物理 電磁気学

回路におけるエネルギー保存則

羽白 いむ

東京大学医学部医学科卒 現役医師
東大指導専門塾鉄緑会 物理・数学科元講師
物理基礎のトリセツ著者
数学のトリセツ共著者

回路におけるエネルギー保存則

回路とエネルギー

起電力が $V$ の電池を $Q$ の電荷が通過するとき,電池は $W=QV$ の仕事をするということを前のセクションで学習しました。

コンデンサーに蓄えられる静電エネルギーについても学びましたね。

羽白

物理基礎では,抵抗に電流が流れるとジュール熱が発生することも学習しました。

察しがつくと思いますが,回路においてもエネルギー保存則が成立します!

立式する際の「決まった形」はありませんので,意味を考えて式を立てることが重要です!具体的な例題で確認してみましょう。

例題

起電力が $V$ の電池 $\rmE$,抵抗値が $R$ の抵抗 $\rmR$,電気容量が $C$ のコンデンサー $\rmC$ が接続された回路がある。もともとコンデンサーには電荷が蓄えられておらず,スイッチ操作の後には十分時間をおくものとして以下の問いに答えよ。

物理875

コンデンサーの充電が終わると,コンデンサーに流れ込む電流の大きさは $0$ となる。このことに注意して,コンデンサーに充電される電気量を求めよ。

コンデンサーに蓄えられる静電エネルギーおよび,電池がした仕事を求めよ。

抵抗において発生した合計の熱量を求めよ。

(1) の解き方

コンデンサーの充電が終わると回路には電流が流れなくなります。仮に電流が流れているとすると,コンデンサーが充電され続けるおかしな状況になってしまいますよね。

抵抗にも電流は流れませんので,抵抗の電圧は $0$ になります。求める電気量を $Q$ とすると,回路の様子は次図の通りになります。

物理876

キルヒホッフの第二法則から,

$$\bun{q}{C}\mskip 5mu=V \qquad \therefore \quad q=CV$$

であることがわかります。

(2) の解き方

コンデンサーに蓄えられている電荷が $q=CV$ なので,静電エネルギー $U$ は,

$$U=\mskip 4mu\bun12CV^2$$

ですね。

物理877

充電の過程で電池を通過する電荷は $q=CV$ なので,電池のする仕事 $W$ は,

$$W=qV=CV^2$$

です。

(3) の解き方

電池の仕事が $W=CV^2$ であるのに対し,コンデンサーに蓄えられた静電エネルギーが $U=\mskip 4mu\bun12CV^2$ です。

回路全体でエネルギー保存則が成立しているはずなので,電池の仕事の残りの半分 $\bun12CV^2$ が抵抗で消費された熱量になります。

回路全体でのエネルギー保存則は,

$$W=U+Q$$

という形ですね。

羽白

電池の仕事の半分が静電エネルギーとしてコンデンサーに蓄えられ,残りの半分が抵抗で熱エネルギーとして消費された,と解釈できます。

図を用いたエネルギーの解釈

やはり図が便利!

力学でエネルギー保存則を扱った際に,図を用いた考え方を紹介しました。

羽白

回路においても同様に,図を用いてエネルギー保存則を考えることができます。

熱力学第一法則においても共通ですが,「外部から流入するエネルギー(収入)」「内部に蓄えられるエネルギー(貯金)」「外部に流出するエネルギー(支出)」の3つを考えましたよね。

回路において,それぞれに対応するのが何になるかわかりますか?

対応関係

イメージしやすいかと思いますが,「電池の仕事 $W$」が外部から回路に供給されるエネルギー,「コンデンサーの静電エネルギー $U$」が回路に蓄えられるエネルギー,「抵抗で生じるジュール熱 $Q$」が外部に流出するエネルギーにそれぞれ対応します。

これを踏まえて図をかくと,次の通りになります。

物理893

静電エネルギーについては,変化量である $\varDelta U$ となる点に注意してください。

現時点ではまだ複雑な状況を扱っていないので図をかくまでもないかもしれませんが,後に学ぶコイルが含まれてくると状況整理が難しくなってくることもあります。

そんなときに図の考え方が重宝するので,普段から使って慣れておきましょう!

生徒

-物理, 電磁気学