物理 電磁気学

コンデンサー①

羽白 いむ

東京大学医学部医学科卒 現役医師
東大指導専門塾鉄緑会 物理・数学科元講師
物理基礎のトリセツ著者
数学のトリセツ共著者

金属板上の電荷と電気力線

金属板を使って

十分に大きな面積 $S$ の金属板を用意し,$+Q$ の電荷を与えたとしましょう。

このときの電気力線と電場について考えてみます。

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電気力線の様子

電荷は金属板に一様に分布し,板の上下には対称的に電気力線が出ていきます。合計の本数は $4\pi kQ$ 本ですね。

上側に半分,下側に半分出ていくので,片側の本数は $2\pi kQ$ 本になります。

電気力線は一部しかかいていませんが,まっすぐ無限遠方まで伸びていきます。

物理852

2枚目

続いて,同じ金属板をもう1枚用意し,こちらには $-Q$ の電荷を与えます。

負の電荷ですので,上側に $2\pi kQ$ 本,下側に $2\pi kQ$ 本の電気力線が入り込んできます。

物理853

電場の重ね合わせ

電場と同様に,電気力線についても重ね合わせを考えることができます。

両金属板の上の領域では,$+Q$ の電荷を与えた金属板から出ていく上向きの電気力線と,$-Q$ の電荷を与えた金属板に入り込んでいく下向きの電気力線が重なり合います。

同じ本数で向きが逆向きなので,互いに打ち消し合うことがわかりますね。

羽白

両金属板の下側の領域も同様です。

一方,金属板に挟まれた領域は,いずれの電気力線も下向きとなっているので,本数が $2$ 倍(つまり $4\pi kQ$ 本)になります。

結果として,2枚の金属板に挟まれた領域のみに $4\pi kQ$ 本の電気力線が存在することになります。半分は $+Q$ の電荷由来,もう半分は $-Q$ の電荷由来という点をしっかりと頭に入れておいてください。

金属板に挟まれた領域の電場

電場についての整理

これまでの話を踏まえて,金属板に挟まれた領域の電場を求めましょう。向きは電気力線の向きと同じですので,$+Q$ の電荷がある金属板から $-Q$ の電荷がある金属板に向かう方向ですね。

では,電場の強さはどうでしょう…?

生徒

電気力線を元に電場の強さを求めるときは,単位面積あたりの本数を考えるのでしたね。

極板の全体の面積は $S$ なので,面積 $1$ あたりの本数は,$\Bun{4\pi kQ}{S}\mskip 5mu$ 本です。これが金属板の間の領域の電場の強さ $E$ になります。

一様電場

さて,この電場ですが,どこかで見覚えがありませんか…?

一様電場ですね!

生徒

どこの場所でも同じ向きで,同じ強さの電場になっています。ポイントは,「ここまでの話に,金属板の距離 $d$ は関係ない!」ということです。

$d$ が小さくても,大きくても,電気力線の本数は変わらないので電場の強さも変わらないのです。

電圧と電荷の関係式

一様電場の式を用いて

2枚の金属板間の電圧を $V$ として,一様電場で成立する式 $V=dE$ を考えてみましょう。$E=\mskip 4mu\bun{4\pi kQ}{S}\mskip 5mu$ ですので,
$$ V = d \cdot\mskip 6mu\bun{4\pi kQ}{S}\mskip 5mu $$となります。これを整理すると,
$$ Q =\mskip 4mu\bun{1}{4\pi k}\mskip 5mu \cdot\mskip 6mu\bun{S}{d}\mskip 5mu V $$という式が得られます。真空の誘電率 $\varepsilon_0$ を用いると,
$$ Q = \varepsilon_0\mskip 6mu\bun{S}{d}\mskip 5mu V \stext{\quad……\ ☆} $$ですね。

羽白

この式の解釈について考えていきます。

コンデンサー

電池の接続

物理基礎で「起電力」について学習しました。その際に学習した「電圧」という単語も,今の皆さんならより深く意味を理解しているはずです。

起電力というのはつまり,「電位が低い場所から高い場所へと,正の電荷を持ち上げる役割」を表しているわけですね。

羽白

では,電池を2枚の金属板につなぐとどうなるでしょうか。

片側の金属板からもう片方の金属板へと,起電力が正の電荷を持ち上げてくれるはずです。結果として,片方の金属板は正に,もう片方の金属板は負に帯電します。

最終的に2枚の金属板の間には,電池の起電力 $V$ と同じ大きさの電圧がかかります。

物理854

このように,電池を利用することで,これまでに考えていた「$+Q$ と $-Q$ の電荷をそれぞれ与えた2枚の金属板を向かい合わせる」という状況が作り出せるわけです。

「$+Q$ の電荷と $-Q$ の電荷がペアで蓄えられている」と捉えることもできますね。このような,電荷を蓄える装置を コンデンサー と呼びます。

特に,2枚の平らな金属板で構成されたコンデンサーは 平行平板コンデンサー と呼ばれ,金属板のことを 極板 といいます。

回路図での表記

回路図では,2本の直線でコンデンサーを表します。

正に帯電している極板側が高電位ですので,電圧を表す三角形は次の通りになります。

物理857

電気容量

数式を再び

羽白

以上の話を踏まえて,再び ☆ の式について考えてみましょう。

$V$ は接続している電池の起電力,$Q$ はコンデンサーに蓄えられた電気量です。
$$Q = \varepsilon_0\mskip 6mu\bun{S}{d}\mskip 5mu V$$という式の形から,「起電力 $V$ の電池に繋いだときに電荷 $Q$ がどれだけ蓄えられるかは,$\varepsilon_0\mskip 6mu\bun{S}{d}\mskip 5mu$ の大きさによって決まる」ということがわかりますね。

同じ起電力の電池を用いた場合でも,$\varepsilon_0\mskip 6mu\bun{S}{d}\mskip 5mu$ の部分の値が大きければ大きいほど,充電される電気量も増えることがわかります。

電気容量

以上から,$\varepsilon_0\mskip 6mu\bun{S}{d}\mskip 5mu$ の部分はコンデンサーの性能を表していると考えることができますね!これを 電気容量 と呼びます。

$C$ の文字を使って表されることが多いです。単位は $\punit{F}$(ファラド) です。

$C = \varepsilon_0\mskip 6mu\bun{S}{d}\mskip 5mu$ として整理すれば,
$$ Q = CV $$という式が得られます。

羽白

この式はこの先何度も何度も使うとっても重要な式ですので,なんとしてでも今この場で必ず覚えてください!必ず!!

平行平板コンデンサーの電気容量

極板の面積が $S$,極板間距離が $d$ の平行平板コンデンサーの電気容量は,

$$ C = \varepsilon_0\mskip 6mu\bun{S}{d}\mskip 5mu $$

であり,$Q = CV$ の関係式が成り立つ。

電気容量のイメージ

なお,$C = \varepsilon_0\mskip 6mu\bun{S}{d}\mskip 5mu$ の形からもわかる通り,「極板の面積 $S$ が大きいほど,極板間距離 $d$ が小さいほど,電気容量は大きくなる」ことがわかります。

羽白

これってイメージ通りじゃないですか?

面積が広い方がたくさん電荷を蓄えられそうですよね。一方,極板同士が遠くなっていくと,性能が下がっていきそうですよね。

-物理, 電磁気学