物理 電磁気学

電場の重ね合わせ

羽白 いむ

東京大学医学部医学科卒 現役医師
東大指導専門塾鉄緑会 物理・数学科元講師
物理基礎のトリセツ著者
数学のトリセツ共著者

電場の重ね合わせ

複数の電場の扱い

複数の電荷による電場($\vec{E_1},\,\vec{E_2},\,\vec{E_3},\,\ldots$)が存在するとき,これらを合成した電場はどのように考えられるでしょうか…?

この場合もやはり $+1\C$ の電荷をおいて考えればokです。

生徒

この電荷が電場 $\vec{E_1}$ から受ける力は $\vec{E_1}$,電場 $\vec{E_2}$ から受ける力は $\vec{E_2}$,として考えることができます。

結局,電荷が受ける合力は,

$$\vec{f}=\vec{E_1}+\vec{E_2}+\vec{E_3}+\cdots$$

です。この合力 $\vec{f}$ が,その場所における実際の電場(合成電場)になりますので,

$$\vec{E}=\vec{E_1}+\vec{E_2}+\vec{E_3}+\cdots$$

と考えてokです。

つまり,電場の重ね合わせは,単純に足し算で考えてよい ことがわかります。

電場の重ね合わせ

複数の電場の重ね合わせは,単純和を取って,

$$\vec{E}=\vec{E_1}+\vec{E_2}+\vec{E_3}+\cdots$$

と計算できる。

例題

例題

$x$ 軸上の原点 $\rmO$ に $+q$ の電荷 $\rmA$ が,$x=4$ の位置に $-4q$ の電荷 $\rmB$ がおかれている。クーロンの法則の比例定数を $k$ として,以下の問いに答えよ。

$x=2$ の位置に電荷 $\rmA$ が作る電場 $E_1$ を求めよ。

$x=2$ の位置の電場 $E$ を求め,この位置に $q$ の電荷をおいたときに受ける力を求めよ。

$x$ 軸上において,無限遠方以外で電場の大きさが $0$ となる点を求めよ。

物理815

(1) の解き方

電荷 $\rmA$ の作る電場を考えるので,いったん電荷 $\rmB$ のことは忘れます!

羽白

実際に,$x=2$ の位置に $+1\C$ の電荷(単位電荷)をおいてみましょう。

物理816

クーロンの法則から,力の大きさは,

$$f=k\mskip 6mu\bun{q\cdot1}{2^2}\mskip 5mu=k\mskip 6mu\bun{q}{4}\mskip 5mu$$

です。正の電荷同士で斥力となっていますので,この力の向きは $x$ 軸正の向きに一致します。

よって符号も含めて,

$$E_1=k\mskip 6mu\bun{q}{4}\mskip 5mu$$

が答えです。

(2) の解き方

続いて,$x=2$ の位置に電荷 $\rmB$ が作る電場 $E_2$ を求めましょう。

羽白

(1) と同様に,実際に単位電荷をおいて考えます。

物理817

電荷同士の距離は $4-2=2$ ですので,クーロンの法則から,力の大きさは,

$$f=k\mskip 6mu\bun{|-4q\cdot1|}{2^2}\mskip 5mu=k\mskip 6mu\bun{4q}{4}\mskip 5mu=kq$$

と計算できます。

及ぼし合うのは引力なので,単位電荷が受ける力は $x$ 軸正の向きとなることから,符号も含めると

$$E_2=kq$$

ですね。

$E_1$ と $E_2$ を重ね合わせたものが $x=2$ の位置における電場 $E$ ですので,

$$E=E_1+E_2=k\mskip 6mu\bun{q}{4}\mskip 5mu+kq=k\mskip 6mu\bun{5q}{4}\mskip 5mu$$

と計算できます。また,$F=qE$ の関係式から,$q$ の電荷が受ける力は,

$$f=k\mskip 6mu\bun{5q}{4}\mskip 5mu\cdot q=k\mskip 6mu\bun{5q^2}{4}\mskip 5mu$$

です。

(3) の解き方

場所によって場合分けをして考えていきます。

$x>0$ の領域

単位電荷が受ける力を考えます。電荷 $\rmA$ からは斥力,電荷 $\rmB$ からは引力を受けます。

羽白

向きは正反対なので,足し合わせると $\vec{0}$ になる可能性がありますね。

では大きさはどうでしょうか?

生徒

考えている位置は電荷 $\rmA$ からより遠い位置にあり,さらに電荷 $\rmA$ は電荷 $\rmB$ より大きさが小さい状況です。

この場合,必ず電荷 $\rmA$ が単位電荷に及ぼす力の大きさ $f_1$ よりも,電荷 $\rmB$ が単位電荷に及ぼす力の大きさ $f_2$ の方が大きくなります。

物理818

よって,足し合わせたときに $\vec{f}=0$ となることはありません。

$0<x<4$ の領域

単位電荷をおいてみます。

電荷 $\rmA$ からは斥力,電荷 $\rmB$ からは引力を受けますが,どちらも向きが $x$ 軸正の向きなので,足し合わせたときに $\vec{0}$ となることはありません。

物理819

$x<0$ の領域

単位電荷が電荷 $\rmA$ から受ける斥力は $x$ 軸負の向き,電荷 $\rmB$ から受ける引力は $x$ 軸正の向きになるので,足し合わせると $\vec{0}$ になる可能性がありますね。

単位電荷をおく位置を $x (<0)$ とすると,クーロンの法則から,

$$f_1=k\mskip 6mu\bun{q}{x^2}\mskip 5mu,\ f_2=k\mskip 6mu\bun{4q}{(4-x)^2}\mskip 5mu$$

であることがわかります。

$f_1=f_2$ であれば,足し合わせたときに $\vec{0}$ となるので,

$$f_1=f_2 \LLeftrightarrow x=-4$$

の位置における電場が $\vec{0}$ であることがわかります。

物理820

電場が $\vec{0}$ になる点の考え方

(3) の場合について,電場が $\vec{0}$ になる点を,より簡単に考えてみましょう。

クーロンの法則の形 $f = k\mskip 6mu\bun{\stext{\hspace{-.5em}(電荷の大きさ)}}{\stext{\hspace{-.5em}(電荷からの距離)}^2}$ から考えるとよりわかりやすいです。

$f_1 = f_2$ となるためには,2つの電荷 $\rmA$,$\rmB$ についてこの値が等しくなる必要があります。

分子の比は $q : 4q = 1 : 4$ なので,分母も $1 : 4$ でなければなりませんね。よって,

$$\stext{\hspace{-.5em}(電荷$\rmA$からの距離)}^2 : \stext{\hspace{-.5em}(電荷$\rmB$からの距離)}^2 = 1 : 4$$

が成立すればよいので,これを解くと,

$$\stext{\hspace{-.5em}(電荷$\rmA$からの距離)} : \stext{\hspace{-.5em}(電荷$\rmB$からの距離)} = 1 : 2$$

という条件が得られます。

この関係をもとに「$x<0$」の領域について考え直すと,$x=-4$ の位置が条件を満たす点となります。

羽白

条件がわかれば,この計算は暗算でも素早く行えるようになります!

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