物理 電磁気学

点電荷と電位②

羽白 いむ

東京大学医学部医学科卒 現役医師
東大指導専門塾鉄緑会 物理・数学科元講師
物理基礎のトリセツ著者
数学のトリセツ共著者

点電荷による電位の具体的な扱い

問題での扱い

学習した点電荷による電位について,問題を通じて実際の扱い方を確認していきましょう。

例題

次図の通り,$x$軸上の原点 $\rmO$ に $+q$ の電荷 $\rmA$ が,$x=4$ の位置に $-4q$ の電荷 $\rmB$ が置かれている。クーロンの法則の比例定数を $k$ として,以下の問いに答えよ。ただし,電位および位置エネルギーの基準は無限遠とする。

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$x=2$ の位置における,電荷 $\rmA$ による電位 $V_1$ を求めよ。

$x=2$ の位置の電位 $V$ を求め,この位置に $q$ の電荷をおいたときに持つ位置エネルギーを求めよ。

$x$ 軸上において,無限遠方以外で電位が $0$ となる点を求めよ。

(1) の解き方

電場の問題と異なり,今回の問題で問われているのは「電位」であり,向きがない点に注意しましょう。

まずは (1) です。こちらは公式を使うだけの問題になっています。原点との距離が $2$ なので,
$$V_1=k\mskip 6mu\bun{q}{2}\mskip 5mu$$ですね。

(2) の解き方

羽白

続いて (2) です。

$x=2$ の位置における電位を考えるにあたっては,$x=4$ の位置の電荷 $\rmB$ による電位 $V_2$ も考える必要があります。

$x=4$ からの距離が $4-2=2$ なので,
$$V_2=k\mskip 6mu\bun{-4q}{2}\mskip 5mu=-2kq$$であることがわかりますね。

求める $V$ は,$V_1$ と $V_2$ の和なので,
$$V=V_1+V_2=-k\mskip 6mu\bun{3q}{2}\mskip 5mu$$が答えです。

(3) の解き方

(3) は少し難しいですね。

生徒

まず,電位の式が「$k\mskip 6mu\bun{Q}{r}\mskip 5mu$」の形をしているため,電荷の大きさが大きいほど,電荷からの距離が近い位置ほど,電位が大きくなることがわかります。

本問では,電荷 $\rmB$ の方が大きさが大きな電荷を持っているため,「電位が 0 になるのは,電荷 $\rmB$ よりも電荷 $\rmA$ に近い位置である」ということがわかりますね。

このような位置が存在するのは,① $x<0$ と,② $0<x<4$ の領域の2つです。

また,位置 $x$ での電位 $V(x)$ は電位の重ね合わせを考えることで,
$$V(x)=k\mskip 6mu\bun{q}{|x|}\mskip 5mu-k\mskip 6mu\bun{4q}{|4-x|}\mskip 5mu$$であることがわかります。

羽白

領域ごとに絶対値を外しながら考えていきましょう。

$x<0$ の領域

$x<0$,$4-x>0$ なので,$V(x)=0$ を考えて,
$$-\mskip 6mu\bun{q}{x}\mskip 5mu-k\mskip 6mu\bun{4q}{4-x}\mskip 5mu=0 \qquad \therefore \quad x=-\mskip 6mu\bun43$$

$0<x<4$ の領域

$x>0$,$4-x>0$ なので,$V(x)=0$ を考えて,
$$\bun{q}{x}\mskip 5mu-k\mskip 6mu\bun{4q}{4-x}\mskip 5mu=0 \qquad \therefore \quad x=\mskip 4mu\bun45$$

以上を合わせた,$x=-\mskip 6mu\bun43,\,\bun45$ が答えです。

(3)の考え方

(3) では単純に,
$$k\mskip 6mu\bun{q}{|x|}\mskip 5mu-k\mskip 6mu\bun{4q}{|4-x|}\mskip 5mu=0$$という方程式を解いてもokです。

上の解答のように,電位の式を元に考える領域を絞り込むことができれば,より楽に解くことができますね。

電位のグラフの考察

例題では電位が $0$ になる点のみを求めましたが,「位置 $x$ における電位 $V(x)$ のグラフをかけ」といわれたらかけますか…?

羽白

グラフの概形を考えるにあたってはいくつかポイントがありますので,順番に確認していきましょう。

グラフの足し合わせ

$V(x)=k\mskip 6mu\bun{q}{|x|}\mskip 5mu-k\mskip 6mu\bun{4q}{|4-x|}\mskip 5mu$ のグラフといわれると,パッと概形を思い浮かべるのは難しいと思います。

$V(x)$ は電荷 $\rmA$ による電位 $V_1(x)$ と電荷 $\rmB$ による電位 $V_2(x)$ の重ね合わせですので,グラフに関してもそれぞれのグラフの足し算として考えることができます。

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特定の位置での振る舞い

電荷 $\rmA$ のごく近くでは正の無限大に,電荷 $\rmB$ のごく近くでは負の無限大に発散します。

また,無限遠方では電荷から十分に遠ざかるため,電位も $0$ となりますね。

電位が $0$ となる位置

電位のグラフの傾きの $-1$ 倍は電場を表すのでした。ということは,電場が $0$ の位置では電位のグラフの傾きも $0$ になりますね。

例題で,$x=-4$ の位置の電場が $0$ となることがわかりましたので,$x=-4$ の位置における $V(x)$ のグラフの傾きは $0$ です!

グラフの描画

以上を踏まえてグラフをかくと,図のような概形が得られます。

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グラフの形自体は複雑ですが,3つの性質に注目することで,微分することなくグラフの概形を知ることができるのです。

羽白

これって凄くないですか…?

せっかくグラフの概形をかいたので,これを利用した問題を確認してみましょう。

例題

上の例題で扱った電位と同じように電荷を配置する。$x$ 軸上の負の方向の無限遠方に $+Q$ の電荷をそっとおいたとき,この電荷はどのような運動をするか。

解き方

電荷の動きを考える際には「電位のグラフを坂道として考えると便利」でした。

今回は負の無限遠方に電荷を配置していますが,$x\to-\infty$ で $V(x)\to0$ ですので,高さ 0 のところから坂道を転がり始めます。

速さが最大になるのは谷底の部分です。グラフの概形から,$x=-4$ の位置だとすぐにわかりますね。

電荷の質量を $m$,$x=-4$ の位置における電荷の速さを $v$ とすれば,エネルギー保存則より,

$$0=\mskip 4mu\bun12mv^2+\left(k\mskip 6mu\bun{Qq}{|-4|}\mskip 5mu-k\mskip 6mu\bun{4Qq}{|-4-4|}\mskip 5mu\right)$$

が成立します。これを解くことで,

$$v=\sqrt{\bun{kQq}{2m}\mskip 5mu}$$

が得られますね。

$x=-4$ を通り過ぎると,電荷は坂道を登りはじめます。

登れる高さはスタート地点と同じ $V(x)=0$ のところまでですので,$x=-\mskip 6mu\bun43$ の位置までになります。この点で折り返して,再び $x\to-\infty$ まで転がっていくことになります。

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