等電位面
エネルギーが同じ場所
突然ですが,「重力の位置エネルギーが変わらないように移動して!!」といわれたら,どのように移動しますか?
重力の位置エネルギーは,基準点からの高さによって決まっているので,「高さが変わらないように,地面に水平な方向に移動する」というのが正解ですよね。
重力の位置エネルギーは「重力に仕事をしてもらえる権利」と考えられるので,この権利を行使しないように,水平方向(つまり鉛直下向きの重力と直交する向き)に移動するわけです。
電位についても同様に

電場と電位についても同様に考えてみましょう。
電場と垂直な方向に移動すれば静電気力は仕事をしないため,静電気力の位置エネルギーは変化しません。
単位電荷あたりの位置エネルギーである電位ももちろん等しくなりますね。
このように,電位の等しい位置(等電位面)は,電場と直交することがわかります。電場の向きは電気力線の向きと等しいので,電気力線も等電位面と直交します。
ここから先,導体について学習を進めていく上で非常に重要な性質ですのでしっかりと頭に入れておきましょう!
等電位面
電気力線は等電位面と直交する。
等電位面の具体例
これまでの内容を踏まえて
これまでに,点電荷周囲の電場や一様電場について学習してきました。

これらの状況であれば,電気力線はスムーズにかけますよね。
この電気力線に直交することに注意して,等電位面をかくと次図の点線になります。
「同じ等電位面上の点は電位が等しい」という点に注意して,しっかりと確認してください!
導体と不導体
物質の種類
金属のように,電気をよく通す物質を導体と呼びます。導体内部には自由電子が無数に存在し,これらが電流として流れることができるわけです。
一方,物質内の電子が全く移動できない物質を不導体(絶縁体)と呼びます。ガラスやプラスチックなどが不導体の例ですね。
導体でも不導体でもなく,温度が上昇すればある程度の自由電子が移動できる物質は半導体と呼ばれます。電気が流れやすい順に,
$$\stext{導体} > \stext{半導体} > \stext{不導体}$$
と覚えてください!
電場中の導体
簡単な実験
次のような実験を考えてみましょう。
実験
右向きの一様電場中に金属球をおくと,金属内部でどのようなことが起こる…?
金属は導体ですので,内部には無数の自由電子が存在します。自由電子は負の電荷を持つので,電場と反対の向きに静電気力を受けて金属内を移動します。
すると,金属球の左側に自由電子がたまり,逆に右側は電子が不足する状態となります。
これは「金属球の左側に負の電荷が,右側に正の電荷がある」という状態です。金属内には,正の電荷から負の電荷へ向かう向き,つまり左向きに新たな電場が発生します。
この電場はもともと存在していた右向きの電場を打ち消す向きです。
もともとの電場が弱まっていき,やがて完全に打ち消し合う状態に至ります。

「金属の内部に電場が残っている限りは自由電子が力を受けて移動し,その電場を打ち消す」と考えるとスッキリするのではないでしょうか。
自由電子は無数に存在するため,どのような電場の中に金属が配置されても,自由電子の移動によって最終的に金属内部の電場は強さが必ず $0$ になります!
金属内部に何らかの電荷が存在すると電気力線が発生して電場ができてしまうため,金属内の電荷は表面のみに分布するということもわかります。

これ,とてもとても重要です!
導体内部の電位
これまでの話を踏まえて
ここまでの話から,「導体内部には電場が存在しない!」ということがわかりました。
電場の強さが $0$ ということは,電位のグラフの傾きも $0$ ですので,どの場所でも電位が等しくなります。

「金属内部は等電位」ということですね。
電気力線は等電位面に直交する,というルールがありましたので,これを踏まえると最終的な電気力線の様子は図の通りになります。
このように,電気力線は金属表面に対して垂直に出入りすることがわかります。
導体の性質
導体は以下の性質を持つ。
① 表面のみに電荷が分布し,内部には電場が存在しない。
② 金属全体は電位が等しく,電気力線は金属表面に対して垂直に出入りする。
静電遮蔽
金属の箱の内部
金属の内部に電場が生じないのと同様に,金属製の箱で囲まれた空間の内部には電場が存在しません。
たとえ外部に電場が存在しても,内部の電場が打ち消されるように自由電子が移動するためです。
このように,導体で取り囲むことで外部の電場の影響が遮られる現象を静電遮蔽と呼びます。
エレベーターの中

エレベーターの中でスマートフォンの通信が途切れるという経験をしたことがありませんか…?
エレベーターは「金属製の大きな箱」ですので静電遮蔽が生じ,通信に利用される電磁波が遮断されてしまうと考えられています。