RLC直列共振回路
手順は同じ!
続いて,抵抗,コイル,コンデンサーの全てが交流電源に対して直列に繋がれている回路について考えていきます。

見た目はイカツイですが,考え方の手順は先ほどと同様です。
例題
角周波数が $\omega$ の交流電源に,抵抗値 $R$ の抵抗,自己インダクタンス $L$ のコイル,電気容量 $C$ のコンデンサーを直列につないだ回路がある。交流電源の電圧は,図の左側を高電位側として,$V(t)=V_0\sin\omega t$ である。以下の設問に答えよ。
回路に流れる電流を時計回りに $I(t)=I_0\sin(\omega t-\varphi)$ とおく。ただし,$\varphi$ は $-\pi<\varphi<\pi$ を満たしているものとする。時刻 $t$ において,抵抗にかかる電圧 $V_{\rmR}$,コイルにかかる電圧 $V_{\rmL}$,コンデンサーにかかる電圧 $V_{\rmC}$ をそれぞれ求めよ。
回路におけるキルヒホッフの第二法則を立式せよ。
回路のインピーダンスを求めよ。
各素子は直列に繋がれているため,流れる電流は $I(t)=I_0\sin(\omega t-\varphi)$ で共通である。
交流回路における回路素子の電流と電圧の関係より,
$$\begin{aligned}V_{\rmR}&=RI_0\sin(\omega t-\varphi)\\V_{\rmL}&=\omega LI_0\sin\left(\omega t-\varphi+\mskip 4mu\bun{\pi}{2}\mskip 5mu\right)\\V_{\rmC}&=\mskip 4mu\bun{I_0}{\omega C}\mskip 5mu\sin\left(\omega t-\varphi-\mskip 6mu\bun{\pi}{2}\mskip 5mu\right)\end{aligned}$$であることがわかる。
図より,$V(t)=V_{\rmR}+V_{\rmL}+V_{\rmC}$ が成り立つことがわかるので,
$$\begin{aligned}V_0\sin\omega t&=RI_0\sin(\omega t-\varphi)\\&\quad +\omega LI_0\sin\left(\omega t-\varphi+\mskip 4mu\bun{\pi}{2}\mskip 5mu\right)\\&\quad +\mskip 4mu\bun{I_0}{\omega C}\mskip 5mu\sin\left(\omega t-\varphi-\mskip 6mu\bun{\pi}{2}\mskip 5mu\right)\end{aligned}$$
キルヒホッフの第二法則をベクトル図を用いて整理する。
キルヒホッフの第二法則の各項を表すベクトルを図示すると次の通り。
①〜④ のベクトルについて,①=②+③+④ が成立する。
ここで,③ と ④ のなす角度が $\pi$ であることに注目する。これらを足し合わせると,③ と同じ向きに $\omega LI_0-\mskip 6mu\bun{I_0}{\omega C}\mskip 5mu$ の大きさのベクトルとなるため,これを ⑤ とする。
このとき,①=②+⑤ が成立することに注意して再びベクトル図をかくと,次の通りになる。
直角三角形に注目すると,三平方の定理から,
$$V_0\!^2=(RI_0)^2+\left(\omega LI_0-\mskip 6mu\bun{I_0}{\omega C}\mskip 5mu\right)^2$$が得られる。
これを整理することで,
$$Z=\mskip 4mu\bun{V_0}{I_0}\mskip 5mu=\sqrt{R^2+\left(\omega L-\mskip 6mu\bun{1}{\omega C}\mskip 5mu\right)^2}$$としてインピーダンスが求まる。
RLC直列共振回路のインピーダンスについて
覚える!
例題の (3) で,RLC直列共振回路のインピーダンスを求めることができました。

この値は覚えておくとよいでしょう。
この値を覚えておくと,他の問題においても答えのチェックを行うことができます。
たとえば,「交流回路①」と「交流回路②」で考えた例題の回路について確認してみましょう。
例題の再確認
この回路は,RLC直列共振回路からコンデンサーをなくしたものと考えることができます。
コンデンサーをなくすということは,コンデンサーのリアクタンス $\Bun{1}{\omega C}\mskip 5mu$ が $0$ になったものとして考えることができますね。
これより,RLC直列共振回路のインピーダンスである,
$$Z=\sqrt{R^2+\left(\omega L-\mskip 6mu\bun{1}{\omega C}\mskip 5mu\right)^2}$$において,$\Bun{1}{\omega C}\mskip 5mu\to 0$ とした $\sqrt{R^2+(\omega L)^2}$ が回路のインピーダンスであることが直ちにわかります。

このインピーダンスがわかれば,(3) の答えの値の妥当性をチェックすることができますね。
共振周波数
特殊な状況
RLC直列共振回路において,$\omega L=\mskip 4mu\bun{1}{\omega C}\mskip 5mu$ が成立しているとき,回路のインピーダンスは最小値を取り,$Z=R$ となります。
また,コイルの電圧とコンデンサーの電圧の和が常に $0$ となるため,交流電源の電圧と抵抗にかかる電圧が常に等しくなります。
つまり,抵抗のみが接続されているのと同じ状態が実現されていることがわかります。
このときの,角周波数 $\omega$ は,
$$\omega L=\mskip 4mu\bun{1}{\omega C}\mskip 5mu \qquad \therefore \quad \omega =\mskip 4mu\bun{1}{\sqrt{LC}\mskip 5mu}$$として求まります。
また,このときの回路の周波数 $f$ は,
$$f=\mskip 4mu\bun{\omega}{2\pi}\mskip 5mu=\mskip 4mu\bun{1}{2\pi\sqrt{LC}\mskip 5mu}$$として計算できます。
この周波数は 共振周波数 と呼ばれます。