波動 物理

虚光源

羽白 いむ

東京大学医学部医学科卒 現役医師
東大指導専門塾鉄緑会 物理・数学科元講師
物理基礎のトリセツ著者
数学のトリセツ共著者

合わせレンズ

重なったレンズ

焦点距離が $4.0\cm$ の2枚の凸レンズを次図のように $1.0\cm$ だけ離れた位置に設定した状況を考えてみます。

物理794

考え方

羽白

まずは右側のレンズがないものとして考えましょう。

左側のレンズに,光軸に平行な光を入射すると,左側のレンズの焦点 $\rmF_1\prime $ に全ての光が集まります。

この位置は,右側のレンズの立場からすると,$3.0\cm$ だけ奥の位置になりますね。

しかし実際には $\rmF_1\prime $ の位置には光が集まりません。

さらに右側のレンズを通過することで,内側に曲げられるためです。

最終的に光が集る位置はどこになるのでしょうか…?

生徒

虚光源

右側のレンズの立場で考えてみましょう。右側のレンズからすると,「レンズの奥 $3.0\cm$ の位置に集まるはずの光が入射してくる」という状況ですね。

物理795

このように,「そのレンズによって曲げられてしまうので実際には光が集まらないが,レンズがなければ集まるはずだった位置」を虚光源と呼びます。

羽白

実際にはそこには光が集まりません!集まるはずだった場所です!

そしてこの虚光源は,必ずレンズの奥にあることもわかりますね。

実光源

これまでに扱ってきた光源(ろうそくなど光を発する物体)は,レンズの手前にあり,その点から光が広がってレンズに入射しました。

このような光源は実光源と呼ばれます。一方で虚光源は,レンズの奥にある「本来そこに光が集まるはずだった場所」です。

これらはいずれも,レンズを通過する直前の光が集まる点として考えられますね。

その点がレンズの手前にあれば実光源,奥にあれば虚光源です。

写像公式での扱い

以上を踏まえて,写像公式について再び考えてみましょう。

$\bun{1}{a}\mskip 5mu+\mskip 4mu\bun{1}{b}\mskip 5mu=\mskip 4mu\bun{1}{f}\mskip 5mu$ の $a$ が「光源とレンズの距離」でしたが,虚光源の場合には $a<0$ として考えればOKです。

光源の位置はレンズの手前側を正として考える,ということです。

羽白

光源は手前が正,像は奥が正,です!しっかり区別して覚えましょう。

光源

レンズを通過する直前の光が集まる点を光源と呼ぶ。レンズの手前にある場合は実光源,奥にある場合は虚光源となる。

写像公式 $\bun{1}{a}\mskip 5mu+\mskip 4mu\bun{1}{b}\mskip 5mu=\mskip 4mu\bun{1}{f}\mskip 5mu$ において,実光源なら $a>0$,虚光源なら $a<0$ とする。

合わせレンズにおける写像公式

再び合わせレンズ

それでは再び合わせレンズについて考えます。

これまでの話から,右側のレンズにとって,$\rmF_1\prime $ は虚光源であり,レンズの奥 $3.0\cm$ の位置にあることがわかっています。

実際に像ができる位置を $b\cm$ とすると,「光源の位置,像の位置,レンズの種類」が全てそろうため,写像公式を立式できますね。

虚光源なので $a=-3.0\cm$,実像なので $b$ はそのまま,凸レンズなので $f=4.0\cm$ とすると,

$$-\mskip 6mu\bun{1}{3.0}\mskip 5mu+\mskip 4mu\bun{1}{b}\mskip 5mu=\mskip 4mu\bun{1}{4.0}\mskip 5mu\qquad\therefore \quad b=\mskip 4mu\bun{12}{7}\mskip 5mu\cm$$

であることがわかりますね。

例題

焦点距離が $f_1$ の凸レンズと,焦点距離が $f_2$ の凹レンズを,光軸を合わせて密着させた。この合わせレンズの焦点距離を求めよ。ただし,レンズの厚さは無視できるものとする。

物理796

まず,左側のレンズに注目する。光軸に平行な光線は,レンズ奥の焦点 $\rmF_1\prime $ に向かう向きへと曲げられる。

物理797

凹レンズの立場で考えると,この $\rmF_1\prime $ に集まる光が入射してくることとなるため,この $\rmF_1$ が虚光源となる。

光は凹レンズによって広げられるため,実際には $\rmF_1\prime $ より奥の点 $\rmF\prime $ に集まる。この点が実際に光が集る場所であるため,像の位置となる。

物理798

凹レンズからこの像までの距離を $b$ とする。

凹レンズにおける写像公式より,

$$-\mskip 6mu\bun{1}{f_1}\mskip 5mu+\mskip 4mu\bun{1}{b}\mskip 5mu=-\mskip 6mu\bun{1}{f_2}\mskip 5mu\qquad\therefore \quad b=\mskip 4mu\bun{f_1f_2}{f_2-f_1}\mskip 5mu$$

「2枚のレンズによって,平行な光線が点 $\rmF\prime $ に集められた」と解釈できるため,この $\rmF\prime $ 点が合わせレンズの焦点である。よって,求める焦点距離は,

$$f=b=\mskip 4mu\bun{f_1f_2}{f_2-f_1}\mskip 5mu$$

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