電場の重ね合わせ
複数の電場の扱い
複数の電荷による電場($\vec{E_1},\,\vec{E_2},\,\vec{E_3},\,\ldots$)が存在するとき,これらを合成した電場はどのように考えられるでしょうか…?
この場合もやはり $+1\C$ の電荷をおいて考えればokです。
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この電荷が電場 $\vec{E_1}$ から受ける力は $\vec{E_1}$,電場 $\vec{E_2}$ から受ける力は $\vec{E_2}$,として考えることができます。
結局,電荷が受ける合力は,
$$\vec{f}=\vec{E_1}+\vec{E_2}+\vec{E_3}+\cdots$$
です。この合力 $\vec{f}$ が,その場所における実際の電場(合成電場)になりますので,
$$\vec{E}=\vec{E_1}+\vec{E_2}+\vec{E_3}+\cdots$$
と考えてokです。
つまり,電場の重ね合わせは,単純に足し算で考えてよい ことがわかります。
電場の重ね合わせ
複数の電場の重ね合わせは,単純和を取って,
$$\vec{E}=\vec{E_1}+\vec{E_2}+\vec{E_3}+\cdots$$
と計算できる。
例題
例題
$x$ 軸上の原点 $\rmO$ に $+q$ の電荷 $\rmA$ が,$x=4$ の位置に $-4q$ の電荷 $\rmB$ がおかれている。クーロンの法則の比例定数を $k$ として,以下の問いに答えよ。
$x=2$ の位置に電荷 $\rmA$ が作る電場 $E_1$ を求めよ。
$x=2$ の位置の電場 $E$ を求め,この位置に $q$ の電荷をおいたときに受ける力を求めよ。
$x$ 軸上において,無限遠方以外で電場の大きさが $0$ となる点を求めよ。
(1) の解き方
電荷 $\rmA$ の作る電場を考えるので,いったん電荷 $\rmB$ のことは忘れます!

実際に,$x=2$ の位置に $+1\C$ の電荷(単位電荷)をおいてみましょう。
クーロンの法則から,力の大きさは,
$$f=k\mskip 6mu\bun{q\cdot1}{2^2}\mskip 5mu=k\mskip 6mu\bun{q}{4}\mskip 5mu$$
です。正の電荷同士で斥力となっていますので,この力の向きは $x$ 軸正の向きに一致します。
よって符号も含めて,
$$E_1=k\mskip 6mu\bun{q}{4}\mskip 5mu$$
が答えです。
(2) の解き方
続いて,$x=2$ の位置に電荷 $\rmB$ が作る電場 $E_2$ を求めましょう。

(1) と同様に,実際に単位電荷をおいて考えます。
電荷同士の距離は $4-2=2$ ですので,クーロンの法則から,力の大きさは,
$$f=k\mskip 6mu\bun{|-4q\cdot1|}{2^2}\mskip 5mu=k\mskip 6mu\bun{4q}{4}\mskip 5mu=kq$$
と計算できます。
及ぼし合うのは引力なので,単位電荷が受ける力は $x$ 軸正の向きとなることから,符号も含めると
$$E_2=kq$$
ですね。
$E_1$ と $E_2$ を重ね合わせたものが $x=2$ の位置における電場 $E$ ですので,
$$E=E_1+E_2=k\mskip 6mu\bun{q}{4}\mskip 5mu+kq=k\mskip 6mu\bun{5q}{4}\mskip 5mu$$
と計算できます。また,$F=qE$ の関係式から,$q$ の電荷が受ける力は,
$$f=k\mskip 6mu\bun{5q}{4}\mskip 5mu\cdot q=k\mskip 6mu\bun{5q^2}{4}\mskip 5mu$$
です。
(3) の解き方
場所によって場合分けをして考えていきます。
$x>0$ の領域
単位電荷が受ける力を考えます。電荷 $\rmA$ からは斥力,電荷 $\rmB$ からは引力を受けます。

向きは正反対なので,足し合わせると $\vec{0}$ になる可能性がありますね。
では大きさはどうでしょうか?
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考えている位置は電荷 $\rmA$ からより遠い位置にあり,さらに電荷 $\rmA$ は電荷 $\rmB$ より大きさが小さい状況です。
この場合,必ず電荷 $\rmA$ が単位電荷に及ぼす力の大きさ $f_1$ よりも,電荷 $\rmB$ が単位電荷に及ぼす力の大きさ $f_2$ の方が大きくなります。
よって,足し合わせたときに $\vec{f}=0$ となることはありません。
$0<x<4$ の領域
単位電荷をおいてみます。
電荷 $\rmA$ からは斥力,電荷 $\rmB$ からは引力を受けますが,どちらも向きが $x$ 軸正の向きなので,足し合わせたときに $\vec{0}$ となることはありません。
$x<0$ の領域
単位電荷が電荷 $\rmA$ から受ける斥力は $x$ 軸負の向き,電荷 $\rmB$ から受ける引力は $x$ 軸正の向きになるので,足し合わせると $\vec{0}$ になる可能性がありますね。
単位電荷をおく位置を $x (<0)$ とすると,クーロンの法則から,
$$f_1=k\mskip 6mu\bun{q}{x^2}\mskip 5mu,\ f_2=k\mskip 6mu\bun{4q}{(4-x)^2}\mskip 5mu$$
であることがわかります。
$f_1=f_2$ であれば,足し合わせたときに $\vec{0}$ となるので,
$$f_1=f_2 \LLeftrightarrow x=-4$$
の位置における電場が $\vec{0}$ であることがわかります。
電場が $\vec{0}$ になる点の考え方
(3) の場合について,電場が $\vec{0}$ になる点を,より簡単に考えてみましょう。
クーロンの法則の形 $f = k\mskip 6mu\bun{\stext{\hspace{-.5em}(電荷の大きさ)}}{\stext{\hspace{-.5em}(電荷からの距離)}^2}$ から考えるとよりわかりやすいです。
$f_1 = f_2$ となるためには,2つの電荷 $\rmA$,$\rmB$ についてこの値が等しくなる必要があります。
分子の比は $q : 4q = 1 : 4$ なので,分母も $1 : 4$ でなければなりませんね。よって,
$$\stext{\hspace{-.5em}(電荷$\rmA$からの距離)}^2 : \stext{\hspace{-.5em}(電荷$\rmB$からの距離)}^2 = 1 : 4$$
が成立すればよいので,これを解くと,
$$\stext{\hspace{-.5em}(電荷$\rmA$からの距離)} : \stext{\hspace{-.5em}(電荷$\rmB$からの距離)} = 1 : 2$$
という条件が得られます。
この関係をもとに「$x<0$」の領域について考え直すと,$x=-4$ の位置が条件を満たす点となります。

条件がわかれば,この計算は暗算でも素早く行えるようになります!