電位とは
電場の確認
前の章では,静電気力と万有引力を対応させ,電場の考え方について学習しました。
静電気力と万有引力は,向きや正負の有無など異なる点はあるものの,おおよそ同じ表記で扱うことができるのでした。
.png)
「距離の $2$ 乗に反比例する」という部分も同じですので,静電気力も万有引力と同様に保存力であることがいえます。
よって,静電気力についても位置エネルギーを考えることができます。
静電気力を考える際に,電場を導入しました。電場 $\vec{E}$ の位置において,電荷 $q$ の受ける力は,$\vec{F}=q\vec{E}$ と表記できるのでしたね。
「 $+1\C$ の電荷がその位置において受ける力が電場」と考えることができます。
電場に対応させて
位置エネルギーについてもこれに対応させて「その場に $+1\C$ の電荷をおいたときに,その電荷が持つ位置エネルギー」を考えます。
これを電位と呼びます。単位は $\punit{J/C}$ です。電場と同じく,それぞれの位置において決まる値ですが,エネルギーを表すので向きはありません!
ある位置に $q$ の電荷をおいたとき,その位置の電位が $V$ であれば,その電荷の持つ位置エネルギーは,$U=qV$ になりますね。
電位
その場におかれた単位電荷が持つ位置エネルギーを,電位と呼ぶ。$q$ の電荷をおいたときに持つ位置エネルギー $U$ は,
$$U=qV$$

電場と電位がとにかくごちゃごちゃになりやすいので気をつけてください!
電場は単位電荷が受ける力(なので向き付きのベクトル!),電位は単位電荷が持つ位置エネルギー(なので向きのないスカラー!)です!
電圧とは
電位の差!
2点間の電位差 $\varDelta V$ のことを電圧と呼びます。
物理基礎で回路について学習した際に出てきたあの「電圧」です!

そもそも電圧というのは,2点間の電位差のことだったわけですね。
電場と電位の関係
ある点における電場 $E$ と,電位 $V$ の間には,
$$E=-\mskip 6mu\bun{\dV}{\dx}\mskip 5mu$$
という関係が成り立ちます。
「電位 $V$ を位置 $x$ で微分して,$-1$ 倍すると電場になる」ということです!

これ,非常に重要なのでまずはしっかりと覚えてください!
グラフでの解釈
関係式中の $\bun{\dV}{\dx}\mskip 5mu$ は,縦軸に電位 $V$,横軸に位置 $x$ を取ったグラフの傾きを表しています。
それを $-1$ 倍したものが電場 $E$ となっていることから,「電位のグラフの傾きの $-1$ 倍が電場」ということがわかります。
電場と電位の関係 ①
電場と電位の間には,
$$E=-\mskip 6mu\bun{\dV}{\dx}\mskip 5mu$$
の関係が成り立つ。これより,電位のグラフの傾きの $-1$ 倍が電場を表すことがわかる。
続いて,図のグラフに注目しながら電場の向きについてさらに考えていきます。
電場の向きと電位
グラフの形状から,原点側の電位が高く,$x$ が大きくなるに従って電位が低くなっていることがわかります。
また,位置 $x_1$ における $V$ のグラフの傾きは負の値です。これを $-1$ 倍したものが電場ですので,電場は正であることがわかります。つまり,電場は $x$ 軸正の向きに一致します。
「$x$ 軸の正の向き」は,「電位が低くなる向き」ですので,「電場の向きは,電位が低くなる向きに一致する」ことがわかります。
電荷が受ける力の向き
また,電場の向きは正の電荷が受ける力の向きに一致しますので,「正の電荷は高電位→低電位の向きに力を受ける」ことがわかります。
負の電荷の場合はその逆で,低電位→高電位の向きに力を受けます。
電場と電位の関係 ②
電場の向きは,電位が低くなる向きに一致する。これより,正の電荷は高電位→低電位の向きに力を受けることがわかる。
坂道としての解釈
先ほどのグラフの $x_1$ の位置において,正の電荷が受ける力は $x$ 軸の正の向きと同じでした。
これは,電位のグラフを「坂道」と考えたときに,坂道を転がっていくのと同じ向きです。
よって,正の電荷が受ける力の向きを考えたいときには,電位のグラフを坂道として考えると非常に便利です。

ただし,負の電荷の場合は逆の動きになるので,坂道を登っていく向きに力を受けることに注意しましょう。
電場と電位の関係の導出
力学との関連

導出関連の難しい内容になりますが,理解できると世界が広がります!
電場 $E$ と電位 $V$ の間には,$E=-\mskip 6mu\bun{\dV}{\dx}\mskip 5mu$ の関係式が成りたつことを学習しました。
この式の成り立ちについて考えてみましょう。そのために,まずは力学の復習です。
保存力と位置エネルギーの関係
直線上の運動において,物体がする仕事は「力を位置で積分する」ことで得られました。
$x$ 軸上を $x=x_1$ の位置から $x=x_2$ の位置まで物体が移動したとき,$x$ 軸方向の力を $F_x$ とすると,
$$W=\int_{x_1}^{x_2}F_x\dx$$
として仕事を求めることができます。
保存力の仕事を $-1$ 倍したものが,位置エネルギーの差でした。つまり,
$$\varDelta U=-W=-\int_{x_1}^{x_2}F_x\dx\quad\stext{……①}$$
の関係が成り立ちます。
逆に,位置エネルギーがわかっているときには,それを $x$ で微分して $-1$ 倍することで力がわかるのでした。
数式で表現すると,
$$F=-\mskip 6mu\bun{\dU}{\dx}\mskip 5mu\quad\stext{……②}$$
が成り立つということです。
電場と電位の関係

それでは電場と電位の話に戻ります。
静電気力について,$F=qE$,$U=qV$ という関係が成り立ちました。これを ① 式に代入すると,
$$\varDelta V=-\int_{x_0}^{x_1}E\dx$$
という式が得られます。左辺は 2 点間の電圧を表していますね。
よって,「電場を位置 $x=x_0$ から $x=x_1$ まで積分して $-1$ 倍すると,2 点間の電圧になる」ということです。
「電場がわかっていて,それを元に電位や電圧を考えたい!」という場合に利用する関係式になります。
同様に,$F=qE$,$U=qV$ を ② 式に代入することで,
$$E=-\mskip 6mu\bun{\dV}{\dx}\mskip 5mu$$
が得られます。
覚えていた公式があっという間に導出できてしまいましたね。
.png)
このように,力学の内容がしっかりと理解できていると電磁気学の公式が「あたりまえのもの」になります。
$F=-\mskip 6mu\bun{\dU}{\dx}\mskip 5mu$ が理解できていれば,電場と電位の関係式 $E=-\mskip 6mu\bun{\dV}{\dx}\mskip 5mu$ が成りたつのは当然のことで,覚えるまでもない!と思えるようになるはずです。

公式として丸暗記するのではなく,力学の内容と結びつけながら理解を深めていきましょう。
電位の重ね合わせ
電場と同様!
複数の電荷が存在する場合に関して,電場と同様に重ね合わせを考えることができます。
それぞれの電荷によるある点での電位を $V_1,\,V_2,\,V_3,\,\ldots$ としたとき,その点における実際の電位(合成電位)は,
$$V=V_1+V_2+V_3+\cdots$$
となります。
電位の重ね合わせ
複数の電位の重ね合わせは,単純和を取って,
$$V=V_1+V_2+V_3+\cdots$$
と計算できる。