事や位置エネルギーの理解が深まった状態で,エネルギー収支関係について改めて確認してみましょう。
物体は仕事をされると,その分運動エネルギーが増えるのでした。これを数式で表現すると,
$$\varDelta K=W$$です。
力の分解
右辺の $W$ は,合力の仕事を表しています。
この合力は,物体に作用する様々な力を含んでいます。
保存力A,保存力B,保存力C,…,非保存力A,非保存力B,非保存力C,…,といったイメージです。これらのすべての力の仕事の和が合力の仕事です。
よって,
$$W=W_{\text{保A}}+W_{\text{保B}}+W_{\text{保C}}+\cdots +W_{\text{非A}}+W_{\text{非B}}+W_{\text{非C}}+\cdots$$
という形に書き換えることができます。
式の整理
これだとばらばらで大変なので,保存力の仕事は保存力の仕事の和,非保存力の仕事は非保存力の仕事の和としてまとめましょう。
$$\begin{aligned} \sum W_{保}&=W_{\text{保A}}+W_{\text{保B}}+W_{\text{保C}}+\cdots\\\sum W_{非}&=W_{\text{非A}}+W_{\text{非B}}+W_{\text{非C}}+\cdots\end{aligned}$$とすれば,運動エネルギーの変化と仕事の関係式は,
$$\varDelta K=\sum W_{保}+\sum W_{非}$$と書き換えられます。
右辺の $\sum W_{保}$ を移項すると,
$$\varDelta K+\sum (-W_{保})=\sum W_{非}$$という形になります。
なにか素敵な形が見えてきませんか…?
そう,「$-W_{\text{保}}$」です!
$\varDelta U=-W_{保}$ の関係式を使えば,
$$\varDelta K+\sum\varDelta U=\sum W_{非}\stext{\quad……\ ①}$$という形に整理することができます。
左辺を日本語で表現すると,「運動エネルギーの変化量と,位置エネルギーの変化量の合計の和」です。
力学的エネルギーの導入
なんだかややこしくなってきましたが,ここで,力学的エネルギーというものを思い出しましょう。
$$\stext{(力学的エネルギー)}=\stext{(運動エネルギー)}+\stext{(位置エネルギーの和)}$$
でした。
とすれば!「運動エネルギーの変化量と,位置エネルギーの変化量の合計の和」は,「力学的エネルギーの変化量」といい換えることができてしまいますね!
$\varDelta E$ を使って①式を書き換えると,
$$\varDelta E=\sum W_{\text{非}}\text{\quad……\ ②}$$となります。
左辺が「力学的エネルギーの変化量」,右辺が「非保存力の仕事」ですので,「非保存力が仕事をしたとき,その仕事の分だけ物体の力学的エネルギーが変化する」という関係が出てきました!!
力学的エネルギーと非保存力の仕事
非保存力が仕事をしたとき,その仕事の分だけ物体の力学的エネルギーが変化する。
$$\varDelta E=\sum W_{\text{非}}$$
力学的エネルギー保存則の導出
ここまでで十分感動レベルなのですが,もう少し!
非保存力が仕事をしない場合にはどうなるでしょう…? ②式の右辺が $0$ になります。
$\varDelta E=0$ という式が得られますが,これってつまり「力学的エネルギーの変化量が $0$」ということです。
「変化量が $0$」ということは,「変化しない」ということですよね。
つまり!「非保存力が仕事をしない場合には力学的エネルギーが保存される」ということです!
力学的エネルギー保存則そのものが出てきました!
力学的エネルギー保存則
非保存力が仕事をしないとき,物体の力学的エネルギーが保存される。
どうですか!涙が出るくらい感動的じゃないですか…?
これまで覚えてきた式がすべて導出できて,しかも「力学的エネルギーが保存される条件が,非保存力が仕事をしないこと」という重要事項まで導けました!
今まで覚えていた「公式」達が見事に繋がりましたね!バンザイ!