電池と内部抵抗
電池にも抵抗がある
これまで,電池は起電力そのものとして考えていました。しかし実際には,電池内部にも 内部抵抗 と呼ばれる抵抗があります。
この抵抗は通常の抵抗器と同様に扱うことができるため,回路図はいつもと同じようにかけばokです。
この内部抵抗を考慮するかしないかは,問題文から判断しましょう。

特に触れられていなければ,ないものとして考えてokです。
「電池の内部抵抗を $r$ とする」のような指示があった場合には,これを考慮して回路図をかくようにしてください。
電流計と電圧計
使ってきたものの…
これまでに,小学校や中学校の理科で電流計や電圧計は使ったことがあるのではないかと思います。
「電流計は,電流を測定したい抵抗に直列につなぐ!」といったことは知識として知っているかもしれませんが,それってどうしてなのでしょう?
そんな疑問を解決していきます。
内部構造
まず最初に驚くべき事実をお伝えします。電流計と電圧計の内部の基本構造,実は同じなんです!
どちらも抵抗器と,メーターから構成されています。
電流計では,内部抵抗を流れる電流の値がメーターに表示され,電圧計では,内部抵抗にかかる電圧の値がメーターに表示されるようになっています。
この点をしっかり押さえたうえで,それぞれの仕組みについてさらに考えていきましょう。
電流計
つなぎ方
抵抗器に流れる電流を測るための装置です。回路図では,「$\rmA$ を丸で囲んだ記号」で表されます。
さてこの電流計ですが,目的とする抵抗(抵抗 $\rmR$ とします)に対して並列につなぎますか?直列につなぎますか?
電流計のメーターに表示されるのは「内部抵抗を流れる電流の値」です。

よって,抵抗 $\rmR$ と,内部抵抗を流れる電流が等しくなっている必要がありますよね。
そのためには,抵抗 $\rmR$ と電流計を直列につなげばよいことがわかります。
つないだことによって
鋭い人はすでに気付いているかもしれませんが,これで本当に「もともと抵抗 $\rmR$ に流れていた電流の値」を測ることができると思いますか…?

わざわざこうやって聞くぐらいですからね,そんなことはないんです。
電流計の内部には内部抵抗が含まれているので,これを繋いだことによって回路の様子が大きく変わってしまいますよね…?
変化を小さくするために
抵抗 $\rmR$ の抵抗値が $R$,内部抵抗の抵抗値が $r$ だとすると,内部抵抗を直列に繋いだことでこの部分の抵抗値が $R \to R+r$ へと増えてしまいます。
この変化を最小限にするために,$r$ がなるべく小さくなるような内部抵抗を選ぶ必要があるのです。
電流計
電流を測定したい抵抗に対して直列に接続する。内部抵抗の抵抗値はなるべく小さくする。
電圧計
つなぎ方
抵抗器にかかる電圧を測るための装置です。回路図では,「$\rmV$ を丸で囲んだ記号」で表されます。
電圧計のメーターに表示されるのは「内部抵抗にかかる電圧の値」ですので,これと抵抗 $\rmR$ の電圧を等しくするためには,並列につなげばokですね。
内部抵抗の大きさ
内部抵抗の大きさはどうするのがよいでしょうか…?
.png)
「電圧計を接続したことによる影響を最小限にしたい」ということから考えてみて下さい。
抵抗 $\rmR$ の電圧 $V$ は,抵抗 $\rmR$ を流れる電流の大きさに比例するので(オームの法則),もとと同じ電流が流れてるようにすればokです。
電圧計をつないだことで,図の $\rmA$ 点から電圧計側に流込む電流が発生するわけですが,これが極力 $0$ になるようにすれば抵抗 $\rmR$ には元通りの電流が流れますよね。
ということで,内部抵抗側に電流が流れないようにしたいので,$r$ を極力大きくすればよいことがわかります!
電圧計
電圧を測定したい抵抗に対して並列に接続する。内部抵抗の抵抗値はなるべく大きくする。
例題
内部抵抗が $10\punit{\Omega}$,最大 $1.0\punit{mA}$ の電流を測定できる電流計 $\rmA$ がある。この電流計について,以下の設問に答えよ。
別の抵抗器 $\rmR$ を接続することで,この電流計を,最大 $100\punit{mA}$ まで測定できる電流計として利用することができる。この抵抗器の抵抗 $R\punit{\Omega}$ はいくらか。また,接続の方法についても述べよ。
電流計 $\rmA$ を電圧計として利用する方法を述べよ。また,その際に測定できる最大電圧を求めよ。
考え方

簡単そうで,かなり難しい問題です!
「電流計と電圧計の内部の構造は同じ」「内部抵抗の電流の大きさ(もしくは電圧の大きさ)がメーターに表示されるため,測定したいものと一致するように接続する」といったポイントを踏まえて考えていきます。
(1) の解き方
「内部抵抗が $10\punit{\Omega}$ で,最大 $1.0\punit{mA}$ の電流がここを流れる」という点は変更できません。
「内部抵抗には $1.0\punit{mA}$ しか流れないけれども,電流計全体には $100\punit{mA}$ の電流が流れている」という状況が実現できればよいので,「残りの $99\punit{mA}$ が流れる別の道」を作ればokです。
そのためには,次図のように抵抗を並列につなぐ必要があります。
新たに接続した抵抗も含めて「新たな電流計」と考えれば,$100\punit{mA}$ まで電流を流すことができるのです。
実際に測定したいものは $I\A$(上限 $100\punit{mA}$)ですが,$i:I=1:100$ が常に成立するため,メーターの目盛りそのものを $100$ 倍することで,「$100\punit{mA}$ まで測定できる電流計」が完成します。
$R$ の値についてはキルヒホッフの第二法則から,
$$1.0\times10^{-3}\times10=99\times10^{-3}R$$
ここから得られる,
$$R=\mskip 4mu\bun{10}{99}\mskip 5mu\fallingdotseq 1.0\times10^{-1}\punit{\Omega}$$
が求める値です。
(2) の解き方
電流計を電圧計として使うためにはどうしたらよいでしょう?
.png)
電流計と電圧計は内部の構造が同じでした。メーターに表示されるのが内部抵抗を流れる電流の大きさなのか,内部抵抗にかかる電圧なのか,という違いです。

電流の値を電圧に変換したいので,$V=RI$ を使えばokですね。
メーターの目盛りの値をすべて $R$ 倍してしまえば,内部抵抗にかかる電圧の値がメーターに表示されるようになります。目的の抵抗に並列に繋げば,電圧計として使えるわけです!
測定できる最大電流が $1.0\times10^{-3}\A$ であり,内部抵抗が $10\punit{\Omega}$ であることを踏まえると,
$$10\times1.0\times10^{-3}=1.0\times10^{-2}\V$$
が測定できる最大電圧であることがわかりますね。