波の反射
反射とは
一直線上に並んだ媒質に波が伝わるとき,媒質が無限に続いていればよいのですが,どこかで途切れていることもあります。
縄跳びを揺らして波を作る場合でも,縄跳びの長さには限りがありますよね。
媒質を伝わる波がこの端の点に達すると,この点で折り返して戻ってくることが知られています。
これを波の反射といいます。反射する前の波を入射波,反射した波を反射波と呼んでいます。
反射の種類
縄跳びが地面にただ置かれているだけであれば,波が反射する端の位置の縄(媒質)は自由に動ける状態です。
一方でたとえば,縄跳びの他端が棒に結び付けられているような状況では,波が反射する端の位置の縄(媒質)は固定されていて自由に動けません。
前者のように自由に動ける端を自由端,後者のように固定されていて動けない端を固定端と呼びます。
このような,波が反射する「媒質の端」の状態によって反射のしかたが変わります。それぞれについて見ていきましょう。
自由端の場合
入射した波はそのままの形で折り返して戻ってきます。つまり,入射した山は山のまま返ってきます。反対に,谷を入射すれば谷が返ってきます。
固定端の場合
入射した波は上下が反転した形で折り返して戻ってきます。つまり,入射した山は谷となって返ってきます。谷を入射すれば山が返ってきます。
簡単な例
例題
直線上に並んだ媒質を右向きに伝わるパルス波がある。壁で自由端反射をした場合,固定端反射をしたそれぞれの場合について,反射波の概形を図示せよ。
反射波を作成するにあたっては,透過波というものを考えましょう。
これは,「壁がなかったとしたらその位置に進んでいたはずの波」です。
壁の奥にこの透過波を考えて,それを壁に対して折り返す,という手順で解きます。具体的に確認してみましょう。
まずは透過波を考えます。「壁がなかったら波はここに進んでいたよね」という図のような波です。
自由端反射にしても固定端反射にしても,この透過波をまずは考えます。
自由端反射
自由端反射の場合は壁に対してこの透過波を折り返すだけで反射波が求められます。次図の通りです。
固定端反射
固定端反射の場合はどうでしょう。反射に際して上下も反転するので,壁に対して折り返す前に透過波を上下反転させる必要があります。
続いて,上下反転させた透過波を壁に対して反転させれば反射波の完成です。
固定端反射では作業が1つ増えるので少々面倒ですね…。
反射波の作図
① 透過波を作図する。
② 自由端反射なら透過波を壁に対して折り返す。固定端反射なら透過波を上下反転させてから壁に対して折り返す。