物理 電磁気学

電気力線とガウスの法則

羽白 いむ

東京大学医学部医学科卒 現役医師
東大指導専門塾鉄緑会 物理・数学科元講師
物理基礎のトリセツ著者
数学のトリセツ共著者

電気力線

領域全体の電場を知る方法

目に見えない電場を調べるために,単位電荷をおいて受ける力を調べるという方法を説明しました。

しかし,ある点ではなく,領域全体にどんな電場があるのかを知りたいこともあります。そんなときに役立つのが電気力線です。

羽白

向き付きの線で,電場の様子を表現します。

この電気力線には,いくつかのルールがあります。順番に確認していきましょう。

湧き出し,吸収

正の電荷から湧き出し,負の電荷に吸収されます

無限遠方以外の中途半端なところから生まれたり,途中で消えてなくなったりしません。

向きについて

接線の向きと電場の向きが等しくなります。

当然っちゃあ当然です。それゆえ電気力線は途中で折れ曲がったり,交わったりすることはありません。

本数のルール

電場に垂直な $1\mm$ の面を貫く電気力線の本数が,その場の電場の強さに等しくなります

つまり,ある場所の電場の強さを知りたいときには,その場所に $1\mm$ の面積の面を作り,その面を貫く電気力線の本数を考えればよい,ということです。

言葉で説明されてもなかなか伝わらないと思いますので,例題を通じて実際の電気力線の様子を確認していきましょう。

例題

例題

次図の通りに平面上に電荷を配置した。電場の様子を電気力線を用いて表わせ。ただし,$+q$ の電荷から出る電気力線の本数は6本であるものとする。

物理821

いずれも正の電荷なので,6本ずつ電気力線が出ていく。

中心付近では,電気力線同士が交わらないような形になる(結果として,電気力線同士が反発しているような図になる)。

また,電気力線が電荷を出るときには6方向に対称的に出ていくという点にも気をつけて図示すると,次の通り。

物理823

右が負の電荷なので,左の電荷から出た6本の電気力線が右側の電荷に吸い込まれていくような形になる。

電荷を出た直後の電気力線が6方向に対称的に出ていく点に注意して,対称性を踏まえてなめらかな曲線で図示すると次の通り。

物理822

左の正の電荷は $+2q$,負の電荷は $-q$ である。よって,左の電荷からは12本出ていき,そのうち6本が右の電荷に吸収される。残りの6本は無限遠方へと消えていく。

以上を踏まえて図示した電気力線の様子は次の通り。

物理824

ガウスの法則

電気力線の本数

点電荷 $+Q$ から湧き出てきた電気力線は,放射状に広がっていきます。

羽白

このことは難しくないですが,その本数はわからないですよね。

これまで学習した内容を使って,$+Q$ の電荷から湧き出てくる電気力線の本数を求めてみましょう。

目標

$+Q$ の電荷から湧き出てくる電気力線の本数を求める。

点電荷を利用して

電荷から $r$ だけ離れた位置にある $\rmP$ 点の位置に,単位面積($1\mm$)の面を作ったとき,この面を貫いていく電気力線の本数は何本になるでしょうか…?

物理825

これは電気力線の性質の「03」にあった通り,その場の電場の大きさに等しくなるのでした。

では,$\rmP$ 点の電場の大きさはというと,その場に単位電荷をおいて考えるのでしたね。クーロンの法則から,単位電荷が受ける力の大きさが

$$f=k\mskip 6mu\bun{Q}{r^2}\mskip 5mu$$

であることがわかるため,$\rmP$ 点における電場の大きさも

$$E=k\mskip 6mu\bun{Q}{r^2}\mskip 5mu$$

です。

合計本数の計算

続いて,図に点線で示した半径 $r$ の球面を考えてみましょう。この球面を通過していく電気力線の本数は,点電荷 $+Q$ から湧き出てくる電気力線の本数に等しいはずです。

$\rmP$ 点の位置において,単位面積の面を通過していく電気力線の本数は $k\mskip 6mu\bun{Q}{r^2}\mskip 5mu$ 本です。

球全体の表面積は $4\pi r^2$ ですので,対称性を踏まえると,

$$k\mskip 6mu\bun{Q}{r^2}\mskip 5mu \cdot 4\pi r^2 = 4\pi kQ$$

の電気力線が球表面を通過していくことがわかります。

結論

結論が得られましたね!

生徒

「$+Q$ の電荷からは,$4\pi kQ$ 本の電気力線が湧き出る」ということです。これをガウスの法則と呼びます。

逆に,$-Q$ の電荷には $4\pi kQ$ 本の電気力線が吸い込まれます。

また,$\varepsilon_0=\mskip 4mu\bun{1}{4\pi k}\mskip 5mu$ という定数を用いると,

$$4\pi kQ = \frac{Q}{\varepsilon_0}$$

と書き換えることができます。

この定数 $\varepsilon_0$ は,真空の誘電率と呼ばれます。

ガウスの法則

$+q$ の電荷からは $4\pi kQ=\mskip 4mu\bun{Q}{\varepsilon_0}\mskip 5mu$ 本の電気力線が湧き出し,$-Q$ の電荷には $4\pi kQ=\mskip 4mu\bun{Q}{\varepsilon_0}\mskip 5mu$ 本の電気力線が吸い込まれる。

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