電気力線
領域全体の電場を知る方法
目に見えない電場を調べるために,単位電荷をおいて受ける力を調べるという方法を説明しました。
しかし,ある点ではなく,領域全体にどんな電場があるのかを知りたいこともあります。そんなときに役立つのが電気力線です。

向き付きの線で,電場の様子を表現します。
この電気力線には,いくつかのルールがあります。順番に確認していきましょう。
湧き出し,吸収
正の電荷から湧き出し,負の電荷に吸収されます。
無限遠方以外の中途半端なところから生まれたり,途中で消えてなくなったりしません。
向きについて
接線の向きと電場の向きが等しくなります。
当然っちゃあ当然です。それゆえ電気力線は途中で折れ曲がったり,交わったりすることはありません。
本数のルール
電場に垂直な $1\mm$ の面を貫く電気力線の本数が,その場の電場の強さに等しくなります。
つまり,ある場所の電場の強さを知りたいときには,その場所に $1\mm$ の面積の面を作り,その面を貫く電気力線の本数を考えればよい,ということです。
言葉で説明されてもなかなか伝わらないと思いますので,例題を通じて実際の電気力線の様子を確認していきましょう。
例題
例題
次図の通りに平面上に電荷を配置した。電場の様子を電気力線を用いて表わせ。ただし,$+q$ の電荷から出る電気力線の本数は6本であるものとする。
いずれも正の電荷なので,6本ずつ電気力線が出ていく。
中心付近では,電気力線同士が交わらないような形になる(結果として,電気力線同士が反発しているような図になる)。
また,電気力線が電荷を出るときには6方向に対称的に出ていくという点にも気をつけて図示すると,次の通り。
右が負の電荷なので,左の電荷から出た6本の電気力線が右側の電荷に吸い込まれていくような形になる。
電荷を出た直後の電気力線が6方向に対称的に出ていく点に注意して,対称性を踏まえてなめらかな曲線で図示すると次の通り。
左の正の電荷は $+2q$,負の電荷は $-q$ である。よって,左の電荷からは12本出ていき,そのうち6本が右の電荷に吸収される。残りの6本は無限遠方へと消えていく。
以上を踏まえて図示した電気力線の様子は次の通り。
ガウスの法則
電気力線の本数
点電荷 $+Q$ から湧き出てきた電気力線は,放射状に広がっていきます。

このことは難しくないですが,その本数はわからないですよね。
これまで学習した内容を使って,$+Q$ の電荷から湧き出てくる電気力線の本数を求めてみましょう。
目標
$+Q$ の電荷から湧き出てくる電気力線の本数を求める。
点電荷を利用して
電荷から $r$ だけ離れた位置にある $\rmP$ 点の位置に,単位面積($1\mm$)の面を作ったとき,この面を貫いていく電気力線の本数は何本になるでしょうか…?
これは電気力線の性質の「03」にあった通り,その場の電場の大きさに等しくなるのでした。
では,$\rmP$ 点の電場の大きさはというと,その場に単位電荷をおいて考えるのでしたね。クーロンの法則から,単位電荷が受ける力の大きさが
$$f=k\mskip 6mu\bun{Q}{r^2}\mskip 5mu$$
であることがわかるため,$\rmP$ 点における電場の大きさも
$$E=k\mskip 6mu\bun{Q}{r^2}\mskip 5mu$$
です。
合計本数の計算
続いて,図に点線で示した半径 $r$ の球面を考えてみましょう。この球面を通過していく電気力線の本数は,点電荷 $+Q$ から湧き出てくる電気力線の本数に等しいはずです。
$\rmP$ 点の位置において,単位面積の面を通過していく電気力線の本数は $k\mskip 6mu\bun{Q}{r^2}\mskip 5mu$ 本です。
球全体の表面積は $4\pi r^2$ ですので,対称性を踏まえると,
$$k\mskip 6mu\bun{Q}{r^2}\mskip 5mu \cdot 4\pi r^2 = 4\pi kQ$$
の電気力線が球表面を通過していくことがわかります。
結論
結論が得られましたね!
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「$+Q$ の電荷からは,$4\pi kQ$ 本の電気力線が湧き出る」ということです。これをガウスの法則と呼びます。
逆に,$-Q$ の電荷には $4\pi kQ$ 本の電気力線が吸い込まれます。
また,$\varepsilon_0=\mskip 4mu\bun{1}{4\pi k}\mskip 5mu$ という定数を用いると,
$$4\pi kQ = \frac{Q}{\varepsilon_0}$$
と書き換えることができます。
この定数 $\varepsilon_0$ は,真空の誘電率と呼ばれます。
ガウスの法則
$+q$ の電荷からは $4\pi kQ=\mskip 4mu\bun{Q}{\varepsilon_0}\mskip 5mu$ 本の電気力線が湧き出し,$-Q$ の電荷には $4\pi kQ=\mskip 4mu\bun{Q}{\varepsilon_0}\mskip 5mu$ 本の電気力線が吸い込まれる。