物理 電磁気学

電場

羽白 いむ

東京大学医学部医学科卒 現役医師
東大指導専門塾鉄緑会 物理・数学科元講師
物理基礎のトリセツ著者
数学のトリセツ共著者

万有引力や静電気力の原理

離れているのに

万有引力や静電気力って,物体や電荷同士が直接触れ合っていないのに力を及ぼし合っていて,不思議だと思いませんか…?

羽白

「そういうもの!」と納得してしまえばそれまでですが,「どうしてそうなるの?どう説明するの?」といわれると難しいですよね。

この現象について考えるために,まずは「怖い先生」の話から。

怖い先生がいると場の雰囲気が変わる

怖い先生

怖い先生のイメージ

見た目がいかつくて,ものすごい筋肉で,生活指導担当の怖い先生,みたいな。

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生徒の髪型や制服をいつも注意してまわっている。なんのためかよくわからないけど竹刀とかを持ち歩いている。

そんな先生が部活の顧問だったりすると,雰囲気が引き締まりますよね。

羽白

その先生が特に何をするわけでなくても,その場にいるだけで皆に緊張感が生まれて,はきはきと練習が進んだりするような,そんなイメージです。

この先生は,「その場にいるだけで,場の雰囲気を変化させている」わけですね。直接部員に働きかけなくても,場の雰囲気が変わることで各部員に影響を及ぼしているのです。

万有引力と重力場

「場」の考え方

この「怖い先生」の例を参考に,万有引力や静電気力について説明できないでしょうか。

トランポリンのように,ゴムでできた床があったとしましょう。この床に,質量が大きい物体がおかれると,その位置を中心としてゴムが凹みますよね。

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つまり,「物体がおかれたことで,場が変化した」と考えることができます。

そしてこの「変化した場」に別の物体がおかれると,その物体は坂道を転がる向きに「場から」力を受けるのです。

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重力場

このような,「質量のある物体が存在することで,変化した周囲の場」のことを「重力場」と呼んでいます。

たとえば「地表」には,地球の質量による「重力場」が存在していることになりますね。

なんとなく「重力場」という言葉は耳にしたことがあると思いますが,この説明で名前の意味も納得できるのではないでしょうか。

「重力が場の力である」という言葉の意味もすんなり理解できますよね。

生徒

万有引力

質量のある物体が周囲に重力場を作り出す。その重力場にもう一方の物体がおかれると,重力場がその物体に力を及ぼす。

「万有引力は,場を介した力のやりとりと考えられる」ということですね!

生徒

静電気力と場

静電気力の場合

静電気力と万有引力は非常に性質が似ていましたよね。万有引力の話と同様に,静電気力についても「場」を考えてみましょう。

まず,電荷がその場に存在することで,周囲の場が変化します。

羽白

しかし,万有引力と静電気力は「力の向きが反対」という関係がありましたよね。

正の質量の物体同士の万有引力は引力ですが,正の電荷同士の静電気力は斥力です。

よって,正の電荷が作り出す「場」は,万有引力のときのような「谷」の場ではなく,反対の「山」の場になります。

負の電荷であればその反対ですので,「谷」の場ができますね。

生徒
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電場

このように,電荷の存在によって生み出される「場」のことを電場と呼びます。重力場と同じく,坂道のイメージです。

この電場が存在する場所に別の正の電荷をおくと,坂道を転がるように力を受けます。この力が静電気力です。

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なお,正の電荷は上のように「坂道を転がる」と考えればokですが,負の電荷は逆です。

羽白

不思議な感じがしますが「坂道を登るように力を受ける」ので注意しましょう。

このように,静電気力も「電場を介して電荷同士が及ぼし合っている力」と考えればスッキリですね!

電場

電場の調べ方

ここまで,場について坂道を利用して説明してきましたが,実際にはこの坂道は目に見えません!

「重力場が見えるよ!」なんていう人がいたらびっくりですね。

では,目に見えない電場を調べたかったらどうすればよいでしょうか?

生徒

電場は「電荷に力を及ぼす場」ですので,実際にその場に電荷をおいてみればよいですね!どのような電荷を使ってもよいのですが,わかりやすいように $+1\C$ の電荷を使います。

いろいろな場所に $+1\C$ の電荷をおいてみて,受ける力を調べることで,電場の様子を把握することができます。

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このように,電場の大きさや向きはその場に $+1$ の電荷をおいたとき,その電荷が受ける力として考えることができます。

羽白

向きも含まれるので,ベクトル量であることに注意しましょう。$\vec{E}$ と表されることが多いです。

$+1$ の電荷をおいたときに受ける力が $\vec{E}$ ですから,$+q$ の電荷をおいたときに受ける力は $\vec{F}=q\vec{E}$ になります。

力$\vec{F}$ の単位は $\punit{N}$,電荷$q$ の単位は $\C$ ですので,電場$\vec{E}$ の単位は $\punit{N/C}$ であることがわかりますね。

電場

その場に $+1\C$ の電荷をおいたとき,その電荷が受ける力をその場の電場$\vec{E}$ として考える。$q$ の電荷をおいたときに受ける力$\vec{F}$ は,

$$\vec{F}=q\vec{E}$$

-物理, 電磁気学