ローレンツ力による運動
性質を踏まえて
ローレンツ力の特徴的な性質として,「常に進行方向とローレンツ力の向きが直交する」というものがありました。

この性質を踏まえて,磁場中における荷電粒子の運動について考えてみましょう。
磁場中において,$+q$ の荷電粒子に大きさが $v$ の初速度を下の左側の図のように与えたとします。
すると,荷電粒子は上向きにローレンツ力を受けて加速しますね。運動の向きが変わります。
しかし,ローレンツ力による仕事は $0$ ですので,運動エネルギーは変化しません。つまり速さは $v$ のままです。
その後もずっとローレンツ力は進行方向と直交する向きに作用し続けます。
運動の詳細
このような運動を実は皆さんはすでに学習しています。
そう,等速円運動です!
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ローレンツ力は常に速度と直行し,円運動の向心力となっているわけですね。
円運動の様子は次図の通りになります。
円運動の半径を $r$ とすると,円運動の向心方向の運動方程式から,
$$m\mskip 6mu\bun{v^2}{r}\mskip 5mu=qvB$$が成立します。これを整理することで,
$$r=\mskip 4mu\bun{mv}{qB}\mskip 5mu$$として円運動の半径が求まりますね。
周期について
周期については,$T=\mskip 4mu\bun{2\pi r}{v}\mskip 5mu$ の式を用いることで,
$$T=\mskip 4mu\bun{2\pi m}{qB}\mskip 5mu$$であることがわかります。
$v$ に依存していませんね!
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$m,\,q,\,B$ を決めてしまえば,与える初速度の大きさによらず円運動の周期は同じになることがわかります。
磁場中での円運動
荷電粒子に対して,磁場に垂直な平面内で初速度を与えると等速円運動を行う。円運動の向心方向の運動方程式を利用して解析する。
磁場に斜めに入射する場合
斜めに入射すると
磁場に対して垂直な平面内において荷電粒子に初速度を与えると,円運動を行うことがわかりました。
それでは,磁場に対して斜めに荷電粒子を入射するとどのような運動を行うでしょうか…?
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3次元空間で
次図のような3次元空間を考えます。
磁束密度は $z$ 軸に並行になっており,その大きさが $B$ であるものとしましょう。
このとき,原点において $-q$ の電荷をもつ荷電粒子に大きさが $v$ の初速度を与えます。
向きは $xz$ 平面内で,$x$ 軸からはかった角度が $\theta$ とします。つまり,$\vec{v_0}=(v\cos\theta,\,0,\,v\sin\theta)$ ということです。
分けて考える
運動を解析するにあたっては,「ローレンツ力が作用する平面」と「ローレンツ力が作用しない方向」にわけて考えます。

さて,「ローレンツ力が作用しない方向」はどの向きだかわかりますか…?
ポイントは,「ローレンツ力は必ず磁場(磁束密度)に直交する」ということです。
磁束密度は $z$ 軸に平行ですので,ローレンツ力は $z$ 方向成分を持たず,$xy$ 平面内でのみ作用します!
ということで,「ローレンツ力が作用する平面:$xy$ 平面」と「ローレンツ力が作用しない方向:$z$ 軸方向」に分解して考えていきましょう。
ローレンツ力が作用する平面:$xy$ 平面
$xy$平面内での初速度は,$v\cos\theta$ となることに注意しましょう。
ローレンツ力の大きさも,
$$f=q\cdot v\cos\theta \cdot B=qvB\cos\theta$$です。
このことに注意して運動の様子を図示すると次の通りです。
ローレンツ力の作用線上に円運動の中心 $\rmO\prime $ が存在するので,$y$ 軸上であることがわかりますね。
運動方程式から,
$$m\mskip 6mu\bun{(v\cos\theta)^2}{r}\mskip 5mu=qvB\cos\theta$$が成立するので,これを整理することで,
$$r=\mskip 4mu\bun{mv\cos\theta}{qB}\mskip 5mu$$であることがわかります。
よって,$\rmO\prime $ の座標は $\left(0,\,\bun{mv\cos\theta}{qB}\mskip 5mu,\,0\right)$ ですね。
周期 $T$ は,
$$T=\mskip 4mu\bun{2\pi r}{v\cos\theta}\mskip 5mu=\mskip 4mu\bun{2\pi m}{qB}\mskip 5mu$$として得られます。
「速さ」として利用する値はすべて $v\cos\theta$ です!!

これを $v$ としてしまって大量失点する人がとにかく多いこと多いこと!!
一度は経験したことあるっていう人も多いのではないでしょうか。
とにかく「速さは $v\cos\theta$!!」と強く意識して立式しましょう!
ローレンツ力が作用しない方向:$z$ 軸方向
$z$軸方向の初速度は $v\sin\theta$ ですね。
そして $z$軸方向にはローレンツ力が作用しない,つまり荷電粒子に力が働かないので,等速度運動を行います。
まとめ
以上をまとめると,$xy$平面上では円運動を行いながら,$z$軸方向には等速度運動をするというような運動になります。
軌跡がらせん状となるらせん運動を行うことがわかりますね。
上図のように,「磁束密度に巻き付くようならせん運動をする」として理解しておくとよいでしょう。
電場と磁場がかかる空間での運動
2つの力の関与
電場と磁場の両方がかかっている空間において,荷電粒子はクーロン力とローレンツ力の双方を受けて運動することになります。
基本的にはそれぞれの力を別々に考えれば ok です!
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例題
図のように,上向きに大きさが $E$ の電場,紙面手前向きに大きさが $B$ の磁束密度がかけられた領域において,荷電粒子に右向きの速度を与えて運動させる。このとき,直進する荷電粒子の速さ $v$ を求めよ。
荷電粒子の電荷は正であるものとして考える。
荷電粒子は,上向きに大きさが $qE$ のクーロン力と,下向きに大きさが $qvB$ のローレンツ力を受けて運動する。
直進運動を行う場合,これらの力がつり合うため,
$$qE=qvB\qquad\therefore \quad v=\mskip 4mu\bun{E}{B}\mskip 5mu$$
なお,荷電粒子の電荷が負である場合には,いずれの力も逆向きとなるが,条件式は同じである。